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第四十五話:青龍の目覚めと、二大覚醒の無双撃破!

 ——東門でアーサーが死の覚悟を決めた、まさにその数刻前のこと。


 西の大陸の奥深くに聳え立つ、雲を突く霊峰——『龍神の山』。

 その山頂に広がる古代の神殿にて、永きにわたり眠りについていた伝説の神獣——『青龍』の巨大な瞳が、カッと蒼い光を放って見開かれた。


『ぬ……!? 我が眷属……竜人の血を引く若き戦士の魂が、絶望の淵で燃え上がっておる……!』


 東門で孤軍奮闘するアーサーの切痛な「仲間と故郷を護りたい」という魂の叫び。それが龍神の山で眠る青龍の心を揺さぶり、覚醒させたのだ。


『我が力を授けよう、若き竜人よ!』


 青龍は天を突く咆哮を上げると、龍神の山から一直線に空を切り裂き、アーサーの待つ王都・東門へと疾風のごとく翔け巡ったのだった。


 ◇


「——魂を灼き尽くせ……『蒼天神雷閃(そうてんしんらいせん)』っ!!」


 ドォォォォォンッッ!!


 アーサーの頭上から放たれたのは、天をも穿つほど絶大な『蒼い雷光ブレス』!

 眩い濁流が東門の前線を呑み込み、アーサーを襲おうとしていた魔将ヴェルザの巨躯を含め、数千の魔物の軍勢を一瞬にして蒸発させ、塵一つ残さず消し去った。


「な……なにが……!?」


 死を覚悟していたアーサーが目を開けると、雲を突き破って舞い降りた青龍が、蒼い光の粒子となって己の身体と青龍刀へとなだれ込んでいた。


『我が名は青龍。竜人の戦士よ、我が力を其れの身に宿し、故郷を救うのだ!』


「青龍……様……! おお……おおおぉぉぉッ!!」


 蒼光に包まれたアーサーの全身の不調が一瞬で完治し、身体から蒼い龍の鱗を模した鎧と、圧倒的な闘気のオーラが噴出する!


 折れかけてヒビが入っていた青龍刀は、神話の霊気を纏う蒼き光輝の刃へと変貌を遂げていた。真の【青龍人】としての覚醒である!


「我らが故郷を汚す魔物どもよ……覚悟するがいいッ!!」


 アーサーの叫びとともに、地面が一撃で爆砕した。

 残されていた後続の魔物数千匹に向け、アーサーは閃光のような速度で踏み込む!


「青龍闘技・龍爪蒼雷波(りゅうそうそうらいは)ッ!!」


 青龍刀を一閃させると、巨大な蒼い龍の爪を模した三条の雷光波が大地を削りながら疾走! 立ち塞がる巨大魔獣の群れが、肉薄することすら許されず一瞬で一刀両断され、空中へと爆散していく!


「グガアアアッ!?」

「ヒ、ヒイィィッ! 竜人が……化け物に変化したぞ!?」


 あまりの破壊力に逃げ惑う魔物たち。だが、覚醒したアーサーの追撃は止まらない。


「逃がさん! 青龍・風雷旋風撃ッ!!」


 アーサーが青龍刀を旋風のごとく高速回転させると、全身から放たれた蒼雷が荒れ狂う竜巻となって戦場全体を覆い尽くした! 襲い来る矢や魔術の攻撃は、アーサーの纏う「龍燐の鎧」に弾かれて一切届かない。逆に嵐に巻き込まれた無数の魔物たちが、次々と落雷に打たれて全滅していく!


 まさに一騎当千。神獣の力を宿したアーサーの圧倒的な無双戦術が、東門の戦局を瞬く間にひっくり返していった。


 ◇


 そこへ、天空を揺るがす羽ばたきの音とともに、全身に紅蓮の炎を纏う巨鳥——式神『朱雀』に乗ったトウマが、東門の上空へと駆けつけた!


「アーサーさん!!」


「トウマ……!? その姿は……一体何があったのだ!?」


「ご先祖様の勾玉の力で……『陰陽師』として覚醒したんだ! 玄武は西門を守ってる!」


「そうか……お前も真の力を手に入れたか! ならば、残る東門の魔物の核を……一気に叩き潰すぞ!」


「了解です! 朱雀、炎の陣を放て!」


 天空から朱雀が神聖な炎の円環を地表へ描き出し、魔物たちの退路を完全に封鎖する。


「トウマ、合わせろ! これが青龍と俺の真の力だ……!!」


 アーサーが青龍刀を天高く掲げると、雲を切り裂いて龍神の山から巨大な蒼雷の柱が降り注いだ。青龍刀に天の雷と神獣の霊気が極限まで凝縮されていく。


「輝け……青龍・蒼天開闢斬(そうてんかいびゃくざん)っ!!」


 大空から振り下ろされた絶大な光の刃!

 その一撃は東門の広場全体を切り裂き、朱雀の炎と合わさって大爆発を起こした。王都を埋め尽くしていた魔物の大軍勢は、この二人と式神の超絶連携によって完全討伐されたのだった!


 ◇


 戦いが終わり、街に平和が戻った頃。

 暴走する瘴気の壁を自力で突破した師匠が、ドタバタと息を切らせて駆け寄ってきた。


『ハァ……ハァ……! トウマ、無事であったか! ……ぬ!? 天狐の力が使えぬはずのお前が、なぜ式神を従えておる!?』


 目を丸くする天狐に、トウマは胸元の勾玉を見せた。


「師匠と離れたあと、この勾玉が光って……ご先祖様の天神フウマ様が現れたんだ。陰陽師の力を教えてくれたんだよ」


『なんと……! 天神フウマ……!』


 天狐は感慨深そうに目を細め、フッと微笑んだ。


『そうか……フウマの一族か。かつてフウマは、我が配下として共に戦った誇り高き陰陽師の頭領じゃった。血は脈々と受け継がれていたのだな……見事じゃ、トウマ!』


 そこへ、アーサーの体から静かに離脱した青龍が、巨大な霊体となって空中に佇んだ。天狐は青龍を見上げると、ニヤリと不敵に笑う。


『クッカッカ! 龍神の山で眠りこけておった青龍よ、やっと起きおったか!』


『……相変わらず口の減らん狐め。だが、天狐よ、再び相まみえられて誇らしく思うぞ』


 神獣同士の久々の再会に、周囲の空気も和らぐのだった。


 ◇


 その後、ロイ国王からの深い感謝を受け、旅立ちの準備を整える。

 アーサーは過酷な戦いでボロボロになり、ヒビの入っていた『青龍刀』の刃を、王国の名工の手で真新しい龍鋼の刃へと交換・新調した。


 ズシリと重い新刃の感触を確かめ、アーサーが力強く鞘に納める。


「よし……刃の交換も完了した。トウマ、天狐様、出撃だ!」


「ああ! 待たせちゃったな、シオリさんたちを!」


『うむ! 東の大陸・鳳凰の村の大聖堂へ急ぐぞ!』


 西の大陸の危機を完璧に救った俺たちは、約束の合流地点へ向かって、急ぐのだった。

読んでいただきありがとうございました!


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