90話 赤髪の少年
牢屋の中は空っぽだった。
例の"赤花"とやらはいない。
「・・・まぁ、いてもらっちゃ困るんだけどな。」
「それにしても・・・もしあの"赤花"をも連れて行ったとすると、相当やばい奴なんだろうな。」
やばい奴・・・リンベルという女が見ただけで死を覚悟するほどの者だ。
(あの女も"神使"なんだよな・・・、そんな奴も震え上がらせる程の相手か。)
すると、突如後ろから物音が聞こえた。
その音に流歌とリレイズは反応しすぐに後ろを見た。
通ってきた道に、誰かがいた。
何かを引きずっている音がする。
「暗くて良く見えないが・・・あれは間違い無く人だよな?」
流歌の問いかけにリレイズは頷く。
ズルッ・・・ズルッ・・・ドサッ
その者は両方の手に大きな何かを持っていた。
それを地面に下ろして、流歌達の方を向く。
顔はまだ見れない、しかし・・・
「っ!!」
流歌はすぐさま刀を抜いた。
リレイズも同様に刀を抜き、戦闘態勢に入る。
(こいつ・・・!!)
その人物がこちらの様子に気付き、歩いてくる。
ゆっくりと、一歩一歩。
それが近付いてくる度に、二人は緊張する。
それは何故か?
"それ"が"危険"だからだ。
「ルカ・・・気を付けろよ・・・。」
「・・・ああ。」
徐々にその人物が見えてくる。
身長はさほど高くなく、少しばかり気の抜けた顔をしており・・・赤髪の少年だった。
「初めまして、ん?そちらの人は"神使"の方ですか。」
「・・・お前が"赤花"か?」
「その通りです、この前丁度扉を開けてくれたのでそのまま脱走しちゃいました。いやー、厄介だったんですよねあの紙。」
「・・・なぜお前だけがここの牢獄に残っている?」
「やだなぁ、そんな怖い顔で睨まないでくださいよ。別に何もしなければ殺しませんし・・・それに大した理由では無いですよ。これを探していたんです。」
少年は腰にある"赤い刀"を指差した。
「噂通りの禍々しい刀だな・・・。」
などと会話するも、流歌とリレイズは警戒心を緩めない。
そんな二人を見た少年は、はぁ・・・と溜息をした。
「それで、お二人は何か用ですか?他の連中なら確か連れてかれてましたよ。」
「それが本当かどうか確認してきたところだ・・・。それで、お前は俺達の敵か?」
「んー、どうなんでしょうね。まぁ、今のところは敵ではないと思いますけど・・・やるんでしったらやりましょうか?」
禍々しい殺気がこの空間を包む。
思わず流歌は冷や汗をかいてくる。
「俺達はこの国を救う為に動いている・・・それを邪魔するというのなら、お前と戦おう。」
「あぁ、この国の異変に気付いてらっしゃってるんですね。」
「・・・お前も知っていたのか?それにお前も関係してるということか?」
「いえいえ・・・むしろ僕は今からそいつらを殺しに行こうと思ってたんですよ。」
少し殺気は抑えられており、少年は軽く笑いながら言った。




