第三十九話:響き合う四重奏、聖獣を解き放て!
「——全員、構えて! 撃ち出します!」
ソフィアの凛とした叫びとともに、手から放たれた『特製閃光弾』が、空中で光と闇の聖獣たちの真っ只中へと飛び込んだ。
——ドンッッ……!!
激しい爆音とともに、谷全体を包み込むほどの眩い閃光と強烈な衝撃波が炸裂した!
「「グアアアアッ!?」」
神速を誇る光のグラディウスは過剰な光に眩惑されて軌道を大きく乱し、闇のノックスは衝撃波によって絶対結界の波調を根底から狂わせられた。完璧だった二羽の連携に、決定的な隙が生まれる!
「今です! シオリ、風の旋律で視界をクリアに! 敵の動きを封じて!」
「はいっ……!! 疾風の刃!!」
シオリさんが竹笛を吹き鳴らすと、鮮やかな風の刃が渦を巻き、狂ったように羽ばたく二羽の翼を優しく、かつ確実に絡め取って地上へと縫い付けた!
「続いてアーサーさん! 二胡の音色とともに青龍刀の闘気を解き放ち、闇のノックスの結界を完全に破砕してください!」
「任せろッ!——【青龍波】ッッ!!!!」
アーサーさんが心の中で二胡の重厚な音色を響かせ、青龍刀に蒼い闘気を極限まで収束させる。
「破ぁぁぁッ!! 」
一閃! 蒼い龍の如き闘気が突き刺さり、罅の入っていた暗黒の結界が「パリンッ!」と音を立てて木々に砕け散った!
「見事です! トウマ、最後はあなたです!」
ソフィアのタクトが空を大きく描き、最後の指示を俺へと飛ばす。
「四つの霊気を心のリズムで完璧に交差させ、胸元の『尾』だけを的確に斬り落としなさい! 聖獣たちを……救うのです!」
「了解ッ!!」
俺は目をつむり、胸の中で刻まれる三味線のビートに全神経を集中させた。
ベベンッ……と脈動するリズム。炎の威力を、雷の速度を、風の伸びを、そして氷の固定力を——全ての霊気を黄金の霊刀へと一つに収束させていく。
(切り裂くのは、取り憑いた呪いだけだ……!)
俺は地を蹴り、空中で体制を崩している二羽の聖獣の懐へと飛び込んだ。
「響け……四重霊気・一閃ッ!!」
刃筋が描いたのは、美しく澄み渡る四色の光跡。
閃光とともに二羽の胸元を正確にすれ違いざまに切り抜くと、埋め込まれていた紫黒色の尾だけがスパッと切り離され、宙を舞った。
「「キィィアアアアアアッ……!!」」
二羽の聖獣から黒い煙が立ち上り、狂暴だった瞳に清らかな光が戻っていく。巨鳥たちは力尽きたように地表へと優しく舞い降り、静かに羽を休めた。
『ぬおおおっ! 我の【五本目】と【六本目】の尾じゃあぁぁっ!』
肩から飛び出した師匠が宙で舞う二本の尾をキャッチすると、まばゆい光とともに師匠の本体へと吸い込まれていく。
瞬く間にフサフサの尾が六本に増え、師匠から放たれる神々しい霊気が一気に跳ね上がった。
『くっくっく……! これで六本の尾が戻ったぞ! 霊力も格段に高まったわい!』
満足そうに胸を張る師匠の傍らで、正気を取り戻した光のグラディウスと闇のノックスが、感謝を示すように俺たちの前で静かに頭を垂れた。谷を覆っていた禍々しい空気は消え去り、穏やかな南国の風が吹き抜けていく。
「やった……正気に戻せたんだ……!」
俺が霊刀を収めて安堵の息をつくと、シオリさんとアーサーさんも駆け寄ってきた。
「トウマさん、すごいです! 見事な斬撃でした!」
「ああ、ソフィアさんの指示と全員の連携が見事に噛み合ったな」
最後に、タクトを静かに収めたソフィアが歩み寄り、柔らかく微笑んだ。
「私の指示に完璧に応えてくれてありがとう、みんな。あなたたちとなら……どんな強敵が相手でも、未来を切り拓いていけるわ」
ソフィアの言葉に、俺たちは顔を見合わせて力強く頷き合った。
五本目と六本目の尾を取り戻し、南の大陸の平穏を取り戻した俺たちの旅は、さらなる局面へと向かっていくのだった——!
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