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観光スポットでワクワク!!


「うわぁ〜お花が噴水の上に浮いてます!」

「本当だ!綺麗ねぇ〜!」


『城の前の噴水』は彫刻・美だったのに対してこの『願い叶う噴水』は可憐・お花の雰囲気。そんなにお城から歩いてないのに観光スポットが近場に2つもあるなんて!


「時期によって浮かべる花を変えるから四季折々楽しめる名所なんだって。以前ヴァレンタ国に来た時そう説明された。」



「「凄い〜い!!」」



オリバーの説明で盛り上がる私とエザラ。一方王子は地元の子供達に捕まったから身動き取れないみたい。さっきまで案内するって張り切って強引に腕を引っ張ってたのに。あの様子だとお忍びでよく来るのかな?


「なんだこの噴水。これじゃあ、水飲めないな」


やっと広場にやって来た兄は、噴水に浮かぶ花々を見てロマンのないことを言う。周りの観光客からもクスクス笑われてるじゃない!


「まぁ、これは観賞用だからね。」 


オリバーも苦笑してる、お兄様バカにされてますわよ!


「オリバーの言う通り、観賞用に決まっているでしょう!」

「いや、水飲みたくなったらどうす――


「ふぅ〜、やっと解放された。……ん?君達なんの話をしてたんだ?」


子供達から解放された王子は、疲れ切った足取りで会話の輪に加わった。私としては、もう少し子供達と話しててもいんですよ〜って感じだけど!


「………あれ?ベルタ様、このお花新種ですか?ルルフェではこんなお花見たことありません」


私が指差したのは、ピンクと水色の小ぶりなお花。色違いみたいだけど見たことがない品種ですごく気になる。


「エラよく気付いたな。その花は最近品種改良に成功した新種で『タフィーネ』と言うんだ。」


「タフィーネ?!可愛い名前」

「君も気に入ったか!僕が名付けたんだ」


エザラの問いに“僕が名付けた”って結構大きい声で話すから周りの観光客がざわつき出した。これ王子ってバレちゃった?!


「あなたがこの花の名付け親?!」

「おじさんすごーい!」

「そうだぞ。おじさんは凄いんだ、この花の形もこだわるようにと提案し――


観光客に褒められたのが満更でもないらしく、自慢するのに夢中……。良かった王子だってバレてなくて。王族は敵を作りやすいだろうしバレるのは危険……そういえば護衛騎士いないけど大丈夫なの?


「………え?!」


――今更気になってキョロキョロ見渡すと、茂みにSP2人隠れているのを発見。迷彩服と黒いサングラスで怪しさしかないんだけど?!よくそれでバレないと思ったわね。


通りかかる人達が途中で『うおっ!人?!』って驚いてるのに、気にせずオペラグラスで見守る様子は軽くホラー。あと、サングラスは取ったほうが見やすそう。


「エラどうしたの?何かあった?」


声がして振り返った瞬間、オリバーが至近距離で覗き込んできた。


「………っ!………っ!」

(訳:近い!距離近い!)


振り返ったらあり得ない至近距離で二歩下がった…‥いや、それでも近いな!


油断していた私にこの近さは反則級だし、太陽に照らされるプラチナブロンドが透き通っていて綺麗だなぁ……なんて呑気に考えていたら、現れたのよ。左側からおじ王子がニョキって。


「なんで2人してそんなに見つめ合っているんだー?!」


『迷彩服を着た貴方のSP見つけましたよ』なんて言えない。だから誤魔化すしかない!



「かっ、可愛いお店を見つけたんですよ〜!」



「可愛いお店?どこだ?」

「あっ、あそこです!」


咄嗟に指差したお店は小ぶりながらもセンスのいいお花屋さん。店頭にはタフィーネが置いてあるから噴水のお花はこのお店の物なのかもしれない。


「本当ですね。可愛らしいお店です!」

「あそこの花屋は王家御用達だから顔が効くんだ。寄ろうか?」


「「いいんですかベルタ様!!」」


「あぁ、ここは僕任せるんだ。伯爵殿の手を借りずとも()()交渉してくる。」


なぜか『僕』を強調するおじ王子。


* * *


明るいクリーム色の看板には“フラワーズ”と書かれ外壁はくすんだ淡い緑色。ドアも看板同様クリーム色で揃えられ店頭に並ぶピンクと水色のタフィーネが生えてセンスがいい。


顔馴染みの王子に気付いて店内から現れた店主は優しそうなおばさま。


「いきなりですまないが、花束を二つ見繕ってくれないか?ルルフェから来た客人に渡したくてな。」


「まぁ、こんなにたくさんのお客さんがルルフェ国からいらっしゃったんですね。ようこそヴァレンタへ。せっかくですしお嬢様方もご一緒に選びましょうね」


おばさまに助言をもらいながら好みのお花で花束が出来た。私は水色とピンクのタフィーネを主役にしたくて真ん中に白い薔薇を一輪添えただけのシンプルな仕上がり。


「ねぇ、どうかな?」


束ねる前の花束をオリバーに差し出すと、満足げな私の顔をみて、彼は優しく微笑んだ。


「エラらしくていいと思うよ」

「本当に?えへへへ」


オリバーから褒められちゃった。一言褒められただけなのにこんなに気分が良くなるの不思議。おじ王子にも意見をもらおうとしたけど、オリバーを睨んでお取り込み中でやめた。


「奥様、私のはどうでしょう?」


エザラの花束は、私とは違って色とりどりの花をセンスよく入れたみたい。自信があるのか、得意げ目を輝かせている。


「エザラのはカラフルで可愛い!」

「ありがとうございます。奥様のもタフィーネが映えていて綺麗です」


おばさまにまとめて貰ってついに完成。リボンの色とかも選べて自分好みの花束が作れて私たちは大満足。これはプレゼントしてくれた王子にお礼を言わないと。


「ベルタ様。こんなに綺麗なお花をありがとうございます」

「ありがとうございます」


「いやいやぁ〜そんなお礼を言われるほどでは。まぁ、君たちがそんなに喜んでくれたのなら良かったハッハッハ!」


機嫌がすこぶる良い王子はエザラと私に順番にハグ。終いには背中を『ポンポン』叩いた。オリバーも距離感おかしいけど、王子も中々近いんだわ!



(私は銅像…私は銅像……今の私は心のない銅像!)



「すげー鼻の下伸ばしてるな」「よっぽど嬉しかったんだろうね。」


なんて観察してる暇があったら2人とも王子を引き剥がしてほしいわ。特にオリバー!後ろ手に組んで苦笑してないで!


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