第3話1
翌日の六限。
担任「えー、今から再来週の体育祭についてそれぞれ参加する競技を決めていきます。」
5月二大イベントの一つ体育祭、もう一つは中間テスト。
この学校は放課後の部活というものが無い。
先生の負担を減らす目的で部活動としては設けてないのと、
生徒の中にはそれぞれ個人で中学生の時からトレセンや各種プロチームのユースチームなどに所属してる生徒がいる為、その生徒の活動を後押しする理由もある。
担任「「必ず全員参加ですからね、理由の無い不参加は内申に影響しますので覚えておいてください。」
男子生徒「先生、勝敗は内申に影響しますか?」
担任「勝敗は影響しません、影響は当日の参加ですからね。参加競技は各個人の自由ですが個人でそれぞれ活動している人で怪我が心配な人は玉入れや綱引きなどの比較的怪我をしにくい競技に参加して下さい。」
黒板に予定種目を次々書き出す担任。
黒板に種目が全て書き出された。瞬間手が上がる。
葉月「はーい!、先生!」
担任「はい、アレクサンドラさん」
葉月「私と一ノ瀬君で男女混合リレー出ます。」
一太「ちょ!、お前何勝手に」
立夏「じゃ私と真綾が混合リレーの女子参加します!」
立夏が即座に反応する。
担任「では4人お願いしますね」
男女混合リレーの場所に4人の名前が書き込まれる。
俺には選択肢が無いらしい・・・。
そうしているうちにどんどん皆参加競技が決まっていく。
100m走や障害物走、ダンス、応援合戦、玉入れetc・・・、
体育祭というより町内会の運動会って感じが強い。
クラス全員の参加競技が決まる。
担任「毎年なのですがこの体育祭はクラス全員が参加する事によって理解や個性を知る為に行われます。まあそんなにムキにならず怪我なく楽しんで参加して下さい。」
六限が終わりチャイムが鳴る。
俺は速攻で葉月を捕まえる。
一太「葉月!、なんで勝手に俺の名前出した」
葉月「良いじゃん、どうせ毎日やってるんでしょ?走り込み。」
真綾「はずちゃん、私も何故銀狼君推したのか知りたい。」
沙也「りっちゃんやまーちゃんは中学で陸上部だったからわかるけど何故銀狼君?」
葉月「いっちゃんに毎日カフェの裏の公園で走り込みしてるだよ」
一太「んなっ、言わんで良いことを・・・」
立夏「ちなみにどれぐらい?」
ばれてしまったものは仕方ないので正直に話す一太。
一太「中1の時から雨以外毎日100mを全力戻りランニングを30分」
真綾「ほえー、それかなりキツイじゃん」
葉月「私も最初聴いた時、大会出るでも無いのになんで走ってんだろうと思ったよ。」
一太「最初中1の体力測定でタイムが5番目で、それまでずっと1番だったから悔しくてやり始めたんだけど、今はもうやらないと落ち着かないから続けてる。」
沙也「今のタイムは?」
一太「わからない、測ってないよ、走るのが目的だから。」
沙也「一度測ろうよ。」
一太「やだ、それにこれから帰って店の手伝いするからやだ。」
葉月「あっ」
何か思い出してニンマリとする葉月。
葉月「今日、お店着いていくから♪」
一太「はぁ?、良いよ来なくて帰れよ。」
葉月「久々に彩香さんに会いたいし、着いていく。」
一太「電話で終わるだろが」
葉月「顔見たいから行くよ」
立夏「じゃ、私達も行こう」
一太「いや、来なく良いよ、母さんにまた変な事言われるから」
真綾「よーし!、皆んなで行こう♪」
6人「「「「「おー!」」」」」
俺の平穏な学校生活はもう来ないという事を悟った。
体育祭の出場種目が決まってから5人で集まる事が自然となった。
放課後はカフェの裏の公園で集まってタイム測定やバトンオン受け渡し練習、終わったら何故か女子がうちのシャワーで汗を流して帰るのが日課になっていたのは彩香の仕業らしい。
彩香「だって私だってJKとお喋りしたいんだもん。」
と意味がわからない謎理論を言われたが。
彩香が言い出したら聞かないので、何を言っても無駄だろうと放っておいた一太だった。
