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「拝啓、かなうへ。あの日の約束を覚えていますか?」  作者: ともり。


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第二十一話 「会わなくなった理由」

# 第二十一話 「会わなくなった理由」


六月。


雨の日が増えていた。


仕事帰り。


りょうやは駅前のコンビニで傘を買った。


朝は晴れていた。


天気予報を見ていなかった。


大学の頃なら、

かなうが隣で、


「また?」


と笑っていただろう。


---


改札を抜ける。


人の流れに乗って歩く。


スマホが震えた。


かなうだった。


『雨やば』


りょうやは少し笑う。


『傘は』


既読。


数秒後。


『ない』


『学習しろ』


『お前にも言われたくない』


りょうやは思わず吹き出した。


---


大学の頃。


二人で一本の傘に入った日があった。


かなうは傘を持たない。


りょうやは折りたたみ傘を持っている。


毎回同じだった。


---


電車に揺られながら、

りょうやは窓の外を見る。


気づけば、

最後にかなうと会ってから、

一か月以上経っていた。


---


別に喧嘩したわけじゃない。


連絡も取っている。


関係が悪くなったわけでもない。


---


ただ。


会わなくなった。


---


それだけだった。


---


大学の頃は簡単だった。


講義終わり。


「コンビニ行く?」


それだけ。


---


今は違う。


お互い仕事がある。


休日も違う。


疲れている日もある。


予定もある。


---


会おうと思えば会える。


でも。


思ったより難しい。


---


夜。


部屋へ帰る。


スーツを脱ぎ、

ソファへ座る。


スマホを見る。


かなうとのトーク画面。


上へスクロールする。


---


『生きてる?』


『全部』


『ならよかった』


---


短い言葉ばかり。


でも、

かなうらしかった。


---


スマホが震える。


またかなうだった。


『今度飯行く?』


りょうやは少し画面を見る。


それから返信する。


『行く』


送信。


すぐ既読がつく。


---


でも。


次の返信は来なかった。


---


たぶん。


かなうも疲れている。


---


りょうやはスマホを置く。


窓の外では、

雨が静かに降っていた。


---


会わなくなった理由なんて、

特別なものじゃない。


たぶん。


大人になるって、

そういうことなんだと思った。


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