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第四十八話:風雷舞う神楽巫女と、三聖獣の集結!

「これは……風神様と、雷神様の……勾玉……!」


 シオリの手のひらの中で、エメラルドグリーンと蒼雷の二つの勾玉が眩い光を解き放つ。

 その光の中から現れたのは——手のひらに乗るほど愛らしく、けれど神々しい威光を纏った二柱の幼き霊精だった!


 緑の羽と爽やかな風を纏う風の霊精『風花(ふうか)』。

 蒼い角とバチバチと跳ねる稲妻を纏う雷の霊精『雷鳴(らいめい)』。


『キュキュッ! 主様、永き眠りからの目覚め……感謝いたします!』

『我ら二柱、九十九の真の巫女たるお方に仕えん!』


「あなたたちが……風神様と雷神様……! 私を一族の巫女として認めてくれるの……!?」


 シオリが問うと、二柱の霊精は嬉しそうにシオリの周りをくるくると舞い踊り、勾玉となってシオリの竹笛へとすっと融合した。

 その瞬間、シオリの衣服が神聖な光に包まれ、風と雷の紋様が刻まれた煌美な『神楽巫女(かぐらみこ)』の衣装へと変化を遂げた!


「これが……私の中に眠っていた……九十九一族の……本当の力……!」


 ふつふつと湧き上がる温かくも力強い霊力。

 その時、霧の谷の彼方から、地鳴りのような重低音と凄まじい魔気の嵐が打ち寄せてきた。


「……! 鳳凰の村へ……魔物の第二波が……! 行こう、風花、雷鳴! 今度こそ……みんなを守るために!」


 ◇


 東の大陸・鳳凰の村の防衛拠点。

 そこには、第一波を遥かに凌ぐ数万の魔物の大軍勢が押し寄せ、ソフィア率いる防衛軍を圧倒しようとしていた。


「くっ……! 敵の密度が高すぎる! 前衛は『方円の陣』を維持! 陣形を崩すな!」


 ソフィアが響き渡る声で部隊を指揮しながら、愛用のタクトを美しく一閃させ、絶大な魔法を解き放つ!

 彼女がタクトで空を薙ぐと、描かれた軌跡から幾重もの巨大な古代魔法陣が展開された!


「天に満ちる星々よ、我が呼び声に応じ裁きの光を降らせよ……『グラン・メテオ』っ!!」


 ソフィアの詠唱とともに、上空から巨大な光の隕石群が降り注ぎ、前線へと押し寄せていた大型魔獣の群れを一瞬にして爆砕・蒸発させる!

 軍師としての神がかったタクトの指揮に加え、賢者たる圧倒的な魔法と防護結界。ソフィアはその冴え渡る知恵と魔法で防衛線を一人で支えていた。だが、底なしのように押し寄せる数の暴力の前に、流石のソフィアにも疲労の色が見え始めていた。


「ハァ……ハァ……! まだこれほどの数が……! 鳳凰様、左翼へ極大火炎を!」


「天の炎!」


 鳳凰が巨体を揺らして灼熱の火柱を吹き出すが、次々と湧き出す魔物の前についに防衛線が決壊しかけたその時——天地を震わせる美しい竹笛の音色が、戦場全体へと鳴り響いた!


 ——ピーヒャララ……ッ!


「この音色は……シオリ!?」


 空を見上げたソフィアと鳳凰の前に、風と雷の嵐を纏い、神楽巫女の姿となったシオリが颯爽と舞い降りた!


「お待たせしました、ソフィアさん、鳳凰様! ここからは……私も一緒に戦います!」


 シオリが竹笛を構え、深く息を吸い込む。


「風花! 雷鳴! 私に力を……! 九十九流神楽・風雷の舞っ!!」


 シオリが可憐に舞いながら竹笛を奏でると、空中に鎮座した風花と雷鳴の霊精が絶大な神威を解放した!


 ドォォォォォンッッ!!


 シオリの奏でる旋律に乗って解き放たれたのは、ただの風や雷ではない。

 巨大な風刃の竜巻と、天地を裂く蒼い落雷の嵐が合一した超絶合奏技——【風雷神楽(ふうらいかぐら)】!


「ギャアアアアアッ!?」


 押し寄せていた数万の魔物の大軍勢が、シオリの一曲によって瞬く間に風と雷の嵐の中に呑み込まれ、次々と浄化・消滅していく!


