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びっくり!通された部屋が……


プチ観光も終わって今はお城の中。

人の良さそうなおじぃちゃん執事を先頭に、泊まる部屋までの案内がてらお城見学しているところ。


本当は『わーい!お城見学楽し〜』って感じではしゃぎたいのに、後尾で項垂れるおじ王子のせいでそんな気分になれない。


「ベルタ様、せっかくご友人方がいらっしゃったのですから、気分上げていきましょう!」


気まずい私達4人に変わり、気を利かせて励ましの声を掛ける執事にも気にせず、王子はブツブツ呟いている。


「相当オリバーの活躍が応えたのね。」

「そうでしょうね。」


隣で歩くエザラに耳打ちすると気まずそうに苦笑した。


「皆様、観光の方はいかがでしたか?」


王子を無視することにしたのか、私達に顔を向けて優しく微笑みかけてくれた。案内してくれているのは酒飲み対決の際、王子を応援していたあのおじぃちゃん執事で、物腰が柔らかい紳士な人。王子と対照的ね。


「じぃや、そんなこと聞くな」


後尾から一文句を言うおじ王子。

なんだ、アンタ聞いてたんかい。

みんな驚いて5人全員が振り返ってますよ!


それでも、まだ引きずっているみたいで目に光がない、死んだ魚の目をしている王子は、またブツブツと呪文のように呟き出した。


コソッ

「オリバーが小さい子供を助けた後からあんな調子なんだ。」


ササッと先頭にいる執事の横につくと耳打ちした兄の言葉に、執事は『ハァ〜』と、ため息をつくと……


「まぁ…そんな事だろうと思ってました。気にしないでおきましょう。さぁ!こちらはヴァレンタ国が誇る――


いつもこんな調子なのかサラッと受け流す執事……優しそうだけど中々王子の対応塩だわ!


      

       * * *



おじいちゃん執事の……『お泊まりいただくお部屋に到着しました〜』と言う言葉で、生き返ったかのように自慢し出した王子。


(さっきまで目が死んでたとは思えない代わりよう!)


「私が用意させた部屋は気に入ったかエラ。狭すぎたか?」


狭いわけがない。私が普段使っている寝室の倍の広さがある……あと関係ないけどシャンデリアがキラキラして眩しい。


「むしろ広過ぎるくらいです。オリバーと2人で寝ても余るくらい広いベッドですし……」

「いや、伯爵殿とエラは別室だ。」

「えっ、オリバーと別々なんですか?」


普通夫婦は同じ部屋用意されると思ってた。ちょっと楽しみにしてたのにぃ!あ……今のは忘れて。


「一人一人部屋を用意するのがウチの国の慣わしだから。」

「そう……なんですね」

「ハハハハ。お前分かりやすいな。すごく残念そうな顔だ」

「もう!揶揄うのやめてよお兄様!」


オリバーの様子をチラ見したら、バッチリ目が合って、ニコって微笑まれた……絶対残念がってるって思われたぁー!恥ずかしすぎる。


トマトもビックリの赤っ恥で顔が赤くなるのが自分でも分かる。


「ゴホン、ここは妹がたまに使う部屋でな。妹が言うには、寝室ではないから好きに使っていいらしいぞ」


えぇーー!

リアルお姫様のお部屋を私に!?


確かにこの部屋、天蓋付きベッドなの豪華だなって思ってたけど……まさかお姫様のお部屋だったなんて!


全体的に薄紫で統一されたお部屋。特に花柄の壁紙が部屋のアクセントになって可愛らしい印象。


「気に入ったか?エラ」

「はい!ありがとうございますベルタ様」


リアルお姫様の部屋にテンションが上がっておじ王子に微笑んで見せた。


「心から笑ってくれたの2回目だ……」


王子は腕でゴシゴシと溢れる涙をぬくって、執事に肩をポンポンされている……やばい今まで偽の笑顔だったのバレてた。


「それにしても殿下。妹君の部屋にしろ、この部屋だけ厳重過ぎる警備では…?」


部屋の前には兵士が右左2人ずつ配置されてた。お城のことよく分からんけど、お姫様の部屋なら高価なものとか多いだろうし、持ち出せないように厳重なんじゃ?


それでも他の部屋には配置されてないから、ここだけ異質に感じるのは確か。


「女性に何かあったらまずいから厳重な警備なんだ。()()()()伯爵殿がこの部屋に入ろうとしても入れて貰えないだろうな。ハッハッハッ〜」


「……分かりやすい牽制。」

「オリバー何か言った?」

「いや、何も」


オリバーが何やら呟いたけど早口過ぎて聞き取れなかった。


        * * *


王子達は、兄とオリバーの部屋を案内するらしくてここの部屋にはエザラと私の2人きり。


「ふぅ〜、なんとか乗り切ったわ。」


フカフカ高級ソファーに腰を下ろすと緊張が溶けていく。ハァ〜さすがお姫様のソファーだわ……あとなんだか紅茶が飲みたくなってきたなぁ〜。


――なんて和んでいたらエザラが気を利かせて紅茶を淹れてくれた。今の声に出してないのに私の気持ちが分かるなんて……流石過ぎる!


「奥様、夜会の下準備をするために奥の部屋にいるので何かあったら声をかけてください」

「分かったぁ〜」


エザラは、ドレスやらが入ったトランクを持ち上げると、鼻歌を歌いながら奥の部屋へと消えていった。ここの部屋からでも鼻歌が聞こえてくる。


鼻歌歌いながらあんな楽しそうにしてるなんて可愛すぎるよね?憧れの国でテンションが上がってるみたい。


「フフフ……エザラってば可愛いんだから。」


コンコン!


「はぁ〜い」


――そんな上がった気分を落ち着かせるようにノック音が聞こえた。


誰かな?

っは!まさか…王子がやって来た?

警戒しながらそぉ〜っと扉を開けると、おじぃちゃん執事の姿があった。


(あぁ、なんだドキドキした。)


「コチラをお渡しにあがりました。」


「えっ!?これって……


目の前に差し出された“ブツ”に驚きの声を上げ、広い廊下に私の声が響いた。


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