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王子の悩み(笑)


エラ視点から王子の執事じぃやに視点が変わります。

私の推し、じぃやを活躍させたかったのです。



流石は王宮!……って感じの豪勢な朝食を食べ終えた私とオリバー。兄は朝寝坊。


会食の場では、陛下と王妃様は朝に弱いらしく不在で、私に部屋を貸してくれた姫君も留学中で不在。


肝心のおじ王子も……ふ・ざ・い☆


そんなわけで、王太子一人が嫌な顔せず私とオリバーの相手をしてくれた。おじ王子と本当に兄弟なのか疑っちゃうレベルで顔も性格も似てない。


ぶっちゃけると、夜会の時は色んな事考えていたから王太子のことジャガイモにしか見えてなかった。王太子を一言で表すと……


『流石、美形大国の王太子!』

『よっ!王太子!」』


って感じの美貌ね。……あと、おじ王子より年上なはずなのに若々しく感じた()


(……それにしても、何でおじ王子も朝食の場にいないの?朝に弱いタイプなの?いつも王子に着いて歩くおじぃちゃん執事の姿もないし。)


5分経っても10分経っても現れないから、どうしても気になって、バスケットいっぱいに詰まったパンを私の前配りに来てくれた、メイドの子に事情を聞いてみた。


『最終確認しているらしいです。何のかは存じ上げませんが』


――との事。



(最終……確認????嫌な予感しかしないのは何故かしらねぇ〜……。あの人ってば、何をやらかすつもり!?)



――朝食を食べ終えた私達二人は現在、王子付き侍女を先頭に移動している。


どこに向かっているのかというと、王子の第二の自室と化している応接間に行くらしい。何故そんな所に二人だけで呼びつけられたかって?



そんなの私が知りたい!!



昨日までは初めての外国旅行で浮かれて手紙に書いてあった『君達に頼みたい事』をすっかり忘れてた。


“君の王子様”って言葉がパワーワードすぎて頭から忘却してたみたいね。


「ねぇ、オリバー。エザラを部屋に帰らせて私とオリバーの二人だけ呼びつけるなんて怪し過ぎると思わない?」


先頭を歩く侍女は王子サイドだろうからオリバーにだけ聞こえる声の大きさを心掛けた。



私ってば出来る子!



「まぁ、あの王子の事だし何か思惑がありそうだけど……あぁ、貧血の薬飲んだ?また倒れる事態は避けたいから」


「几帳面なエザラによって飲まされたわよ。ほぼ無理やり」


メイドの『最終確認してるそうです〜』発言に驚いて

えぇ〜?!って口を開けたタイミング。そのタイミングを『待ってました!』と言わんばかりに後ろに控えていたエザラから薬を口に放り込まれたの!


「それはよかった」

「よきゃないわ!意識無くせないなんてどうすればいいのよ!」


来る前は『ヴァレンタ国に迷惑かけられない』とかいい子ちゃんぶってたけど、おじ王子が何をしでかすのか分からない恐怖で、今は意識なくしたい気分です!はい!



「あの……おふたりとも」



私の声が大きかったのか、先頭を歩いていた侍女がいきなり立ち止まり振り返るもんだから『ひゃっ!』って驚いて声が出ちゃった。



「えーと、何かありまして?」



色々と思考を巡らせながら彼女の返答を待つ。


(まさか……王子のほぼ悪口聞こえてた??まずい意識無くせなくなるとか言っちゃった!)



「お二人って………仲の良いご夫婦なんですねっ!寄り添う姿がとっても素敵ですぅ〜」



頬を赤らめておっとりとする王子付き侍女に、私は平然(外ヅラ)を保ちながら『まぁ、ありがとうございます〜』ってクールに返したけど内心では……


『やばかった……やばかった……!バレたかと思った』てな具合に焦っていた。


取り敢えず助かったぁ〜………いや待てよ、安堵するのはまだ早い?!だっておじ王子に何言われるか全く見当もつかないから!


私ってばどうなっちゃうのぉぉぉ〜〜〜〜!!!


