15話 違和感の正体
流歌は一つの考えに行き着いた。
(この力を使った時、確かに"圧縮"と言ってから発動した。つまりその言葉通りに、あの白い球体は周りの物を吸収し、このビー玉の中に圧縮させた・・・か。)
「ルカ、これってほんとにルカがやったの?」
「んー、多分な。俺にもまだ分からない部分はあるが・・・。」
(ただ少しだが、あの感触が残っている・・・これは試してみる価値がありそうだけど・・・。)
「ふーん、まぁ信じられないけど・・・助かったからこれだけは言っておくね、ありがとう。」
「いや、それは俺の台詞でもある。最初に俺を守ろうとしてくれたのはリンの方だからな。」
「ま、まぁ別にルカを守ろうとしただけじゃなくて、こ・・・この森や里のみんなも守るために戦ってまでよ!ほら!訓練するわよ!」
「ああ、そうだな。」
この森の空いた空間を利用して、俺とリンは向かい合った。
お互い片手には木で作られた剣を持っている。
「いい?とりあえずルカがどれだけ動けれるか確認してみたいし、思いっきり私に打ち込んでみて。」
「俺は剣なんて振った事ないぞ?」
「太刀筋をみる訓練じゃなくて、あなた自身の動きやスピードとか見るだけだから別にいいのよ。」
「そうか。俺も少し体を動かして確かめたい事があるから別にいいんだが、気をつけろよ?」
「生意気ね・・・悪いけどこれでも接近戦は得意な方なのよ?」
「そうだな、この目で実際にみてたしかに状況判断や動きも早いと思った。」
「・・・私からは動かないから、攻めてきなさい。」
「ああ、行くぞ?」
「こい!」
・・・この体の違和感を確かめてみたかった。
妙に軽く、早く動けそうな感覚だ。
そして、流歌は右足に力を込めて一気にリンの元へと向かった。
「・・・・。」
「・・・。」
リンと流歌に、無言の時間が流れた。
二人共驚いて言葉が出なかったのだ。
流歌のたった一歩の踏み込みで、距離の離れていたリンの真横にいたのだ。
「・・・ルカ・・・あなたは一体・・・。」
「・・・俺にもよく分からない。」
(・・・まさか、ここまでとはな・・・。)
リンは冷や汗をかいていた、
この人は一体何者なんだろうか、そんな考えばかりが頭の中を過ぎっていく。
「・・・動き、スピード共に無駄が無かった。・・・いや、見えなかった・・・と言った方がいいかしら・・・。」
反応すら出来なかった・・・目で追うことも叶わない。
そんな異常な事態を経験した。
リンはこの里の中でも上位の腕前を持っている。
魔法は少ししか使えなくても、剣や弓の腕なら自信があった。
「・・・今日の訓練は終わりよ、私は先に戻る。」
そう言い残し、リンは里の方へ歩いて戻っていった。
(この動き・・・信じられないな・・・。)
流歌が元いた場所をみると、くっきりと足跡が残ってあった。
(リンには悪い事はしたが・・・この体の違和感は分かった。幸いに、今は一人だ。あと一つ、気になる事を今のうちにやってみるか・・・。)
そう思い、流歌は白い球体について考え始めた。




