77話 "閃光"のリレイズ・コナー
流歌とアランが一階にたどり着いた頃、リレイズは"怪力の神使"であるマーレン・ダリルとの戦闘が始まっていた。
「どうしたリレイズ!!」
「っち、相変わらずの馬鹿力め!!」
赤黒いガントレットを装備しているマーレンは次々とリレイズに拳を打ち出す。
それに対しリレイズはその打撃を刀で防御をしていく。
この二人の戦闘に、周りの兵士達もそう簡単に近づく事はできないでいる。
ピキッ・・・ピキッ・・・と地面や壁など、二人の戦いの余波によって建物が壊されていくのだ。
「ふんっ!!」
リレイズはマーレンの拳を振り払い、距離をあけた。
「裏切り者とはいえさすがに"神使"だ、リレイズよ。だが少し腕が鈍ったのではないか?」
リレイズの体をみると、所々に痣や血がみられる。
少し呼吸も乱れている様だった。
「・・・一つ聞くが、今のこの国はどうだ?」
「この国の現状などどうでも良い、我が王の命令に従うまでだ。」
「そうかよ・・・。」
(こいつは民の事をちゃんと思ってた奴だったのに・・・多分"黒の種族"のせいだろうな・・・くそっ、もうここまで手が回っていたとは誤算だったぜ・・・。)
リレイズは国や人の変わりようからみて、間違い無く何者かによって操られている、と確信した。
そして、そこにはやはり"黒の種族"が見え隠れしている。
「・・・あまりここで時間を稼いでいる暇は無いようだな。」
「ん?何か言ったか?」
「ああ、さっさとここを終わらせてあいつらの場所まで行かないといけないな、と思ってな。」
「ふっ、お前にそんな余裕があると思っているのか?それに他の"神使"もいる。どのみちお前達は死ぬ運命だ!!」
「・・・勝手に言ってろ。」
(やはりまだ"神使"がいるのか・・・。面倒だな、特に"アイツ"とは戦いたくは無い。)
「ふぅー、悪いがのんびりしている暇は無いんだ・・・そろそろ本気を出させてもらうぞ、馬鹿力。」
「"閃光"リレイズ・コナー、死んでもらおう。」
「っふ、そんな事も言われてたな・・・行くぞ。」
リレイズは刀を鞘に収め、抜刀の構えをとった。
そこから身動きはしていないが、リレイズを中心にどんどん風が集まっていく。
(本当は味方には使いたくなかったんだが・・・許せよ、マーレン・ダリル。)
「・・・すまない。」
そうリレイズが言い放った瞬間だった。
姿が、消えた。
「なにっ!?」
いきなり姿が消えた事に驚きを隠せないマーレンだったが、すぐにその姿を見つけた。
「・・・俺の後ろに・・・い、いつのまに・・・!!」
チンッといつの間にか抜いてあった刀を、再び鞘に戻した。
その音と同時にマーレンの体が・・・真っ二つに切れた。
「・・・抜刀術"閃光"。」
「ぐふっ・・・み、見事だ・・・リレイズよ・・・すまなかったな・・・後の事は任せた・・・ぞ。」
その言葉に、思わず振り返った。
前のように優しい目をしたマーレンがそこにいたのだ。




