第2話2
働き方改革の11連休が終わり、学校が再開された。
季節はすっかり夏へと動き始めている。
花「一ノ瀬君」
教室の席に着くなり森村はなに声を掛けられる。
花「これ、この前お借りした制服一式入っているで・・・」
紙袋を花から渡されそれを受け取る一太。
一太「ん、わかったもらっておくよ」
花「本当に助かりました、ありがとう」
一太「いや、気にしないで忘れてくれていいから」
頭を下げ自分の席に戻っていった花。
その後ろ姿をみて、母さんから花への便箋を預かってるのを思い出して鞄を漁る。
母さんから預かった便箋を手に花の席に向かい、声を掛ける。
一太「森村」
花「はいっ」
一太「これ」
と手に持った便箋を差し出す。
花「なんでしょうか・・・?」
一太「母さんが森村にって」
便箋のあて名は森村花宛、裏には母の名前。
花「ありがとうございます」
花はそれを受け取り、一太は席に戻った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ゴールデンウィークが終わって学校が始まっても生活のリズムは変わらない。
学校が終わると速やかに帰宅。
シャワーを浴び、カフェの制服の着物に着替える。
自室の3階から1階のカフェに階段を降り、カフェの店員として作業をこなす。
他の人からどうかわからないが俺にはこれが何時もの変らない変えられない時間で変化をしたいと思わない位好きなんだ。
だがその日は違っていた。
16時過ぎから母さんがなにやら落ち着かず店の外を気にしているので、何かあるなとは感じていたが・・・。
母さんが店の外に出て行ったと思ったら、誰かの手を引いて戻ってきた。
彩香「遠慮なく入ってね」
花「おじゃまします」
店に入って来たのは森村花だった。
俺は茫然としていると、母さんに招かれていつもいる4人もカフェに入ってくる。
立夏、真綾、沙也、萌「「「「おじゃましまーす」」」」
彩香「いらしゃーい!、一太ほらお客様!、奥のテーブル席に案内して」
俺は顔を引きつらせながら対応する。
一太「い、いらっしゃいませ・・・、こちらへどうぞ・・・」
5人を奥のテーブル席に案内する。
彩香「今日ははなちゃんの快気祝いで5人はサービスしてあげる♪」
立夏「いいんですか?」
花「そんな悪いです・・・、助けていただいて御礼を言いにお伺いしただけなのに」
彩香「いいのよ、一太のクラスメイトが初めて来てれたし」
真綾「ありがとうございます、一ノ瀬君のお姉さん」
彩香「あら、お姉さんだったんて」
恥ずかしがりながら照れる彩香。
一太「それ、おれの母さんだよ」
真綾「え、おねえさんじゃないの?」
驚く真綾。
一太「母さんだよ」
真綾「えー、見えない全然お姉さんでも通じるよ」
彩香「うれしい、ありがとう・・・、ええっと」
真綾「私クラスメイトの鈴木真綾です」
萌「戸田萌です」
立夏「峯崎立夏です」
沙也「和田沙也です」
彩香「一太の母の一ノ瀬彩香です、みなさん今日は来てくれてありがとう、出来れば一太と仲良くしてやってください。」
頭を下げる彩香。
一太「注文は何しましょうか?」
ちょっと不貞腐れ気味に注文を聞きに来た一太。
彩香「ちょっと、挨拶してるんだから割り込まない!」
一太「そのままだと一時間以上やり取りつづくぞ」
5人の前にメニュー表を差し出す。
立夏「しかし、制服着てない男子って変わるんだね、私カフェオレホットでお願いします」
一太をまじまじ見つめる立夏。
一太「カフェオレ1」
真綾「だねー、しかも着物でしょ、私も同じく」
真綾も続く。
一太「カフェオレ2」
ぶっきらぼうに注文を取る一太。
萌「ねぇ、明日も来て良い?、私、抹茶オレでおねがいします」
メニューを沙也に渡す萌。