「なんて圧倒的な威力の神楽……! 見事です、シオリ!」


 ソフィアがタクトを振り、自身の魔法をシオリの風雷神楽へと重ねて威力をさらに底上げする!


「全軍突撃! シオリの風雷に続けぇぇっ!!」


 シオリの風雷神楽、ソフィアの指揮と魔法、そして鳳凰の天の炎が完璧に融合!

 三者の超絶連携により、東の大陸を脅かしていた魔物の大軍勢は、ついに完璧な全滅を迎えたのだった!


 ◇


 戦いが終わり、夕空が東の大陸を黄金色に染め上げる頃。

 東の大陸の象徴たる『鳳凰の村の大聖堂』の前庭に、激闘を終えたソフィア、シオリ、鳳凰が集まっていた。


「シオリ、本当に凄かったわ。あなたの覚醒のおかげで、この大陸を守り抜くことができた」


 ソフィアが心からの感謝を伝えると、シオリは照れくさそうに微笑んだ。


「ううん、ソフィアさんの指揮と魔法、鳳凰様がいてくれたからです。私……やっと、みんなと一緒に戦える自信がつきました!」


 その時——大聖堂の上空を切り裂いて、巨大な紅蓮の霊鳥『朱雀』が舞い降りてきた!

 その背に乗っているのは——。


「シオリさん! ソフィアさん!」


「トウマさん……!? アーサーさん……!?」


 朱雀の背から飛び降りたトウマ、アーサー、そしてトウマの肩の上でフサフサの尾を揺らす天狐(師匠)の姿があった!


「無事だったんだね……! 二人とも!」


「トウマさんっ!!」


 シオリは溢れる涙を拭いもせず、トウマの胸へと飛び込んだ。トウマもシオリをしっかりと受け止める。


「シオリさん……!? その衣装と……後ろにいる綺麗な霊精は……?」


「ふふ、トウマさん……私ね、一族の風神様と雷神様の力を受け継いで……強くなれたんだよ!」


「ぬ!? 九十九の巫女よ、風神と雷神の勾玉を呼び覚ましたか! 見事じゃ、シオリ!」


 天狐が目を見開いて称賛し、アーサーも満足そうに頷く。


「ソフィア、シオリ、見事な戦いだったな。俺たちも西の大陸で竜人の国を護り抜き、無事に駆けつけることができた」


「ええ、アーサーさん、トウマ。二人とも怪我はないようね。……ところで、アーサーさんの隣にいる、その蒼い龍は……?」


 ソフィアとシオリが不思議そうに視線を向けると、アーサーのすぐ横に、体長三十センチほどの小柄で可愛らしい蒼い竜が、実体となって空中をすいすいと泳ぐように浮かんでいた。


『フッ……初めましてだな、人間たちよ。我が名は青龍。竜人の血を引くアーサーに力を貸す者だ』


「ええぇぇッ!? 龍が喋った……!? それに……『青龍』様……!?」


 シオリとソフィアは目を丸くして驚愕した。


「龍神の山で目覚められた本物の神獣・青龍様なんだ。今は体を小さくしているが、戦闘の時には俺の身体に憑依して凄まじい闘気を貸してくれるんだよ」


 アーサーが誇らしげに説明すると、シオリとソフィアは感嘆のため息をついた。


『む……青龍よ、お前もその小さな姿を気に入ったのか? クッカッカ!』


 トウマの肩に乗る天狐(師匠)がニヤリと笑う。そして大聖堂の前には、優雅に羽を休める鳳凰。


「天狐」「鳳凰」「青龍」——かつて北の大陸で傷つき散り散りになっていた伝説の「三聖獣」が、すべて小さく(あるいは実体となって)こうして目の前に勢揃いしたのだ!


「すごい……伝説の三聖獣様が、みんなここに揃ったんだね……!」


 トウマが感激した様子で一同を見渡す。


 西と東、それぞれの過酷な激闘を乗り越え、それぞれの「覚醒」を果たして一つに集った仲間たち。

 大聖堂の前で互いの無事と成長を喜び合い、みんなの顔に心からの晴れやかな笑顔が広がった。


「さあ、みんな無事で本当によかった。まずは大聖堂の中でしっかりと体を休めつつ、作戦を話し合いましょう」


 ソフィアの優しく落ち着いた声に、トウマ、アーサー、シオリ、そして三聖獣たちも力強く頷き、大聖堂の扉を開けて中へと足を踏み入れるのだった。


読んでいただきありがとうございました!


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