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第五十九話:極限の激闘! 炎と亀甲の連撃

「グオォォォォッ!! 虫ケラが調子に乗るなァァッ!!」


 ケルベロスの三つの頭が狂乱の咆哮を上げる!


 胸元の【九本目の尾】が不気味な紫光を放つと、重力波の比ではない凄まじい歪みが祭壇全体を襲った。石畳がめくれ上がり、空間そのものが雑巾のように歪んでいく。


「くっ……! 朱雀、炎で空間の結界を燃やし尽くせ! 玄武はみんなを守れ!!」


 トウマが荒い息を吐きながら、両手で結んだ印を強く握り直す。


 ゴオオオオッ!!


 上空を舞う朱雀が翼を羽ばたかせると、紅蓮の浄化の炎がケルベロスの頭上に降り注ぐ!

【天】の力で引き裂かれそうになる空間を、朱雀の神聖な炎が焼いて無理やり繋ぎ止め、重力の歪みを中和していく!


「今だ! クリスさん、ソフィアさん!!」


「よくやった、トウマ!! 『氷水流星突き(ひょうすいりゅうせいつき)』!!」


 トウマが作った僅かな隙を見逃さず、傷だらけのクリスが跳躍!

 レイピアの先から放たれた無数の氷と水の針が、ケルベロスの左の頭の目を正確に貫いた!


「ギャアアアアッ!? 我が目が……目があああっ!!」


「させるかぁっ!!」


 怒り狂った中央の頭が、至近距離からクリスに向けて絶対不可避の【圧縮重力弾】を放とうとする!


「させませんわ!! 『絶望の協奏曲(コンチェルト)』!!」


 ソフィアが血の混じった息を吐きながらタクトを激しく振り下ろすと、強力な精神衝撃波がケルベロスの脳内を直接揺さぶる!


「グガッ……!? あ、頭が……割れる……っ!?」


 攻撃が逸れた一瞬、玄武の長い蛇の尾がしなやかに伸び、ケルベロスの巨体を力任せに締め上げた!


「グヌヌヌッ……! 離せ、離せぇぇぇっ!!」


「アーサーさん! シオリ! 今です!!」


 重力から解放された二人が、傷ついた身体を押して跳び上がる!


「応っ!! 『青龍・断空斬』!!」


「風神・雷神……『天雷旋風陣』っ!!」


 青龍刀の蒼い一閃がケルベロスの右の頭を叩き斬り、シオリの風と雷の合体波が中央の頭を激しく穿つ!


 ドカアァァァァンッ!!


「グガアアアアアアッ!?」


 二つの頭を潰され、身体を玄武に拘束されたケルベロスが悲鳴を上げる。

 だが、残された最後の頭が、執念のように胸元の【九本目の尾】を暴走させ始めた!


「タダでは死なん……! この【天】の力を暴走させ、祭壇ごと貴様らを宇宙の塵にしてくれるわぁぁぁっ!!」


 ケルベロスの身体が膨れ上がり、黒いブラックホールのような空間の穴が広がり始める!


「しまっ……! 自爆する気か!?」


 クリスが叫ぶ。全員が消耗しきり、逃げる猶予すらない。


「させない……絶対に、みんなを死なせたりしない!!」


 トウマが前に飛び出した。陰陽師としての霊気を全開にし、指先を血が滲むほど固く結ぶ。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前……! 朱雀! 玄武! 俺の全霊気を喰らえぇぇぇっ!!」


 トウマの叫びに応え、朱雀が紅蓮の火柱となってケルベロスの頭上から急降下!

 同時に玄武が漆黒の霊気の絶対防壁となってケルベロスの巨体を包み込む!


「破邪顕正(はじゃけんしょう)……封邪陰陽陣(ふうじゃおんみょうじん)っ!!」


 ズバババババババババァァァァァンッ!!!!


 朱雀の炎と玄武の防壁が、ケルベロスの暴走する【天】の空間歪みを力ずくで内側から押し潰し、浄化の光とともに消滅させた!


「バ、馬鹿な……人間の……陰陽の力が……我が宇宙の力を……打ち破る……だと……!?」


 断末魔とともにケルベロスの巨体は灰となって崩れ去り、祭壇を覆っていた死の気流が一気に吹き飛んだのだった。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 二大式神が光となって消え去り、トウマはその場に膝をついた。


「トウマ!!」


 ソフィアたちが駆け寄ってくる。その時、ケルベロスの消滅した跡から、輝く【九本目の尾】が空中へと浮き上がった。



読んでいただきありがとうございました!


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