第四十四話:最果ての決意と、蒼き神竜の降臨
一方、トウマが西門で激闘を繰り広げていた同時刻。
王都の東門——敵の主力が怒涛のごとく押し寄せる最大の激戦区では、血煙と怒号が吹き荒れていた。
「叩き潰せ! 一歩も退くな! ロイ様と我が故郷を護るのだ!!」
アーサーの咆哮が響き渡る。
全身から蒼い闘気を激しく噴出させ、巨刀『青龍刀』を旋風のごとく振るうアーサー。その一撃は群がる魔物を何体もまとめて薙ぎ払っていたが、状況は絶望的と言うほかなかった。
敵の数が多すぎる。押し寄せるのは、北の大陸から侵攻してきた高位の魔獣たち。防衛線に当たっていた竜人族の兵士たちは次々と倒れ、東門の前線を死守しているのは、すでに傷だらけのアーサーただ一人となっていた。
「ハァ……ハァ……ッ!」
肩を上下させ、荒い息を吐くアーサー。
鎧の隙間からは血が滲み、全身を激しい疲労が襲う。だが、その足は一歩も後ろへ引こうとはしなかった。背後にある門の向こうには、幼少期から己を育ててくれたロイ国王と、避難が遅れた無数の同胞たちがいるのだ。
「俺は……竜人族の戦士……! 仲間を、故郷を護る盾となるために……俺はこの剣を握ったのだ……!」
『無駄な足掻きだ、竜人の羽虫が』
突如、重厚な地響きとともに、敵軍の奥から巨大な巨躯が姿を現した。
全身を黒鉄の甲冑で固めた階級魔獣——『魔将ヴェルザ』。その手に握られた巨大な破城槌が、容赦なくアーサーに向かって振り下ろされる!
「くっ……! 破ぁぁぁッ!!」
アーサーは渾身の闘気を青龍刀に込め、正面から受け止めた。
——ガァァァァンッッ!!
金属同士が激突する凄まじい衝撃音が響き渡る。
しかし、度重なる激闘で限界を迎えていたアーサーの膝が折れ、激しい吐血とともに吹き飛ばされた。地表を転がり、城壁に激しく激突する。
「ガハッ……! ぐ……うぅ……!」
「フハハハ! 終わりだ、戦士よ! お前も、この国もな!」
立ち上がろうとするアーサーの身体は、もう言うことを聞かなかった。青龍刀の刃には無数のヒビが入り、今にも砕け散りそうだ。ヴェルザが嘲笑いながら破城槌を高く掲げ、アーサーの頭上へと振り下ろす。
(トウマ……シオリ……ソフィア……。申し訳ない……俺は、ここまでだ……)
死を覚悟し、アーサーが静かに目を閉じた——まさにその瞬間。
「魂を灼き尽くせ……『蒼天神雷閃』っ!!」
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