◇ ◇ ◇


「相談とはなんですか?ベルタ様」 

「あぁ、よく来たな2人とも。とりあえずソファーに腰掛けてくれ。」


応接室に現れた伯爵様とエラシラ様はお似合いな夫婦です。これは以前、伯爵家にお邪魔した時も感じたこと――。ニコニコと微笑む伯爵様の御尊顔は好印象ですし、奥様のエラシラ様は可愛らしい雰囲気です。


ベルタ様に仕える執事としては殿下を応援したいところなんですが……ね。


オリバー様は人が良さそうな方で、ソファーに奥様をエスコートする様子から、夫婦仲は良好なのが伺えます。おふたりの仲を壊そうと企てるうちの主人に変わって謝罪しておきましょう。


……ベルタ様の計画は上手くいかないでしょうけど()


「実はな…私の所有物である『タリターナの女神』が盗まれてしまって。犯人の見当はついているんだ。あの悪名高き学園長が犯人だ!!そうに違いない。」


身振り手振りで大袈裟に伝えるベルタ様。


演技力はそこそこあるのに設定が嘘くさくて、伯爵様は信じてないみたいですね。一瞬にして伯爵様のご尊顔が、作り笑いに変わったのを目撃してしまいました!


「あっ、これが肖像画だ。」



(ベルタ様今からでも遅くありません。辞めましょう、バレてますから!)



――そんな心の叫びを無視し、最高峰の職人が作ったテーブルに『ドンッ』と大きな音を立てて肖像画を叩きつけてくれやがりました。額縁だって高価な物なのに。


テーブルに置かれた肖像画の人物…‥。

“悪名高き学園長”との異名を付けられている人物……。


彼は何を隠そう私の弟、ルイスなのです!


人のいいルイスに“悪名高き学園長役”をオファーしたところ、ノリノリで引き受けてくれました。普段は子供思いの優しい学園長ですし、自慢の弟です。


「本当にこの人が盗んだんですか?」


純粋そうな奥様も疑いの目を向けています。肖像画に描かれているのは人の良さそうな私の弟ですからね。この肖像画を見て『悪名高そう!』と感じる人はほぼいないでしょう。


「見た目は優しそうだが、騙されてはいけない!立派な犯罪者だ。裏で人身売買しているとの噂もある!」


「えぇ!そんなひど過ぎます!」



あっ……信じるんですね。大きく目を見開く奥様は殿下の演技力(笑)にすっかり騙されているご様子。とても純粋な方なんでしょう。


「でしたら僕たち二人ではなく、自国の組織にお任せすればいいのでは?その方が確実ですし。」


伯爵様は冷静沈着で痛いところをついてきますね。一筋縄では行かないオーラが有ります。――と言ってもこの状況で騙されるのはごくわずかでしょうが。


「そっ、それは………あっ!彼らに頼むと税金がかかるだろう?私的な置物だからそんなことにお金は使いたくないんだ!!」


「っは!……民思いなんですね!意外と優しいんだ。」


「「信じている……。」」


驚きのあまり声に出して、伯爵様とまるっきり同じ発言をしてしまいました。あっ、伯爵様と目が合ったのでお辞儀しておきます。『うちの王子が迷惑おかけしてすみません』という気持ちも込めて――。


「君たちにしか頼めないんだ!それに裏金疑惑も出ているとか!?」



(ベルタ様、設定盛りすぎですよ。)



『人攫い』に『裏金』に『窃盗』…‥弟がノリノリとはいえ、とんでもない極悪人に仕立て上げられて、兄としては何ともいえない気持ちです。


「裏金?!そんな!民から得たお金で裏金だなんて酷いです!エラシラしっかり暴いてきます!」


「…‥変なスイッチ入っちゃった」


困惑の声をあげる伯爵様。

ここまで来たら大変でしょうが付き合っていただきましょう。まぁ、そんな私もベルタ様のよく分からん遊びに付き合わされるわけですけど。


◇ ◇ ◇


「うわぁ〜すごい服の数!」

「色んな服をまとめて収納してますからね。」


おじぃちゃん執事に連れられ、お城の最上階フロアの衣装部屋にやって来た私とオリバー、おじ王子の3人。


衣装部屋の感想は……部屋デカッ!服の量多い!