一太「どうせ、母さんとやり取りしてくるんだろ?カフェオレ2抹茶1」
沙也「これもなにかの縁だしさ、私ブラックのホットで」
受け取ったメニューを見ないで定位置に戻す沙也
一太「カフェオレ2抹茶1ブラック1」
花「あ、あのごめんなさい」
突然謝りだす花。
一太「いや、たぶん母さんだろ?」
花「私がみんなにお願いしたの」
一太の嫌そうな態度を見てしまったのか申し訳なさそうに謝罪してくる花
一太「まあ、いつかは母さんに見つかると思ってたし、助けた時に遅かれ早かれクラスのやつが来ることは想定してたから大丈夫だよ。」
花「一ノ瀬君・・・」
一太「とりあず注文決まった?」
花「あ、じゃあ私もカフェオレでお願いします。」
一太「カフェオレ3抹茶1ブラック1ですねあ、りがとうございます。」
注文をメモしカウンターキッチンに向かう一太。
彩香「ごめんなさいね、無愛想で学校でもあんな感じなんでしょ?」
立夏「まあぁ・・・」
苦笑いの立夏。
真綾「普段誰ともつるんでるところみないね」
沙也「そうだね」
彩香「あの子、中学でも友達を誰一人連れて来なかったし、行かなかったのよねぇ」
片手を頬にあて困る彩香。
彩香「学校でも浮いた話もないでしょ?、私ちょっと心配で・・・」
と何か思いついた顔の彩香が小声で5人に話しかける。
彩香「みなさん、悪いのだけどあの子にかまってあげてくれないかしら」
ニコニコと5人にそこそこお願いする彩香。
立夏「彩香さん、実ははなちゃんがちょっと一ノ瀬君の事が気になってるみたいで・・・」
花「ちょっ、りっちゃん!」
赤くなる花。
彩香「まあ、それほんと?」
花「いや、ちょっと本当に何を、一ノ瀬君に迷惑かけちゃう・・・」
耳まで真っ赤になって慌てるハナ。
沙也「なので私たちははなちゃん応援団なのです」
萌「です」
彩香「私もその応援団にまぜてもらおうかしら」
真綾「え、いいんですか?」
彩香「そうねぇ、一太今まで浮いた話ひとつ無かった子なの」
花に目線を移す彩香。
彩香「偶然とはいえ、今回はなちゃんを助けた事によって一太の心情に何かしら成長をみたいのよね」
そして5人娘の顔を見てニコリとする。
彩香「あなたたちものすごくかわいいし、娘として一人ほしいわぁ」
そこへ一太が注文品を運んでくる。
一太「なにを言ってんだ、迷惑だろう、いきなり知らないおばさんの娘なんて」
彩香「あら、私は誰かをあなたの【嫁】に欲しいと言ってるんだけど。」
一太「それこそ迷惑だろう!、接点のないただのクラスメイトの男の結婚相手なんて!」
彩香「まあ、そこはこれからがんばるんだよ!」
っと一太の背中を叩く。
一太「ったく・・・、母さんがうざければはっきり言って良いからね」
立夏「そんな事ないよ、すごい美人で良いお母さんじゃない」
一太「ありがとう、いつまでも20代のつもりでいるから困ってるんだよ」
彩香「あら、やっと年相応になってきた母を捕まえてそんな事言うの?」
そこで彩香の携帯が鳴る。
彩香「ごめんなさい、ちょっと電話なのでまた今度じっくりね♪」
彩香はいそいそと階段を登って行った。
一太「まあ、なんだクラスの事とか、根掘り掘り聞かれるのが嫌じゃなければ、また来てくれて良いから」
照れくさそうにボソッと言う一太。
真綾「じゃあさ、明日から私ら絡みに行くからよろしく」
一太「なんでだよ、絡んでこなくて良いよ」
萌「え〜、折角知り合えたんだし勿体無いよー」
花「もうちょっと一ノ瀬君の事知りたいです・・・」
恥ずかしそうに答える花。
立夏「ほら、下弱き乙女にお願いされてるんだから」
何かを諦めた様な顔して一太が答える。
一太「わかったよ・・・」
立夏「OK〜、じゃ、明日からよろしく〜」
一太「はぁ・・・、よろしく」
この日を境に俺の人生が変わる事になるとは思いもしなかった。




