96話 殺人鬼の理由
次々と流歌と赤花の少年に兵士達が襲ってきている間、残された3人は城内へと侵入する事に成功した。
「なんとか中には入れたな。」
「そうね、あの二人が敵を引きつけてくれている事だし。」
「しかしあの"赤花"だ。完全に味方という訳では無さそうだな・・・。」
このリレイズの言葉に二人は同意する。
神使達を何人も殺す程の実力者であり、凶悪な殺人者でもある。
そして噂通りの力の持ち主であった。
「とりあえずいまは仲間の救出を第一としよう。それと多分、まだ神使や黒の種族の奴らが出てくる可能性もある。戦闘になったら面倒だ。」
「その場合は作戦通り、逃げ切れなさそうな場合は三人で戦おう。」
「分かったわ。」
そして、三人はさらに奥へと進む事にする。
その頃流歌達はと言うと・・・
「はっ!!」
迫り来る兵士達を愛刀"雪守"でさらに倒していっている。
(っち、こいつらしつこいな。どんどんと出てきやがる。)
しかし、流歌はここまで来る間あまり戦闘に関与して無かった事が多い。
出来るだけ戦闘を避け、見つからない様に慎重に作戦を実行してきた。
少しウズウズしていたところだった。
その為、普段なら赤花の提案を受け流すハズだったのだが、そういった理由もあり賛成していた。
(俺は決して戦闘狂では無いが、さすがにこっちに来るまで満足に体を動かせないのは良くないからな。)
理由はもう一つある。
先程までの流歌以外は神使や黒の種族と戦っていた。
そして、リンベルが言った危険人物がここにいる可能性も高い。
もちろん流歌もその人物達と戦うかもしれないだろう。
・・・言わば、準備運動だ。
「んー、次から次へと雑魚ばっかり・・・そろそろ強い相手が来て欲しいなぁ。」
「・・・お前は戦闘狂だな。」
「そうでもないよ。ただ、僕がいる国を好き勝手にされちゃ困るからね。」
「へぇ、お前みたいな悪人でも国に愛情はあるみたいだな。」
「・・・悪人、かぁ。」
「違うのか?」
「・・・まぁ悪人でいっか。」
赤花の少年は、自分を納得させる様な表情で言った。
流歌は何かあるのか?と思ったが、特に気にする事も無いか、とこの話はやめることにした。
「お。」
気付いたら流歌達の周りには倒れている兵士ばかりだった。
「これで先に進めるな。」
「それじゃ、先に行っててもらっていいかな?」
「先に?・・・あぁ、そういう事か・・・。」
二人の前には、黒いマントを羽織った人物がいた。
手には何も持っておらず、体格としては細い。
目つきは鋭く獲物を狙っているような獰猛な動物の目をしている。
「全く、今日は邪魔者が多いな。そしてまさかあの赤花の殺人鬼がこんな場所まで来るとはな。」
「へぇ、僕の事を知っているんだ?」
「知らない方がおかしかろう。せっかく主が駒を用意していたというのに、次々とその駒共を殺し邪魔をした人物を。」
その言葉で流歌は頭の中で何かがハマった様な感覚があった。
(駒・・・こいつが殺したのってもしかして・・・)
この赤花の少年が殺人鬼と呼ばれる理由。
・・・もしかしたらこの国を守る為だったのか?という憶測である。
しかし、今はまだ分からない。




