75話 神使との遭遇
三人が同じ灰色のマントを羽織り、まずは牢獄への侵入を始める。
既に時刻は夜であり大きな月が顔を見せている。
「この道を真っ直ぐいけば、牢獄の裏門だ。そこにも警備隊はいるが、塀を登っていけば手薄になっているはず、そこを狙うぞ。」
「ああ。」
「もし気付かれたら時間をリレイズが稼ぐ。その隙に俺とルカは内部まで侵入する。だが・・・"神使"がいたら面倒だ、その場合はもうしょうがない、俺も暴れる。」
「俺は作戦通りに牢獄の仲間を脱出させれば良いんだろ?」
「そうだ、だがルカは俺達の仲間の顔を知らない。だから関係が無い奴も一緒に解放してくれ。」
「警備隊を混乱させる為だろ?」
「その通りだ、行くぞ。」
三人が塀を軽々と登っていく。
身体能力が高いのだ。
周囲を見渡し、警備隊がいないことを確認して三人はさらに奥へ進んでいく。
「・・・。」
スムーズに侵入できている筈なのだが、なぜかアランだけは浮かない表情をしていた。
「どうした?」
「いや、警備が薄い気がする。少し作戦を変えていくぞ。」
「なぜだ?」
「勘だ。」
そのまま奥には進まず、あえて遠回りをする事になった。
アランの勘である。
(たしかに思ったよりかは警備が甘い気がするな。)
しかし、流歌達は何も言わずにアランに付いてく。
疑問に思った事は三人共同じだったからだ。
「よし、ここだ。」
アランが止まり、小さめの扉を指差した。
「この扉から中に入れる・・・そして地下に辿り着くのだが、俺達の仲間は最上階の3階にいるはずだ。そこまで行くには登っていくしかない、中は広いから気を付けろよ?」
「ああ。」
「リレイズ、どうした?」
「どうやら面倒な事になったみたいだぞ。」
後ろを向きながらアランと流歌にそう言い放つ。
リレイズが見ている方に視線を向けるとそこには10人の兵士と、一際体格が大きく周りと服装が違う男が立っていた。
「マーレン・ダリル・・・・。」
「久しぶりだなリレイズ、いや・・・裏切り者よ。」
「お前はこの国の違和感に気付いていないのか?馬鹿力。」
「俺は王の命令にのみ動く"神使"だ。変な真似をすればこの怪力を持って貴様を殺す。」
「悪いが黙って殺される訳にはいかないんでな。・・・おい、二人共。こいつは俺に任せて先に行ってくれ。」
リレイズがアランと流歌に向かって言う。
するとアランは何も言わずに扉を開けて中に入っていった。
「おい、あいつを一人で戦わせて良いのか?あのでかい奴も"神使"なんだろ?」
「心配すんな、むしろリレイズが本気を出したら俺達まで巻き込まれちまう。」
ニヤけながら言うアランの顔は、あの男を信頼しているという証にも見えた。
「・・・分かった。」
流歌はそれ以上何も言わずにアランの後ろについていくのであった。




