ジュナ達のピンチを救うのは!
「あいつが――――!」
クラスメイトの男子がひとり、外野から指をさした頃。
ジュナと詩惟花さんの周りからは、一切の音が途絶えました。
「……え?」
「あれ……? な、なにが……」
聞こえるはずの続きが、ジュナ達の耳には全く聞こえてきません。
それどころか、周囲の音も何一つ、風の音すら止まっていて。
「ど、どうしたのみんな?」
「く、空気が……。ううん。時間が止まった……?」
「その通りだよ~」
「わっ!!?」
すぐ近くから聞こえてきた、気の抜けるような女性の声。
前後左右を見渡したジュナですが、その姿は見受けられず。
「上だよ。上~」
「うえっ? あっ!」
ようやく見上げた体育館の天井近くには、箒に乗ったセーラー服の少女がひらひら手を振っていました。
「未来可!」
「お姉ちゃん!」
「どもども~。登校ぶり~」
魔女の正装ではなく、黒い帽子もないものの、箒へお尻を乗せて漂う姿にはどこか余裕が感じられました。
未来可は呪文も呟くことなく口を閉じると、箒はすぐに進み出し、流れるような軌道を描いてコートすれすれまで移動しました。
「どうしたの!? っていうかいつからここに!?」
「どうしたのって……。シィがそれいう? 魔法使った張本人でしょ?」
トン、とコートに降り立った未来可は、白い上履きを弾ませて歩くと、へたり込んだままの詩惟花さんへ手を差し出して起き上がらせました。
「どうして日中に魔法使ったの? しかもこんな堂々と」
「わ、わたし、使いたくて使ったんじゃ……」
普段つかめない雰囲気の未来可ですが、今はどこかピリピリしている様子。
未来可が怒っていることを感じたジュナは、考えるより先に口を開いていました。
「し、詩惟花ちゃんは悪くないよ! 呪文も唱えないで、いきなり腕がニョキ~って!」
「腕が? ニョキ~って?」
「そう! ニョキ~って!」
「ジュナ様!」
「あ! アンブレラ!」
なんとか状況を説明しようと奮闘する頃、体育館の入口からパタパタと、アンブレラが飛んできました。
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
アンブレラ:「やっと登場できました。忘れられたのかとワタクシ、くすん……」
未来可:「だーいじょうぶだよ~。それをいうならわたしもそうだし」
ジュナ:「アンブレラはともかく、未来可はどうやってこっちまで来たの?」
未来可:「それは乙女のヒ・ミ・ツ!」
詩惟花:「お姉ちゃん。説明がめんどうくさいのね……」




