89話 "赤花"の殺人鬼
リンベルは思い出したかのように身震いする。
その男は相当やばいのだろう。
「・・・そんなに恐ろしいのか?」
「ええ・・・。」
「お前ほどの者がそこまで恐れるとはな・・・俺も会いたくないな。」
アランがそう言い、リレイズも同意した。
もちろん流歌もだ。
できることならそんな奴に会いたくないだろう。
「とりあえず遭遇したくないのは二人ね・・・英雄とその黒の種族の奴ね。まず逃げた方が良さそう。」
「そうだな、しかし・・・多分城に誰かしらはいるだろうな。」
これから城へ行くのだ。
しかし、ただでさえこの牢獄には黒の種族や神使がいた。
多分、流歌達がここを襲ってくると予想していたのだろう。
「とりあえず、私とアランは城へ向かうわ。あなたたちは3階まで行き様子をみること。」
「そうだな・・・合流する時間はどうする?」
「何もない限りは私達も動かないわ。あと二時間後に城の裏手で合流しましょう。いなかった場合は隠れ家に。」
「わかった。」
「それじゃ、行ってくるわ。」
リンベルとアランは城へと向かった。
この場にいるのは流歌とリレイズだけだ。
「とりあえず俺達も3階を探索しよう。もしかしたらリンベルみたく、まだこの牢獄に仲間がいるかもしれない。」
こうして、二人は2階を少し探索してから3階へと登っていった。
3階を見て回っていても敵が出てこないあたり、もう神使や黒の種族といった面倒くさい相手はいない様子だ。
「どうだ?」
「このエリアにはいないみたいだな、逆の方を見てみよう。」
「分かった。」
3階は2つのエリアに分かれていた。
片方はもぬけの殻だ。
「こっちの方はたしか、この牢獄の中でもS級の悪人が収容されているような場所だ。気を付けていくぞ。」
どうやらここのエリアは極悪人が収容されていた場所だ。
もし操られていなくても、殺人鬼といった人物がいる可能性がある為二人は警戒を強めて扉を開けていく。
「・・・ここが最後か?」
「そうみたいだな。」
「ここだけ他の扉の色も違うみたいだが?」
この扉だけ赤黒く変色していた。
ついでに言うと、作り自体も少し変わっていたのだ。
「多分ここは・・・"赤花"が収容されていたんだろうな。扉の周りには結界が施されている。」
その扉には大きく"封"と書かれてた紙が貼ってあった。
どうやらこれが結界の役割を果たしているみたいだ。
「"赤花"とはなんだ?」
「奴の通り名さ。本名が知られていない為、そう呼ぶ事になった。」
「ここにいるってことは悪人って事だろ?」
「そうだ・・・前に"神使"を5人殺し、民を100人以上も殺戮した最強最悪の悪人だ。」
「"神使"をっ!?ということは相当強いのか・・・。」
「それは分からない。どうやって殺されたのか不明なんだ。誰も見た事がないんだ、こいつが戦ってる場面なんて・・・ここの看守だって何人も殺されているんだがな。皆一瞬で殺されていた。」
「一瞬で?どういうことだ?」
「それが分からないんだ。だが皆一様に頭が破裂しているんだ。」
"赤花"という謎の人物がいた牢屋。
封、という紙をはがし二人は開ける事にした。




