19話 球体の性質
次の日、流歌とリンは森を出た草原に出ていた。
「そういえば、ここで初めて会ったんだな。」
「そうね・・・最初は誰かと思ったわ。」
二人は最初に出会った頃を思い出していた。
「まだここに来て数日しか経っていないが・・・おかげさまで大分慣れてきた。」
「なら良かった・・・ルカ、この辺りでいいかしら?」
「ああ。これだけ広くて何も無ければ問題は無いと思う。」
そう言い、流歌は右手を前に出し集中した。
(・・・血の流れをイメージ・・・する、か。)
すると変化が現れた。
「これは・・・凄い魔力が集まっている・・・。」
リンが目を見開く。
段々と白い何かが流歌の前方に集まっていく。
(っく・・・思ったよりキツイな・・・これは。)
流歌の額に汗が出てきた。
(あと少し・・・あと少しだ・・・。)
そう考え、流歌はさらに集中する。
・・・すると集まった白い何かが形を作っていく。
「・・・ふぅ・・・なんとか形にはなったな・・・。」
「凄い・・・。」
流歌の前にはあの時と同じように白い球体が浮かんでいた。
(まさか一発でできるとは思わなかったが・・・。)
「さて・・・このあとはどうするか・・。」
流歌の不安は、また周囲の物を巻き込まないか心配なのである。
場所は問題無い、だが万が一"圧縮"でリンを巻き込まこんでしまったら・・・と考える。
「ルカ、私は大丈夫。だから好きなようにやってみて。」
「・・・わかった、だが少し離れていろ。」
リンが離れたこと確認し、流歌はある言葉を発した。
「"飛翔"!」
すると球体は空高く浮かんでいった。
(・・・やはり俺の言葉の意味に反応しているな・・・この高さだったら危害も少ないだろう。)
「・・・"圧縮"」
上空に浮かぶ球体に吸い寄せられるように風が吸い込まれていき、少し時間が経つと消えていった。
(大体10秒ってところか、それとやはり・・・)
球体が消えていき、地面に何かが落ちていった。
「・・・この玉の中に圧縮される、ってわけか。」
流歌が落ちている小さな玉を手に取り、そう呟いた。
前のように緑色や茶色のビー玉ではなく今回は透明で色は付いてなかった。
(空気を吸収したから色が付かない、か。)
「ルカ!」
「ああ、うまくいったみたいだ。」
「凄い魔力だったけど、体は大丈夫なの?」
「少し疲れた感覚はあるが平気だ。」
「普通、あの膨大な魔力を使ったらまともに立ってすらいられないんだけど・・・。」
「・・・身体能力以外にもそういった魔力量も凄い事になっている、と考える方が良さそうだな。」
流歌は自分の体がどうなっているのか、そんな不安が出てくるが・・・とりあえず今はこの魔法が被害無く使えた事を嬉しく思えた。




