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吸血鬼は小学生!  作者: zig
第五章 戦いの場所は夜空ノムコウ!
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ジュナ、隆晴と夜間飛行…!

 「ん……」

 ゆるやかな風を受けて、前髪が流れる感覚に隆晴は意識を取り戻しました。

 「あ、起きた?」

 「……ジュナ?」

 そろそろと瞼を開けた隆晴が目にしたのは、嬉しそうな表情をしてこちらを覗き込むジュナの顔。

 「……どうして、こんなことになってるんだ」

 「え~? 夢だからじゃない?」

 呟く隆晴に、ジュナはなんということもなさそうに返事をして、前を向きました。

 ジュナの後ろには、星々の光る夜空が広がっています。

 時折翼の羽ばたく音を響かせて――――。ジュナは隆晴を抱えたまま、空を飛んでいるのでした。

 「考えてみてよ。空を飛ぶなんて夢の中でしかありえないし、中学生の隆晴をわたしが運べるわけないじゃん?」

 「まぁ、それはそうだけど……」

 しぶしぶといった感じではありますが、ジュナの言うことに正しさを感じた隆晴は、気怠そうに瞳を閉ざしました。

 「眠かったら、寝てていいよ?」

 「うん……」

 ジュナの声に、いつもより幼げな返事が返ってきます。

 しかしうつらうつらとしながらも、隆晴は眠るまいと頑張っている様子でした。

 薄く閉じた目をぱちぱちと瞬きながら、どこまでも広がる水平線の向こうを眺めます。

 空高く、雲にも手が届きそうなほどの高度を飛んでいるジュナ達には、常日頃の日常では決して見れない、遥か、遥か遠くまで見ることができました。

 「……きれいだ」

 「そうだね」

 星々のようにきらめきが広がる、地上の世界。

 遮るもののない水平線は左右へ際限なく広がっていて、曖昧な境界線を境に、海のように広大な空が穏やかに包み込んでいます。

 「ジュナ」

 「なーに?」

 「ちょっと……。眠るから……。悪いけど……」

 「うん。しっかり家まで送り届けてあげる。心配しないで」

 ジュナの暖かい言葉に安心したのか、隆晴はこくりと頷くと、もう瞼を上げることはありませんでした。

 

 遮るもののない夜空を、すぅ、と流れるよう、一直線に横切っていきます。

 満月は穏やかでした。

 夜風も緩やかで、すぐにふたりの傍をやさしく通り過ぎていきます。

 世界は今だけ、隆晴とジュナのふたりだけのものでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今は「夢」でいいのでしょうか。
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