ジュナも驚き! サクさん撤退!
「ふふふ……」
床が白と黒の二色に染まり、魔力の高まりを漲らせる体育館。
詩惟花さんが想いを込めて対することを決めて数秒後、突然サクさんが瞳を閉じて肩を揺らしました。
(えっ。笑った?)
「ああ、失礼しました。しかし、ふふっ……」
張り詰める緊張の最中に、突然の笑い声。
ジュナはともかく、詩惟花さんも、その様子に驚きました。
「なにがおかしいの?」
「すみません。笑うべきところではありませんでした。しかし……」
くっくと肩を弾ませ、口元に手を沿えた管理者は、咎めるように口を挟んだ未来可さんの方を見て言いました。
「なるほど。なるほど。これは異常事態……」
(なんだろう。なんか変じゃない?)
(ジュナ様。お気をつけください。この方、猛烈に怪しいです)
念話を通じて、アンブレラとジュナが言葉を交わします。
ふぅ、とようやく一息ついたサクさんは、そっと瞼を開くと、口元には笑みを残したまま言いました。
「いいでしょう。あなたの勇気に免じて、この場は退きます。魔法使い」
えっ、と仰天する声は、ジュナと詩惟花さんの両方から落ちました。
「今まで何百万回とループを続けてきました。回数を重ねる中でもちろん変化はありましたが、あなたが私に抗ったのはこれが初めてです。未来可に免じて、その勇気を称えましょう」
言うとサクさんは、すぅっ、と足元の魔法陣を引きました。
「ほ、ほんとに……?」
「ええ。本当です。今は退きましょう。特別な時には、特別なことをしたくなるものです」
サクさんは軽やかに言いました。
ジュナ、詩惟花さんはあまりの引き際についていけず、未来可さんはじっとサクさんを睨んでいました。
「さぁ、この窮地をしのぎなさい。魔女。そして吸血鬼。停止した時間は、そうですね……。あなたたちの尺度を用いて言うなら、あと三分で動き出します」
「へぁっ!?」
「あと三分!?」
「未来は自由だと言いましたね。期待していますよ」
言うとサクさんは、再び開いた空間の裂け目へ、その姿を消してしまいました。
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
ジュナ:「三分! さんぷん! どうしよう詩惟花ちゃん!」
詩惟花:「お、お、お、落ち着いてジュナちゃん! こういうときは……。そう、深呼吸!」
ジュナ:「すぅ~……」
詩惟花:「はぁ~……。もういっかい」
ジュナ:「すぅ~……」
詩惟花:「はぁ~……」
アンブレラ:「今ので三十秒経過しました」
ジュナ:「うわあああああ! どうしよう詩惟花ちゃん!」
詩惟花:「ま、まってまって! えっと、えっと、ど、どうしよう~!」




