第二十二話 「予定を合わせる」
# 第二十二話 「予定を合わせる」
『今度飯行く?』
かなうからのメッセージ。
それから三日が過ぎていた。
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木曜日の夜。
仕事を終えたりょうやは、
コンビニで買った弁当を温めてもらいながら、
スマホを見る。
かなうとのトーク画面。
最後は、
『行く』
で止まっていた。
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レジを終えて店を出る。
六月の夜。
湿った空気。
雨は降っていない。
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歩きながら、
りょうやはメッセージを打つ。
『いつにする?』
送信。
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既読はつかない。
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昔なら。
今頃かなうの部屋にいた。
予定なんて必要なかった。
講義終わりに会う。
それだけだった。
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でも今は違う。
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金曜は残業かもしれない。
土曜は出勤かもしれない。
日曜は寝て終わるかもしれない。
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会うために、
予定を合わせなければならない。
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部屋に帰る。
弁当を食べながらテレビを流す。
内容はよくわからない。
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一時間後。
スマホが震えた。
かなうだった。
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『来週?』
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短い。
相変わらずだった。
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『土曜?』
送る。
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既読。
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『たぶん』
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りょうやは思わず笑った。
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『信用できない』
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すぐ既読。
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『失礼』
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そのあと。
少し間が空く。
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『でも会いたい』
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りょうやは画面を見る。
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かなうにしては珍しい言葉だった。
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たぶん。
深い意味はない。
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大学の頃なら。
「暇だから」
くらいの意味だろう。
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それでも。
少しだけ嬉しかった。
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『俺も』
と送ろうとして。
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りょうやは指を止めた。
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少し考えて。
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『じゃあ土曜な』
とだけ送った。
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既読。
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『了解』
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それだけ。
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でも。
大学を卒業してから初めて決まった約束だった。
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スマホを置く。
窓の外では、
遠くを走る車の音が聞こえる。
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土曜日まで、
あと二日。
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それだけなのに。
少しだけ、
楽しみだった。




