ジュナの知らない月夜のお話! (2) 【おかあさんにはお見通し!】
「あなたの魔法の匂いに近かったから、様子を見ることにしたのだけれど。正解なようね」
「うん。こうしてまた会えたしね~」
「そういう意味じゃなくて……。ううん、そういう意味もあるけれど……」
吸血鬼ジュリアは、ジュナとは違い、正真正銘、由緒正しき吸血鬼。
日が傾きかけた頃にようやく起きてきたジュリアは、帰ってくる愛娘と仕事に耽る夫の為に夕飯を作ろうとしましたが、異常を感知してジュナを探しに飛んだのでした。
「まあ、何事も無くてよかったわ。それにあなたの娘、あえて自分から手出しはしないよう気を付けていたみたいだし」
「そうなの! もう、ホッとしちゃった~! ジュナちゃんやあの男の子に怪我でもさせたらどうしよう~! って思ってたから!」
「あなたが言うと、なぜか真剣味に欠けるのよねぇ……」
「あ! ひどいよジュリアちゃん!」
「ふふふっ! 冗談よ冗談!」
「もぉ~。ジュリアちゃんもそういうところ、全然変わってないんだから~」
流麗な眼差しで地上を覗くジュリアでしたが、ふと瞼を閉じると、次に開けた時には柔らかな目尻に変わっていました。
「でも、よかったわ。ちょうどジュナの好きな子がどんな子か、知りたかったから」
「え~? それって、あの男の子のこと?」
「そうよ。タカハルくん。ジュナはあの子を選んだみたい」
そう言って地上を再び覗いたジュリアの視界には、安堵に涙を流す少女二人をなんとかなだめて家路につこうと苦労している男子学生の姿が映りました。
「へぇ~! じゃあ、あの子が吸血鬼見習い昇格への第一歩?」
「うん。かわいいでしょ?」
「なるほどねぇ~」
月夜のおしゃべりは、まだまだ尽きることがありません。
「ジュナも、ようやく変身魔法を使えるようになったし。『見習い』見習いは卒業ね。……まぁ、呪文が間違っていたけど」
「お互いに、子育ては大変ね~」
「そうね。でも、楽しいわ」
夜の世界は、彼女たちの世界。
まだまだ宵はこれからです。
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
ジュリア:「ジュナったら、あれだけ毎晩練習してるのに……。『ナルキニ ナルキニ イトノコヒ』じゃなくて、正しくは『ナルキニ ナルキニ イコノトヒ』。厳しい特訓も考えなくちゃね。……あらあら。次回予告、忘れてたわ。次回、吸血鬼は小学生。…………。えーっと、なんだったかしら? ……次回もよろしく、ね?」