花「はい、どうぞ」
一太にタオルを差し出す花。
5月と言っても既に初夏の陽気、練習している夕方でもそれなりに汗が出る。
一太「ありがとう」
タオルから香る柔軟剤の香りに違うことに気がつく一太。
一太「これ、俺のタオルじゃないんじゃ無い?」
花「あれ、それ私のタオルですね・・・、でも一ノ瀬君のバックの上に置いてあったのでてっきり一ノ瀬君のだと思って渡してしまいました、ごめんなさい」
一太「いや、どうせ葉月辺りが悪戯したんだろ、洗って返すよ」
とタオルをバックに入れようとすると花が止める。
花「だ、大丈夫です、そこまでしていただ無くても・・・」
一太「そ、そうか・・・」
照れながらボトルの水を飲む一太。
まだやりとがぎこちない二人を周りがニヤニヤしながら観察する。
そんな日々が続いていく。
本番も近づくある日この事、練習後2階で身支度を終えた二人が降りた時真綾がふらつく。
葉月「おっと・・・」
葉月が真綾の腰に手を回し転ぶのを防ぐ。
真綾「ありがとう」
葉月「まーちゃん大丈夫?」
真綾「はーちゃんが支えてくれたから何ともないよ」
葉月が支えていた腕を離す。
支えた手を見て茫然とする葉月。
一太「葉月、お前」
立夏「どうしたの?」
一太「いや、何でもない」
立夏「さ、帰るよー」
6人はカフェを後にする。
葉月は心あらずな状態で帰路に着く。
彩香「あの子もちょっとずつ進んでいるのね」
ぼそっと彩香がつぶやく。
一太「そうだね、あいつが一番つらかったしな」
彩香「そうね」
帰っていく6人の後ろ姿を見ていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれから練習を重ね体育祭当日。
当日は快晴、絶好の体育祭日和。
プログラムも順調に進む
立夏「アップ終わった?」
葉月「大丈夫」
真綾「OK」
立夏「じゃ、行こうか」
真綾「勝敗は関係無いとはいえ、いざ始まると勝負事になってしまうね」
葉月「そうだね、かなりテンション上がってきてる」
一太「まあ、ちょっと力抜いていこうか」
花が心配そうな顔で声を掛ける。
花「みなさん頑張ってください。」
一太「ぼちぼち頑張ってくる」
そうして4人の順番が来る。
真綾「B組は中学県大会2位がアンカーみたいだね」
一太「Cはサッカーのユースの奴だろ」
立夏「Dも野球の全国いった人なんでしょ」
葉月「なにげに他のクラスは早い人そろえてきてるよね」
真綾「まあ、やるだけやってみよ」
葉月「さ、出番だよ」
一番手の立夏がスタートラインに立つ。
スターター『オン・ユア・マーク』
4人がラインにしゃがむ。
『セット』で4人の腰が上がる。
スタートのピストル音が鳴る。
一斉に走り出す。
グラウンド半周が一人の距離、最初のカーブを曲がる。
順位は三番手、葉月にバトンを渡す。
立夏「はい!」
バトンを葉月に渡す。
葉月「はい!」
バトンを受け取り走り出す葉月。
走り出すとクラスから歓声が上がる。
前に走ってる2人に追いついていく。
クラス男子「なあ、早くない?」
クラス女子「葉月くん早いね」
クラス女子「経験者だよね?」
クラス男子「多分そうじゃないのかな」
グランド半周あっという間である。
葉月「まーちゃん!」
バトンを渡す。
真綾「はい」
走り出す真綾、半周のカーブに差し掛かる。
ズルッ
真綾の足元が一瞬滑る。
!!
転びそうになるがなんとか立てなおすが葉月が詰めた差が開いてしまう。
姿勢を直しバトンを受け渡す真綾。
真綾「ごめん」
バトンを受け取る一太。
一太「任せろ」
と受け取ると同時に全力で走り出す一太。
前の二人に追いつこうとスピードを上げる。
クラス女子「銀狼君、葉月君より早くない?」
クラス男子「はえー、追いつくぞ」
クラス女子「いけー、銀狼君」
1-A全員が一太に声援を送りだす。
一太が一人を抜き前を走るのはあと一人。
もう少しでゴール・・・。