だった。


ただの衣装部屋なのに、天井に吊るされたシャンデリアが豪華なところにロイヤルさを感じる。


見せびらかすように飾られた宝石達もシャンデリアに照らされてピッカピッカに光り輝いていた。太陽の次に眩しいに違いない。


『まるでブティック!』ってな具合に一人ではしゃいでいると……ふと思った。いつも自己主張の激しいあの人が見当たらないって。


「ベルタ様は?……どこ?」


おじ王子の姿はキョロキョロ見渡しても何処にもない。さっきまで私の横に居たはずなのにな、あんなデ……失礼。横に大きかったら嫌でも目に入るのに。


「殿下はですね衣装の最終確………ではなくて、

えー……あっ、そう!やらねばならないご公務が残っているので〜。この先からはお二人だけという形で!」

「ふ〜ん。公務……ね。」


“公務”を強調して執事にニッコリ微笑みを向けるオリバー。と オリバーに微笑まれて視線を逸らし、冷や汗を拭うおじぃちゃん執事。


何だ、何だ?この空気感??………まぁいいか☆


「ベルタ様って民のために税金気にして私たちに依頼したり、公務頑張ったり……意外といい人ね!もっと身勝手な人だと思ってた。」


「そっ、それは………ホホホ〜」

「エラ……怪しい人から壺を勧められても“絶対に”買わないでね。“絶対に”」

「何でいきなり壺の話が?私が壺なんて買うわけないじゃない〜。変なオリバ〜。」


意味わからんこと口走るオリバー。と さっきよりも冷や汗を垂らすおじぃちゃん執事。汗が流れるわ流れるわで、じぃやの拭う手が止まらないけど……。


「大丈夫なんですか?そんなに汗かいて……っは!まさか具合が――

「あぁ、いえいえ、そう言うわけでは!ご婦人の純粋なお気持ちに感心していただけですから。」

「えへへ。何だぁ〜。そうなんですね。」


「私のことはいいですから、学校に潜入していただくので生徒役か先生役のどちらかに着替えて下さい。制服はえんじ色です。」


おじいちゃん執事がワイシャツやらスーツやら色々置いてある一角を指し示した。


「えーと、えんじ色の制服……えんじ…」


――制服コーナーに駆け寄った私はすぐさま物色!手触りは結構サラサラしてて高級そうな制服ばかり。


「……あっ!これだわ!」


お目当ての制服はブレザーがパプスリーブになってて『お嬢様です!』って雰囲気で可愛い。スカートは膝丈ちょい下でフワッとしてるからよりお嬢様感出てる。


これは生徒役やるしかない!←制服着たいだけ


「ねぇ、オリバーはどうするつもり?」

「そうだな。僕は高等部の制服を――


私のすぐ後ろで物色していたオリバー。

すでに制服を手にしていたんだけど……生徒役やるつもり?


「待って!オリバーは制服着ても生徒には見えないわ。その点私はキューティーな童顔だから制服が……ほら!こんなに似合う。」


制服一式を体の前にかざしてみると、なんということでしょう!とっても可愛い女子生徒の出来上がり!


「そうみたいだね。あぁ……でもそれは高等部の制服だよ。君のはこっちじゃない?」


微笑んで私の前に差し出したのは………襟の部分が丸襟で、スカートの丈が長めの制服。これ中等部の制服じゃんか!


「私が子供っぽいって言いたいの?!そんなに子供に見える訳ない……はず」

「まぁ、そういうことにしておこうか。じゃあ僕は先生役をやるよ。」

「え!それなら私が選んであげる〜。楽しくなってきちゃった☆」


「君、話の趣旨忘れてない?」


「もう!さっき聞いたばかりなんだからちゃんと覚えてますっ!悪の学園長を“牢屋に入れるため”に学校へ潜入するんだよね!」


「…… タリターナの女神を取り返すんじゃなかったの?」


「そうだっけ?どっちでも同じよ〜」


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