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1+1=・・・  作者: 嘉七


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第13話2

沙也の告白大作戦です

沙也「美羽ちゃーん」


手を振り駆け寄る沙也。

綺麗に着飾り、いつに無く可愛さが増している美羽。


沙也「待った?」


美羽「いや、丁度来た所」


美羽の姿に後から来た政人が見惚れている。


沙也「ほら、政人さん感想無いの?、感想」


政人「あ、なんか、アイドルかモデルみたいで・・・」


語彙が上手く出て来ない政人、政人の表情を見て照れ出す美羽。


沙也「さ、これ18時半からだから急いでね」


と政人にポーチから封筒を手渡す。

中身を確認すると『遊覧船ディナークルーズ』のチケットが2枚。


政人「これどうしたの?」


沙也「モデルのお礼に貰ったんだけど、私一緒に行く人居ないからあげます」


政人「いや、でも・・・」


政人の顔に手を出し話を止める沙也。


沙也「もう、二人しか使う人居ないから使って下さい」


二人は沙也に背中を押されて乗り場へ歩き出す。

その場に立ち止まる沙也。

突然政人が沙也向かって走り出し沙也の前で立ち止まる。


政人「沙也ちゃん、ありがとう」


沙也「政人さん、一瞬の勇気ですよ」


満面の笑みで見送る沙也。

美羽の元へ走り出す政人、沙也に手を振る美羽。

手を振り返す沙也。

遠く、乗り場へ着いて二人が乗り込むのを見届けて、駅に向かい歩き出す沙也。

駅のホームは仕事を終えたサラリーマンや水族館や遊園地から帰る家族などが待っている。

一人俯き暗い表情で電車に乗り込みドア越しの夕日が照らす街並みを見つめる沙也。

やがて、電車は自宅の最寄り駅に着く。

いつの間にか増えた人達と同じ様に改札へと歩き出す。

改札を出てふと川の堤防へ向かって歩き出す。

やがて夕日は沈み川の堤防沿いで1人座り空を見上げる。

何度かスマホが振動するが見る事も取り出す事もせずに空だけを見つめる。

月が光だし、川向こうにポツポツと建物に明かりが灯し始める。

沙也の目に薄っすらと涙が滲む様に現れ、それを何とか出さない様に気持ちを落ち着かせる。

しかし、一度出て感情がそれを溢れさせてしまう。

下を向き何とかしようと手で涙を拭った時、聞き覚えのある声が掛けられる。


佐伯「沙也ちゃん?」


突然声を掛けられ、ビックリして掛けられた方に振り向くと、いつも撮影でメインのカメラマンをしている佐伯が機材を持って立っている。


佐伯「どうしたの?こんな所で・・・」


知った顔の人を見て、押さえていた感情が決壊してしまう。

思わず佐伯に抱きつき、号泣する沙也。

突然でビックリはしたが、持っていた機材を足元に置き、沙也を優しく抱きしめ背中を摩る佐伯。

暫く沙也が佐伯に抱きつき着いたまま泣いていたがやがて落ち着きを取り戻す。


沙也「あ〜、久々に泣き晴らした〜」


佐伯「落ち着いたかい?」


沙也の涙で佐伯のTシャツが濡れている。


沙也「あ、ごめんなさい、思わず抱きついちゃいました、その上Tシャチまで濡らしちゃって・・・」


佐伯「美人の涙で濡れるならいくらでも濡らして貰って構わないよ?」


佐伯のセリフに思わず、クスッとする沙也。


沙也「何ですか、そのキザなセリフ」


佐伯「滅多に無い機会だからね、言ってみたかっただけだよ」


佐伯は沙也の頭を優しく撫でる。

嫌な感じはせず何処となく心地良い。


沙也「佐伯さんはどうして此処へ来たんですか?」


佐伯「時間が空いた時で快晴の日はこの辺りから夜空を撮ってるんだよ」


さっきまで下を向いていた為気が付かなかったが、川向こうの夜空に星が見えて来始めている。

その時沙也のスマホが振動する。


『何処に居るの?、晩御飯どうするの?』


母からの通知。

慌てて電話する沙也。


沙也「ごめん、ちょっと寄り道してて、うん、大丈夫、もうすぐ帰るから」


電話を切り、再び堤防で向こう岸の景色を見る。

隣に座り同じ様に向こう岸を見る佐伯。


沙也「初恋だったんですよ」


ぼそっと沙也が呟く。


佐伯「失恋?」


優しく聞き返す佐伯。


沙也「なのかなぁ・・・、思い伝えてないんですよ」


