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ドレスをお披露目する!


「このドレス以外と重い…」


何層にも重なった、いつもより少し重めのドレスを揺らし、2人の元へ駆け寄った。


今日は、オフショルダーのドレス!

淡いアクアマリン色(水色)を基調としていて、レースやリボンがふんだんにあしらわれた可愛らしい雰囲気……そう私にピッタリってわけ!


ドレスに施された装飾品には、優しい桜色のリボンやバラが使われ、水色とピンクの相性がいい。


――そんな夜会用のドレスに身を包んだ私は、廊下で待っていたオリバーと兄を見つけて声をかけた。


「オリバ〜!お兄様〜!お待たせ」


オリバーは“上着・スカーフ・ズボン”を黒でまとめてベストだけが鼠色の夜会服。一方の兄は、軍礼服(多分着慣れているから)を着ている。


『私が泊まる王女の部屋』と『普通の客室』は別のフロアらしいから、2人には先に会場前の廊下で待ってもらっていたというわけ。


「ねぇ、見て〜可愛いでしょ?」


ドレス全体を見せようと、クルリと回って見せたらスカートが膨らんで可愛さ全開☆


ヴァレンタ国で一番ヘアアレンジが得意だと言う侍女に、肩上のボブを上手いこと編み込んで、両サイドを低めのお団子にして貰った。それをドレスの装飾と同じピンクのリボンでまとめると……


羊ヘアーの完成!


前髪は、ドレスの色味が可愛すぎるから、今日は前髪をセンターで分けて捻って後ろで固定してもらった。だからオデコが丸出し!


流石の技術にエザラも、感心してメモを取っていた。メイクはエザラがしてくれた。

 

「なんか、気合い入ってるな。水色とピンクって」

「似合っているけど、そんなドレス持ってたっけ?」


「オリバー鋭いわね。そう!このドレスはなんと……ベルタ様に貰ったの!胸元にもピンクと水色のタフィーネ付付けちゃった!」


可愛さをアピールするために顔に手を添えたあざといポーズ。このキューティーな顔も相まってまるで天使な、わ・た・し〜


「へぇ……“貰った”ね〜」

「もうっ!何その反応は。不満でもあるの?こんなに可愛く着こなしてるのにぃ〜!」


子供が拗ねたみたいに、彼の胸を弱々しくポコポコ叩いてしまった。


(……っは!まさかオリバーも、ついに私の可愛さに目覚めて嫉妬?!)


上にある顔を至近距離から見上げると『どうしたの?』みたいな顔だった。


(う〜ん、やっぱり違うか。オリバーは“嫉妬”って柄じゃないし。)


「こんなドレスいつの間に貰ってたんだよ」

「2人が部屋案内でいなくなった後に、おじぃちゃん執事が『殿下からのほんの気持ちでございます〜』って私に届けてくれたの。」


「それは良いんだけどさ。ドレスを贈られたってことは……まぁ時間もないし、良いか」


え?なになに?

なんてオリバー言おうとしてやめたの?


「私は良くないんだけど、何?」

「そうだよな。ドレスを贈るってことは……そういうことだよな」


2人して目を見合わせて何?どういうことぉー?!


しかも兄は腕組んでニヤニヤしてるし!

あっ、それはいつものことだった。


「あぁ、そのコサージュ僕にくれない?」

「このタフィーネを?いいけど……」


ドレスからコサージュを取って渡すと、オリバーは器用に自分の胸元に付け始めた


「わぁ〜、お花の色と私のドレスの色同じだから、2人でお揃いみたいになったね。」

「まぁ、一応これで大丈夫だと思うよ。」


“一応”って何??どう言うこと?


        * * *


「ルルフェ王国よりお越しのヴィセント伯爵夫妻、およびエレナーデ伯爵御入場です!」


侍従の呼び声で会場に入ると、既にヴァレンタ国の貴族たちが集まっていた。そんな中で呼ばれたもんだから、視線が私達3人に注がれている。


並び順は、呼ばれた通り私とオリバーが先頭でその後ろに兄が付いて歩く感じ。


大会場の床はツルツルピッカピカでまるで鏡かと思ったわ。向かって正面は全面ガラス張りの大きな窓で、会場内から星空が一望できてしまう。


なんて素敵!

だけど、見てる余裕私にはないだろうから今のうち拝んでおこう。


――そんな呑気なこと考えていたら、奥の方から三組ぐらいの貴族が、私達めがけて歩いてきた。


「ようこそ、ヴァレンタ国へ。ペラペラペラペラ〜


「ハッハハ〜。そうです我が国では、クドクドクドクド〜


多分歓迎の言葉をくれたのは、偉い貴族の人なんだろうけども、話が長くて言葉が入ってこない!


「いやぁ、王子が『遊びに来い』ってしつこいもんで、仕方なく顔を出しただけです。ハッハッハ〜」


まぁ…間違えてはいない。

けど、他国の貴族にその話し方ってどうなのよ、お兄様!


《絶対に外交向いてないわ、この人!》


「なるほど、殿下とは随分と仲良くなったんですね。滞在がそこまで長くなかったのに心を掴んだわけだ。ッハッハッハ〜」


あぁ〜良かった!!

心広い人で!広い心に感謝!


「ルルフェ国での滞在をとても気に入っていただけたようで、ぜひヴァレンタ国にも、と招待していただきました。」


仕事のできる子オリバーは100点の回答。

え……私?


「そうなんです。オホホ〜」


って返した。せっかくオリバーが100点の回答したんだもん。変なこと言って気まずくしたくない。


――その時、なだらかに続いていた演奏がピタリと止まり会場中に緊張が走る。


あ〜、遂におじ王子やって来るのね。昼の王子はオリバーにかっこいいところを持って行かれてへこんでたからなぁ……。


チラッと後ろを振り返ると、流れ星を発見した!こんなの祈るしかない!


(何もありませんように、何もありませんように、何もあり――


なんだか昼の王子の呪文みたいになってしまった。


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