カガミ領にて③
フラグ?なんですか?それ
森の中。
とは言っても、道もしっかりとあるし、木もある程度の間隔が空いて生えており、視界もそこそこに開けている。
人の手がちゃんと入っていることを感じさせる森である。
「~~♪」
先頭を歩くクレアはご機嫌で鼻歌を口ずさんでいる。
「久しぶりに来たけど、なかなか気持ちが良いわね。」
クレアと並んで歩くカレンも満更でもなさそうだ。
おそらく二人とも体を動かすのが好きなのだろう。
一方、我らがお姫様。
ウェンディはというと。
「うぅ~~。」
とオレの腕を掴んでプルプルしている。
え?なにこの可愛い生き物。
まあ、ウェンディはどっちかというとインドア派で大人しい性格だもんなあ。
まだ、小さいしこんなピクニック感覚で歩ける森でもちょっと怖いかもな。
「大丈夫か?ウェンディ。怖かったら戻って休もうか?」
そう言ってウェンディの頭を撫でてやる。
「はぅ。だ、だいじょうぶです。兄さまといっしょに行きます。」
「そっか。なら、何かあっても僕が守ってあげるから安心してね。」
「ふぁい……。」
そうして歩くことしばし……
ん?あれは?
森の中を歩いていると道の横にあるものを見つけた。
「おぉ!」
オレはテンションをあげつつ、ソレを拾う。
そう。
ソレはお馴染み!
『なんかいい感じの木の棒』である!
太さ・長さ・硬さ・しなりともにいい感じ。
男の子は誰でも棒が大好き。
逆手にもってストラッシュしてもよし。
片手平突きで牙のような突きを真似てもよし。
まさに少年たちのマストアイテムだ!
せっかく拾ったんだから装備しなきゃ意味がねえやな、とばかりにオレは『なんかいい感じの木の棒』を装備した。(攻撃力+3)
「およ。タケルくん。なんかいいもの持ってるねえ。」
オレがご満悦で枝を振っていると、それを見つけたクレアが話しかけてきた。
「お、おう。なかなかいいだろう。」
ストラッシュ!のポーズ。
やばい。少年の心が抑えきれない。
「おおー。いいねえ、かっこいいよ!あたしも探そうっと。」
「兄さま格好いいです!」
「…………。」
そして数分後、そこには棒を振り回す少年少女たちがいた。
……カレンも一緒である。
ふふふ、棒の魔力には逆らえなかったか。
しかし、流石は世界が違うな。
女の子も棒が大好きとは。(意味深)
さらに歩くこと十分程度。
若干開けた場所に出た。
そこには、ポツンと古びた小屋がある。
人の気配はなく、昔使われていた小屋だろうか。
「ねえねえ。入ってみようよ。」
好奇心の塊のクレアが小屋に向かって歩いていく。
なんやかんや、オレ達も興味はあるので後に続いて小屋に近づく。
クレアが扉に手をかけると、カギはかかっていないようで扉は難なく開いた。
中は薄暗くてよく見えないな。
クレアに続いてカレン、オレ、ウェンディも中に入る。
窓を覆っていた布をはがすと、太陽の光が中に入り込んできた。
「キャッ!!」
「おっと。」
オレの前にいたカレンが不意にオレに抱きついてきた。
どうやら日の光に驚いて、小屋にいた蛇が飛び出してきたらしい。
一瞬の間の後、カレンはさっとオレから身を離しそっぽを向く。
「……ふん。悪かったわね。」
「今のはしょうがないよ。大丈夫だった?」
「…………。」
……ふう。まただんまりかあ。
仲良くしたいんだけどなあ。
「驚かせてゴメンな。ちょっと邪魔するよ。」
オレは気を取り直して、蛇の首を掴み外に出してやる。
飛び掛かってきそうな雰囲気でもないし、蛇は別に苦手でもない。
……ウェンディは苦手そうだったけど。
さて、気を取り直して小屋の中を見てみる。
広さは六畳くらいか。
ほとんどモノは無く、備え付けの棚と木箱が転がっているくらいだ。
……いいね。ここ。
「ここにあたしたちの秘密基地を作ろうよ!」
同志よ。
オレと同じことを考えたのかクレアがそう提案してきた。
「いいね。楽しそうだ。」
「はい!」
「仕方ないわね。」
カレンさん。仕方ないという割に顔がいきいきしていますよ?
