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第六十六話:響き渡る希望! 結集せし音色と天光の一閃(後編)

「ハハハ! 終わりだ、ここで死ねぇっ!!」


 黒刀を振り上げたカズマが、容赦なく二人へと迫る。

 弾き飛ばされた愛刀を前に、トウマは膝をつきながら荒い息を吐いた。


(くっ……俺の俄(にわか)仕込みの陰陽術じゃ、1000年以上の鬼の術には及ばない……! 俺にできることは……そうだ、俺たちには……!)


「シオリさん、時間を稼ぐぞ!!」


「はいっ!!」


 トウマが血の滲む指先で素早く九字を切る!


「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前! 来い、『朱雀』! 『玄武』!!」


 ゴォォォォォンッ!!


 真紅の炎を纏う朱雀と、漆黒の甲羅を誇る玄武が召喚され、カズマの前に立ちはだかる!

 同時にシオリも背の翼から風神と雷神の幻影を放ち、カズマの視界を遮るように荒れ狂う嵐を巻き起こした!


「チッ……往生際の悪い虫ケラどもが!」


 カズマが黒刀を振るい、鬼の妖気で朱雀の炎と玄武の防壁を力任せに叩き潰し始める!


 その僅かな隙に、トウマは『三味線』を引き寄せ、バチを固く握りしめた。


『トウマ!? 刀も持たずに三味線など出してお前、何をするつもりじゃ!?』


 トウマの体内で天狐が焦りの叫びを上げる。トウマは凛とした真っ直ぐな瞳で前を見つめ、力強く答えた。


「師匠……『音』だ! 尻尾の力……『音の能力』を使うんだ!!」


 トウマの手が、三味線の糸を弾いた。


 ——ベン……ベン……、ツントン……


 静かに、しかし力強く響き渡る温かい音色。

 それは……故郷の村で、育ての親である十蔵じいちゃんから教わった、トウマの三味線の原点でもある『希望の曲』だった。


「トウマさん……!」


 シオリも瞬時にトウマの真意を悟った。自らも胸元から竹笛を取り出すと、トウマの三味線の旋律に寄り添うように、美しく澄み渡る笛の音を重ね合わせた。


「風神・雷神の気よ……音色とともに乗れっ!!」


 トウマの三味線から解き放たれる【音】の能力。それにシオリの風と雷の霊気が交じり合い、優しくも力強い音波の波動となって玉座の間全体へと広がり始めた!


「無駄なことを……!! 『鬼神絶天斬』!!」


 ドカァァァァァァンッ!!!!


 カズマの一閃が朱雀と玄武を打ち砕き、その凄まじい衝撃波で玉座の間の天井が豪快に崩れ落ちた!

 瓦礫が降り注ぐ中、カズマは鬼の眼光を光らせてトウマへと跳躍する!


「その不快な音色ごと、微塵に砕け散れぇぇっ!!」


「させん!!」


 ゴォォォォォォッ!!


 崩れた天井から突如として黄金の光が差し込み、巨大な『麒麟』が空から舞い降りた!

 その神聖なる体躯がトウマたちの盾となり、カズマの黒刀の一撃を真正面から受け止める!


「ククッ……ちょうどよい! 麒麟、貴様もここでまとめて殺してやる!!」


「いいえ、殺させはしません!!」


「俺たちを忘れてもらっちゃ困るぜ!!」


 煙が巻き起こる王宮の入り口から、満身創痍となりながらも気迫に満ちた仲間たちが駆け込んできた!


 ソフィア、アーサー、そしてクリスだ!!


 上空からは巨大な『鳳凰』も舞い降り、金色の神炎で麒麟とともにトウマたちを固く防護する!


「みんな……!!」


「トウマ、演奏を止めないで! 私たちも加わります!!」


 ソフィアが愛用のタクト(指揮棒)を高らかに掲げる!

 アーサーが力強く『二胡』を構え、弓を弦へと滑らせる!

 クリスもまた背中のバイオリンケースから『ヴァイオリン』を抜き放ち、顎に当てた!


「旅の演奏家の真骨頂……見せてやる!!」


 ギィィン……! シャラーン……!


 トウマの三味線、シオリの竹笛、アーサーの二胡、クリスのヴァイオリン。

 そしてそれらを完璧な調和へと導くソフィアのタクトの采配!


 五人の奏でる『希望の曲』に、天狐の【音】の神力が全開で宿り、四聖獣の霊気と重なり合って、虹色の音波となってカズマへと襲いかかった!


 ズバババババババババァァァァァンッ!!!!


「グッ……!? ガ……ガアアアアアアッ!?」


 カズマが頭を抱えて激しく悶絶し始めた!

 音色に込められた仲間たちの絆と「希望」の波動が、カズマの精神を蝕んでいた鬼の毒気を力ずくで浄化していく!


「あ……アア……俺は……俺は一体……!?」


 カズマの血の色の瞳から赤みが引き、本来の澄んだ瞳が戻り始める。


 その瞬間——!


 カズマの頭上から、ドス黒い不気味な『巨大な鬼の影』が引き剥がされるようにゆらりと出現した!


「キシシシ……! 邪魔立てするな虫ケラどもぉぉぉ!!」


 鬼の影が狂乱し、最後の悪あがきとしてトウマたちへ襲いかかろうとする!


 天狐がトウマの体内で叫んだ!


『今じゃ、トウマっ!! 奴から鬼の影が離れた!! 刀を執れぇぇぇっ!!』


「おおおおおっ!!」


 トウマは三味線を消すと同時に床へと跳び込み、転がっていた刀をガシッと掴み取った!


 天狐の背の九本の光の尾が爆発的に輝き、そのすべての力——【狐火・雷・風・氷・水・地・光・音・天】の九つの神力が、トウマの刀身へと一本に凝縮されていく!


「これで……終わりだぁぁぁぁっ!!」


 トウマが天空へと跳躍!

 九つの力が一つとなった、眩いばかりの純白の極大一閃を鬼の影へと振り下ろす!


「九尾一閃……『破邪顕正(はじゃけんしょう)・天光斬(てんこうざん)』っ!!」


 ズドォォォォォォォォォォンッ!!!!


「ギャアアアアアアアアアアアッ!?」


 天地を揺るがす光の刃が鬼の影を真っ二つに引き裂き、凄まじい浄化の光とともに、鬼の影は跡形もなく消滅・雲散霧消していったのだった——!



読んでいただきありがとうございました!


少しでも楽しんでいただけたら、ぜひブクマや評価(★)で応援してもらえると嬉しいです!

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