ジュナと隆晴の後方で。未来可とルラァ―、ふたりきり…!
「ここまで見送れば、いいかな」
「ああ。大丈夫だろう」
タカハルを抱いたジュナが、彼の自宅まで送り届ける遥か後方で。
箒に跨った未来可と、自分の力で浮遊するルラァ―とが声を交わしました。
「あーあ。本当はわたしが送ってあげたかったのにな~」
「言えばよかったじゃないか。わたしが送るって」
「だって~。ジュナちゃんを守ることをずっと貫いてきたんだよ? 今夜くらいは譲ってあげたいでしょ」
「ふん。そういうものか」
「そういうものです~」
未来可は言うと、もう殆ど小さくなったジュナ達を眩しそうに見つめました。
ひと悶着が解決してから、詩惟花を先に返した未来可はジュナ達に内緒で付き添いをするために空へ飛んでいました。ルラァ―も、何かあった時の護衛。もともとの原因を作った張本人として、思うところがあるのでしょう。
「いいなージュナちゃん。あんなに思われるとか、中々ないよね」
夜風に髪を流される未来可が、髪を抑えながら言いました。
ルラァ―は目を配り、再びジュナ達を見つめます。
しばらくの間口を噤んでいましたが、ポツリと唇が開きました。
「想い、か……」
「え?」
「時間を巻き戻すことや、世界を壊すことは出来ても、人の想いまでは止められないんだな……」
そう言うルラァ―もまた、眩しそうに細めた瞳で前を見据えていました。
「そうだよ~? おかげでわたしみたいな子も生まれたわけだし」
「……」
未来可が両手をあげておどけて見せますが、ルラァ―は特に反応もなし。
しかしどこか思うところがあるのでしょう。ルラァ―は頭上を見上げると、ほう、と息を吐きました。
「破壊だけできるっていうわけじゃ、なかったんだな」
目を向ける空には、いつかのように大きな扉――ルラァ―の父君――の姿はまったくありません。
どこまでも広々とした世界。境目などどこにも見つからない空。
ルラァ―は右手をかざしてみました。グッと握ったままの拳を空に伸ばして、そっと五指を方々に開きます。
「ボクの力は……。守ることが……。」
その手のひらに、星々が暖かい光を降り注ぎます。
その輝きを受けて、ルラァ―は何を思うのでしょうか。
なにはともあれ、今宵ルラァ―は、自分なりの答えに一歩近づくことができたようです。
神としてより、人として。
その想いの行く末は、ルラァ―の胸に満ちる不思議な気持ちだけが知っているのでした。




