55話 夜の散歩
「それで、本当にお前は朝に出て行くのか?」
「そのつもりだ。」
「そっか・・・。」
ギルとそんなやりとりをしていると、いつもよりかなぜか近くにいるリルンが話しかけてきた。
流歌の耳にそっと顔を近づけ、小声で
「あ、ああ後で私のへ、部屋に来てください。」
流歌はよく分からないが相槌だけ打つと、ギルがニヤニヤしているのを発見した。
「何だ?」
「いやよ、お前さんたち意外とお似合いじゃねーかなって思ってよ?ガッハッハ!!」
「ちょ、ちちちょっとギルさん!」
リルンは顔を真っ赤にしながらギルの胸ぐらを掴んで揺すっていく。
「ガッハッハ!!別にいいじゃないか!!」
と、まだ大きな声で笑っているギル。
「はぁ・・・どうでもいいがうるさいって苦情がこないようにはしてくれよ・・・。」
ギルがなぜニヤニヤしてるのか、リルンもなぜ顔をそんなに真っ赤にしているのか全く分かっていないらしい。
「ルカお前・・・そこんとこ駄目な奴みたいだな・・・。」
「あ?何がだ?」
「いや別になんでもねーよ・・・。」
「あっ!」
何かを思い出した様にリルンは話を続ける。
「そういえばカイル様には何か言うのでしょうか・・・?」
「いや、あいつには特に何も言わないで出て行くつもりだ。お前らから世話になったって言っといてくれるだけでいい。」
「そ、そんな・・・黙って出て行くのですか・・?」
「本当はお前らにも言わないで出るつもりだったんだ。」
「ええ!?」
「お前そりゃねぇだろぉ・・・。」
「だからこうやって伝えてだろ。」
「・・・はぁ・・・分かった、カイル様には俺から伝えといてやる。感謝しろよ!!」
「悪いな。」
「さて、と。んじゃ俺は今日は引っ込みますかな。相棒にも肉をわけてやらないといけないしな!!」
ギルの言う相棒とは馬のルルン事だ。
「ああそれとルカ、少しだったら内緒で送ってやるからここで待ってろよ!!」
「いいのか?」
「もちろんだぜ!!それじゃまた明日な!!」
ギルは歯をキラッと見せてカッコつけ、出て行った。
「はぁ・・・ほんとに暑苦しい奴だ。」
「あ、あのルカ様・・・。」
「なんだ?」
「わ、私は部屋にいますので!!もう少し時間が経ったら来てくださいね!!」
「わかった、俺は少し外に出る。少しこの街も見ていきたいからな。」
「お、お気を付けて!!」
そう言って、流歌はエルフの里と同じくこの獣族の街を見ていこうと外に出掛けて行った。