「まずは掃除をしましょうか。埃がすごいわ。」
「だねー。一回戻ろっか。お昼ごはんももうすぐだし。」
「そうだね。そうしよう。」
「はい。」
そして、オレ達は来た道を引き返し屋敷へと戻った。
ちょうど、お昼頃。
オレ達が食堂に入ると、すでにキアヴェリ様とアンがいた。
「あら、皆どこに行っていたの?クレア、来てきたのね。」
「はい。ちょっと皆で近くの森をお散歩していました。」
「なに?危ないことはするなと言っていたはずだぞ。」
「大丈夫ですよ。あの森は深くまで入らない限りは安全な森ですから。」
カレンもフォローしている。
「あらあら、カレン。機嫌は直ったのかしら。まあ、いいわ。ご飯にしましょう。皆手を洗ってきなさいな。」
「「「「はーい。」」」」
そして、お昼ご飯を食べながら今後の話をする。
「さて、ちょっと仕事が長引きそうなので、カガミ家にはあと3日ぐらいお世話になりそうだ。二人とも大丈夫か。」
「はい。大丈夫です、母様。」
「相手をしてやれずにすまないな。最後の日は観光がてら街に出てお土産でも買っていこう。」
「はい!楽しみにしてますね。」
「うむ。」
そう言ってオレ達の頭を撫でてくれる。気持ちが良い。
「三日間、お世話になります。」
「いえいえ、気にしないでいいのよ。自分のおうちだと思ってくつろいでね。」
「はい。ありがとうございます。」
「でも、あんまり危ないことをしちゃダメよ?」
「はい。気を付けます。」
そして、昼食後は再び大人組と子ども組に分かれる。
まずは、物資の調達だ!
子ども組はいったんそれぞれに分かれ、30分後に再集合することになった。
オレとウェンディは、こっそりとエリーゼのもとに行く。
悲しいかな。
ここはアウェー。しかも子どもの身。
誰かに協力を仰ぐしか手はない。
「エリーゼ。実は……。」
そして秘密基地のことを説明し、子どもたちがなるべく大人に秘密にしたいことも伝えておく。
「あらあら、まあまあ。仕方ないですねえ。」
エリーゼは基本オレ達に甘い。若干過保護気味なきらいもある。
甘えすぎは良くないが背に腹は代えられない。
そして、お掃除道具やお菓子、布などをゲットして集合場所へと向かう。
「あ、来たね。時間ぴったしだね。」
「遅くなってごめん。待たせちゃったかな?」
「あたし達もさっき来たところだから大丈夫だよ。」
「さあ、揃ったなら早速行きましょう。」
「はい!」
皆、それぞれに荷物を背負い小屋を目指す。
足取りも軽く小屋を目指す。
もちろん、『なんかいい感じの木の棒』は絶賛装備中である。
そして、小屋に到着する。
「さあ、キレイにするわよ。」
「「「おー!」」」
カレンの掛け声でオレ達は掃除を始める。
埃を払い、床を掃き、そこら辺を雑巾でキレイに拭いていく。
木箱には布を掛け椅子替わり、テーブル代わりにしていく。
そして気が付けば日も傾きだす頃になっていた。
「――ふう。今日はこのぐらいにしておきましょうか。」
「うんうん。いい感じじゃあないかな!」
「おお。秘密基地ってかんじだな。」
「わああ。」
「明日からはここを拠点に探検しましょうか。」
「お弁当作ってもらわなきゃ!」
「おー、いいね。わくわくしてきた。」
「はい!楽しみです!」
カレンとも直接の会話はほとんどないが、朝に比べて厳しい視線は無くなってきたように感じるし、オレ達は和気藹々といい雰囲気で家路に着いた。
明日からが楽しみだな。
気分は、平和をバスターズするあそこ。
誤字報告ありがとうございます。
疲れがたまった
やる気があがった
語彙力があがった