佐伯「彼女さんが居たの?」


カメラだけ取り出して、ファインダーを覗く佐伯。


沙也「好きと思った時にはもう従姉妹が好きになってるの知ってたんですよ、だから余計に伝えられなくて」


佐伯「そっかぁ、従姉妹さんかぁ」


沙也「しかも、相手の人も従姉妹を好きなのが分かちゃって、余計に伝えられなくて・・・」


カシャッ


シャッターが切られる。


佐伯「割って入るのもしんどいし、沙也ちゃんの思いが通じてもしんどいなぁ」


カシャッ


沙也「そうなんですよ、だからもう辛かったので、くっつけちゃいました」


カシャッ


佐伯「また、損な役回りを・・・」


沙也「良いんですよ、お互いが気持ちあるなら割って入って壊すより、くっつけて見ている方が楽ですから」


佐伯「確かに・・・」


カシャッ


沙也「3年かぁ、長いのかな・・・、短いのかなぁ・・・」


佐伯「まあ美人な沙也ちゃんならこの先良い人は出て来るよ」


カメラのレンズを交換する佐伯。


沙也「美人って、まーちゃんやはなちゃん見てると普通になっちゃいますよ」


佐伯「沙也ちゃん普通に美人だよ?」


その言葉にドキッとする沙也。


沙也「いやいや、あの二人には負けますよ」


佐伯「比べる対象が違うよ」


沙也「そうですか?」


佐伯「真綾ちゃんはモデル気質が高い子だから、写りも良いし、ほら身長も高いしね、花ちゃんはとにかく自身のオーラが写真に出るんだよ、持ってる可愛さや雰囲気がそのまま写真に出る子、だからあの二人は別格だよ、珍しいよ、普通に美人が五人も集まるなんて」


沙也「そうなのかぁ・・・」


カシャッ


不意に沙也にレンズをを向け、切り取るようシャッターを切る。


佐伯「ほら、美人だ」


佐伯に見せられたカメラの画像は沙也の横顔。


佐伯「おじさんが後10年若ければ、ドキドキしながら告白する所だよ」


笑いながら軽口を飛ばす佐伯。


佐伯「さて、そろそろ帰ったほうが良いかな、家まで送るよ、美人の一人歩きは危ないからね」


沙也「そうですね、そろそろ帰ります」


佐伯「ではお嬢様、お手をどうぞ」


沙也に手を差し伸べる佐伯。


沙也「ふふ、何でまだその設定何ですか?」


佐伯「やっぱり、沙也ちゃんは笑った顔が一番可愛いね」


照れる沙也。


沙也「やっぱりカメラマンなんですね、乗せ方が上手です」


佐伯「お褒め頂いて光栄です」


二人が思わず笑い出す。


すっかり川向こうの街並みは窓から漏れる灯りばかりになっている。

堤防沿いを二人歩きながらふと沙也が質問する。


沙也「佐伯さんは彼女居ないんですか?」


佐伯「居たんだよね・・・」


佐伯の顔が少し悲しげな表情に変わる。


沙也「あ、ごめんなさい、嫌な事思い出させてしまいましたね」


佐伯「いや、大丈夫」


スマホを取り出し、画像を沙也に見せる。

佐伯と顔をくっつけて楽しそうに笑う女性が写っている。


佐伯「高校からかなぁ、何となく一緒に居て、二人して笑ったり言い合ったり、泣いたりして、このまま二人結婚しようかなんて軽口でも何となくお互いずっと一緒だと思ってんだけどね。高校卒業して俺が専門に進んで彼女が就職して直ぐに、彼女に癌が見つかってねそしたらあっという間に、向こうに行っちゃたんだよね・・・」


沙也「やっぱり、聞いちゃ不味かったですね・・・」


悲しげな顔をした沙也に頭を撫でる佐伯。


佐伯「もう、そろそろ俺も区切り付けないと、いい加減怒られるからね」


とにっこりと笑い明るい表情の佐伯。

話している内に沙也の家の前に到着する。


沙也「ありがとうございました」


とお礼をする沙也。


佐伯「うん、また明後日の撮影で」


と駅に向かう佐伯、玄関から見送る沙也。

沙也のスマホに同時に通知が入って来る。

一つは美羽、もう一つは政人からだった。

沙也は少し後から来た政人の通知を開くと画像が一枚。

繋がれた両手の画像。

『一瞬の勇気を出させてくれてありがとう』の一言。

美羽からは『思い出に残る日をありがとう、沙也ちゃん』

二人にそれぞれ同じ文章を送る。


『結婚式で会いましょう』と・・・


次回、失恋祝いです

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