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「拝啓、かなうへ。あの日の約束を覚えていますか?」  作者: ともり。


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第十三話 「写真」

# 第十三話 「写真」


「なに見てんの?」


学食のテーブルで向かいに座ったかなうが聞いた。


りょうやはスマホから顔を上げる。


「高校の時の写真。」


「急だな。」


かなうは興味を持ったらしく、

身を乗り出してきた。


画面には、

文化祭の集合写真が映っている。


制服姿。


今より少し幼い顔。


「若。」


「二年前だぞ。」


「十分若い。」


かなうが笑う。


りょうやは写真を次へ送る。


体育祭。


修学旅行。


卒業式。


その頃は、

大学生になることが大人になることだと思っていた。


でも実際は、

そうでもなかった。


かなうがスマホを見ながら言う。


「この頃さ。」


「ん?」


「二十二歳とか二十三歳って、

 めちゃくちゃ大人だと思ってた。」


りょうやは少し笑う。


「わかる。」


「今なってみたら全然だな。」


「まだ二十歳だけどな。」


「気持ちの話。」


かなうがアイスコーヒーを飲む。


学食の窓から、

昼の光が差し込んでいた。


周囲では、

学生たちの話し声が響いている。


かなうが、

ふと写真を見ながら言った。


「この頃、

 ずっと続くと思ってた。」


「何が。」


「全部。」


りょうやは返事をしなかった。


かなうも、

それ以上は言わなかった。


---


講義終わり。


二人はいつものように歩いていた。


空は少し曇っている。


かなうが、

コンビニで買ったジュースを振りながら言う。


「卒業したらさ。」


「ん?」


「みんなどうなるんだろ。」


「働くんじゃない。」


「雑。」


かなうが笑う。


「佐伯とか東京行くじゃん。」


「らしいな。」


「森下も県外だろ。」


「たぶん。」


かなうは少し黙る。


信号待ち。


車が横を通り過ぎていく。


かなうが、

前を向いたまま言った。


「気づいたら、

 全員会わなくなるんかな。」


その言葉に、

りょうやは少しだけ考える。


でも、

答えは出なかった。


まだ先の話だと思っていたから。


信号が青になる。


かなうはいつもの調子で歩き出した。


「ま、俺らは大丈夫か。」


「何が。」


「なんとなく。」


りょうやは少し笑う。


「根拠ないな。」


「こういうのは、

 根拠なくていいんだよ。」


かなうはそう言って笑った。


その笑顔を見ながら、

りょうやも少しだけ笑った。


たぶんこの頃の二人は、

離れることなんて想像していなかった。


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