ジュナへ阿久 麻子の宣戦布告!
「うるさいなぁー。いますごーくいいトコなの! 邪魔しないでよ!」
「お話を聞かないアナタが悪いんでしょう!」
囲んでいた女子達にかわり、すっかりぎゃいぎゃい吠えたてまくるジュナと麻子さん。
朝のうららかな教室は、なかなかに騒々しくなりました。
「――――じゃあいいわ! 勝負よ木由良戸さん!」
「勝負ぅ?」
言い争いに肩を荒げ、ついに息を吐いた麻子さんは、びしぃっ! と指を突きつけました。
「今日の三時間目! 体育でドッジがあるはずよ! そこで勝負しなさい木由良戸さん!」
「ドッジかぁ~」
突きつけられたジュナは、あーあ、と言いそうな表情で肩をすくめます。
その様子に口を挟む余地を見出した詩惟花さんは、ジュナの肩をポンポンと叩いて尋ねました。
「ジュナちゃんジュナちゃん。ドッジってなに?」
「え! 詩惟花ちゃん知らないの!?」
小学生にとっては爆弾級の発言に、周囲が思わずざわめきました。
「えっ……。この世にドッジを知らない子なんているの……?」
「うそっ……。まさか今までで一度もドッジをしたことない?」
「えっ? えっ? あれっ? あれっ?」
ジュナの背後に隠れる女子だけでなく、遠くでそれとなく聞き耳を立てていた男子達もつられてざわざわ。
「ふんっ。知らないの転校生? アナタよっぽど世間知らずなのねぇ」
「ううう……」
阿久 麻子が横に長く伸びる唇の前に手を沿えて、ほほほ、と高らかに笑いました。
「まぁいいわ。教えてあげる。ドッジっていうのはね、嫌いな相手へ全力のボールをぶつけても全てが許される競技のことよ!」
「ええっ!? そうなの!?」
「そうよ! メロンのような大きさのボールを、相手の顔以外ならどこでも狙っていい! 強いボールを投げられるほど尊敬されるわ。当たった後の悲しみにくれるやるせない表情! これが滾る! 滾るのよこれが!!」
「わー。悪い説明……」
喋っているうちにテンションが上がってしまったのか、関節ごとに角ばらせた両手の平を上に向けた麻子さんが、世界を手中に収める寸前まで来た大魔王のように笑っていました。
「じゅ、ジュナちゃん。ほんとうにそんな魔宴みたいな戦いをするの……? あっ……」
「ま、まってー詩惟花ちゃん! おおげさ! おおげさだから気絶するのはやめてー!」
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
ジュナ:「最初に外野と内野にわかれるの。内野同士がボールをぶつけ合って、誰もいなくなったら負け」
詩惟花:「じゃあ、相手がいなくなったら勝ち、なんだね」
麻子:「そうよ! ちなみに最初の外野メンバーは、誰かの命と引き換えに内野へ降臨することができるのよ!」
詩惟花:「そうなの!? 命、交換……。あっ……」
ジュナ:「もぉ~! 麻子は解説禁止!」




