35話 気さくな男
二人は馬車に乗り込み、大陸へと向かっている最中だ。
「俺はギル・ルミアル、獣族だ!お前は?」
「ルカ、人族だ。」
そしてまずはお互い自己紹介だ。
「なんで人族のお前さんがこんな場所歩いてんだ?」
「・・・色々訳あってな。」
「なるほどな!俺は命の恩人様の詮索はしないから安心してくれ!」
「助かる。」
(・・・こんな暑苦しいのと馬車なんかに乗りたくは無かったが、まぁずっと徒歩よりもマシか・・・。)
「ん?ルカ今失礼な事考えてなかったか?」
「いや、別に。」
(こいつ・・・鋭いな・・・。)
そんな話をしてたら既に太陽はオレンジ色に染まり始めていた。
「さて、この辺で野宿でもするか!」
馬車を止め、一先ず今日寝る場所の確保に入る。
「ルカ!俺は食料を獲ってくるが来てくれないか?俺は弱いからな!ガハハハ!!」
豪快な笑い声で自分の弱さを自身で認める。
(・・・まだどんな奴かは分からないが、話していた感じは悪くなかったな。)
そんな事を思いつつ、流歌は了承した。
魔物は現れる事なく、近くの森の中にいた動物や木の実を集められた。
「本当は殺したくはないんだが、生きる為だ!美味しく食ってやるから観念してくれよな!」
そんな事を言いつつ、二人は寝床に戻ってきた。
「俺は料理をするが、味に期待はするなよ?」
「ああ。俺にも食べさせてくれるのか?」
「もちろんだ!お前さんは俺の護衛をしてくれたんだからな!」
ギルは気さくな男だった。
最初は警戒をしていたが、いつの間にかそれが薄れていく。
(危害は無さそうだが・・・まだ少し警戒をしておくか。)
料理が即席の机に出されていく。
机は折れていた木を加工してギルが作ったのだ。
「お、どうした?食べないのか?」
ギルが流歌に質問した。
「・・・・。」
流歌は悩んでいた。
調理している場面を見ていたとはいえ、もしかしたら何かが盛られているのかもしれないと警戒しているのだ。
するとギルは自分の皿に流歌の料理を少しずつ取り分けていき、それを自分の口の中に入れていった。
ゴクン、と食べ終わった音がしギルはこう言った。
「大丈夫だ!味はちと悪いかもだが、変なもんは入ってねーよ!」
ニカッとギルは笑っていた。
流歌は少し、悪い事したかな・・・と後悔したが料理に手を伸ばして食べ始めていった。
(・・・リンの手料理の方が美味いな・・・。)
失礼な事を考えながら。




