18話 明日の為に
食事会が終わり、流歌とリンは一緒に旅館に帰っていた。
「・・・・・。」
無言の空間が訪れる。
(別に無言ってのはあんまり気にしない方だが・・・少し気まずいな。)
「・・・ねぇ、ルカ。」
「な、なんだ?」
「正直今日の話、信じられなかったわ。」
「だろうな、いきなりあんな事言われても信じられないとは思う。だが、事実だ。」
「・・・そう、ならそれでいいわ。」
「他に何にも聞いたりはしないのか?」
「ルカがそう言ってる、それだけで充分よ。」
「・・・・・。」
(おいおい、なんだよこの雰囲気・・・。)
「それとね・・・訓練した時に、ルカが動いた事自体分からなかった。あんな速さ初めて見たよ。」
「俺自信、まさかあんな動きができるなんて思いもしなかった。だが、好都合だ。」
「好都合?」
「ああ、俺は元の世界に帰る方法を見つけないといけない。・・・黒の種族がどれほど邪魔をしようが関係無いくらい強くなっていないと駄目なんだ。」
(守られるだけなんて、そんなのは嫌だしな)
「そっか・・・、ルカは帰っちゃうんよね。」
「今日みたいな生活も悪くない、とも思った。だが俺は元々この世界に存在しない人間だ。こっちにはこっちの世界がある。俺には俺の、だ。」
「・・・でもまだ・・・これからも一緒にいたい・・・。」
リンは小声でそう呟いた。
「何か言ったか?」
「い、いやなんにも!」
(声に出しちゃった!聞かれなくてほんと良かった・・・。)
急に顔を真っ赤にしたリンを不思議に思うが、丁度旅館に着いたので気にしないようにした。
「そうだ、明日はどうする?訓練か?」
「んー、正直ルカについていける気がしないから私は見てるだけにしようかなって思ってね。」
「あー、そうか。俺もやりたい事があるから良かった。」
「やりたい事?」
「ああ、さっき話した通り俺が持っている"力"についてだ。少し感覚が分かったからそれを試したい。」
「ルカの力・・・森のようにならなければいいけど・・・。」
「問題はそれだ。まだコントロール出来ないと思うから、なるべく安全な場所でやりたい。」
「そうね、なら森を出た草原まで行きましょう。朝からだったら安全よ。」
「わかった、それじゃまた朝に。」
「ええ、おやすみなさい。」
こうしてリンと流歌は別れた。
(さて・・・いつものように軽く本でも読むか。)
流歌はニーユウスから本を借りてから、寝る前などに読むようにしている。
最初は主にこの世界のことだ。
ほかの種族についても書いてあるし、旅に出る予定なので一番大事だと思っているからだ。
(・・・いや、寝よう。明日、もし寝不足だったりしたらきっと支障がでるだろう。)
流歌の魔法は集中力を使う。
それは自分でも体験して分かっていた。
だから今日は早めに寝る事にして力を温存しようと考えた。
(それにしても・・・あいつの料理美味かったな・・・。)
食事会の事を思い出しながら、流歌は寝るのであった。




