第二十六話 「それぞれの休日」
# 第二十六話 「それぞれの休日」
それからしばらく。
かなうとは会っていなかった。
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連絡はたまに来る。
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『生きてる?』
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『普通』
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『ならよかった』
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相変わらずだった。
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でも。
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大学の頃みたいに、
毎日顔を合わせるわけじゃない。
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気づけば一か月。
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気づけば二か月。
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そんなことが増えていた。
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七月。
土曜日。
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りょうやは洗濯物を干していた。
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ベランダから見える空は青い。
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セミの声。
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遠くで子どもが遊ぶ声。
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平日の疲れを取るだけで、
休日が終わることも珍しくなかった。
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スマホが震える。
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かなうだった。
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『何してる』
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りょうやは少し笑う。
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『洗濯』
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既読。
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数秒後。
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『大人じゃん』
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『失礼』
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『俺まだ寝てた』
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りょうやは思わず吹き出した。
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大学の頃から変わらない。
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かなうは休日になると、
本当によく寝る。
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『もう昼』
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送る。
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『知ってる』
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『起きろ』
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『無理』
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それだけのやり取り。
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でも。
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なぜか少し安心する。
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変わったものはたくさんある。
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仕事。
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生活。
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住む場所。
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会う頻度。
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でも。
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こういうところは、
あまり変わっていなかった。
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午後。
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買い物へ出る。
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駅前の本屋。
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スーパー。
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ドラッグストア。
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なんでもない休日。
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ふと。
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大学の頃なら、
今何してただろうと思う。
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かなうの部屋。
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コンビニ。
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ファミレス。
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たぶん、
そんなところだ。
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帰宅途中。
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スマホが震える。
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かなうだった。
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『起きた』
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りょうやは少し笑う。
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『遅い』
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既読。
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『でも今日暑いから許して』
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意味はよくわからなかった。
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でも。
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かなうらしいと思った。
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窓の外では、
夏の夕日が少しずつ沈み始めていた。




