78話 白髪の美少年
"怪力の神使"であるマーレンを見事に討ち取った。
周りにいた兵士達もその場面を見て、次々と逃げていった。
そんな中、当の本人は・・・
「最後の言葉・・・きっとコイツの本心だったんだろう・・・。」
マーレンが最後に放った言葉・・・"後の事は任せた"
「・・・胸糞悪いぜ・・・。」
(さっきの様な目じゃなかった、あれは・・・あの目は俺が以前に見た事のある民を思い、王を慕い・・・国の為に戦う勇敢な男の目だった。)
この戦いで、何者かに操られているという憶測が当たっている事に確信が得られる様になった。
そして、その黒幕に殺意が湧いた。
「じゃあな・・・後は任せてくれ・・・今は、眠れ・・・。」
リレイズは目を閉じ、静かにマーレンにそう言い放ち流歌達の元へ走っていった。
どことなく、二つに斬られたマーリンは安心したような表情だった。
その頃流歌達はと言うと・・・2階への階段を見つけたところだった。
「おい、この階段でいいのか?」
「多分な・・・何も罠とかなけりゃいいが・・・。」
「一応そちらで道は合っていますよ?罠などは仕掛けておりませんし。」
「「!!?」」
二人の後ろから、若そうな男性の声が聞こえた。
振り返るとそこには白髪で青い目をした美少年が立っていた。
すぐさま二人は武器を手に取る。
「やだなぁ、そんなに殺気をぶつけないでくださいよ。」
少し笑いながら手を軽く振る。
「それで、なんでお前さんがこんな場所にいるんだ?」
アランが尋ねる。
「・・・知り合いか?」
「ああ、もし敵だったら厄介すぎる。」
(厄介な奴・・・こいつも"神使"か?)
流歌の考えは当たっていた。
「初めまして、僕は"神使"のキリカ・シーベルトと言います、以後よろしくお願いします。」
「それで、"今"のお前は敵なのか?」
「そうですねぇー・・・まぁ、一応自我は保ててはいますから"今"は味方なんだと思いますよ。」
「どういう事だ・・・?」
「少し話すと長くなりますから、手短にお話しますと・・・"黒の種族"の中にとんでもない奴がいて、そいつが王や僕達や民を操っているって訳です。多分僕も完全に支配されるまでもう少し・・・。」
「やはりか・・・。」
「すみませんねぇ・・・僕も抵抗しようとしたんですが、力不足で。うっ・・・!!」
「どうした!?」
いきなり頭を抱えてキリカは蹲ってしまった。
「くっ・・・僕はこれからあなた達を襲ってしまう・・・!!その前に早く2階に行って下さい・・・それとこの鍵・・・をっ!!」
キリカは懐から出した一つの鍵をアランに向けて投げた。
「これは!?」
「・・・2階の一番厳重な牢屋にリンベルさんが入って・・・います・・・、あの人だったら何か・・・くっ・・し、知っているかもしれません・・・。」
「分かった!!恩に着る!!」
二人はそう言い放って、急いで2階へと登っていった。
「行ってくれましたか・・・僕はせめて、皆さんの邪魔にならないようにします・・・か。ははっ・・・まさかこの術を自分自身にかけるとは思っていませんでしたけど・・・。」
キリカは二人が登っていったのを確認すると、自分の親指を少し噛みちぎり詠唱していった。
「・・・"煉獄より出てし者よ この世に災いを呼ぶ存在を封じ給え 我が血を吸い 解き放たれん 神蛇"」
そして、大きな音と共にキリカは倒れていった。




