第13話1
沙也の話です・・・
ポコンッ
スマホに通知が来る。
『この前の約束、今度の日曜でどうかな?』
すぐに返信する。
『大丈夫です、楽しみにしてますね』
夏休みも佳境に入り出すお盆の休日。
沙也は親戚の家に遊びに来ていた。
叔母「沙也ちゃん、もう高校生かぁ」
沙也「なんだかあっという間に夏休みに入っちゃいました」
叔母と会話をしている所へ従姉妹の美羽が帰って来る。
美羽「ただいま、外あっちー、あ、沙也ちゃんおひさー」
沙也「おひさー、受験生大変そうだね」
冷蔵庫からアイスを出して食べ出す美羽。
美羽「大変だよー、去年からぼちぼちやってたんだけねぇ」
美羽にお茶を出す叔母。
沙也「桂三大だっけ?」
美羽「そうなんだけど、B判定なんだよね、もう少しだから頑張ってる」
沙也「政人さんも桂三大だよね」
一瞬、止まる美羽。
美羽「兄貴も行ってるし、去年オープンキャンパス行ったら良いなぁって思って、目指してる」
沙也「そっかぁ、頑張らないとね」
アイスを食べ終わり、ゴミを捨てる美羽。
何となく政人の名前が出た瞬間止まった美羽の感情を読み取った沙也。
沙也「美羽ちゃん、相談があるから美羽ちゃんの部屋でお話ししない?」
美羽「うん・・・」
美羽の部屋に移動した二人、ベットに腰掛け対面の椅子に座った美羽の顔を見る沙也。
沙也「美羽ちゃん、美羽ちゃんってもしかしてだけど政人さんの事好き?」
いきなりの切り込みに顔を赤くして下を向く。
その表情を見て沙也が決意する。
沙也「えっと・・・、美羽ちゃん、聞いて欲しいんだけど」
美羽前に座り、ギュッと握られてる両手の上に手を置く沙也。
沙也「私も政人さんの事、多分好きなんだ・・・」
その告白に目を開く美羽。
沙也「でも、政人さんの視線の先は何時も美羽ちゃんを見てるのも知ってるんだよ?」
初めて知った政人の視線の先を知る美羽。
沙也「多分、私が気持ち伝えても政人さんは隣には美羽ちゃんだと思ってるよ」
目線が合う二人。
沙也「だから、頑張ってる美羽ちゃんの背中押しても良いかな?」
意外な提案にびっくりする美羽。
美羽「でも、沙也ちゃんだって・・・」
首を振る沙也。
沙也「私は、負ける戦はしないの」
ニコリと笑う沙也。
沙也「美羽ちゃん、受け入れがたいお願いしても良いかな?」
一瞬、ドキッとする美羽。
美羽「な、なにかな?」
沙也「最後にね、政人さんの気持ち確かめたいの」
美羽「うん・・・」
沙也「政人さんと最初で最後のデートさせてもらっても良いかな?、勿論、告白はしない、ちょっと思い出が欲しいだけだから」
部屋の中にエアコンの音しかしない時間が過ぎて行く。
美羽「告白はしないんだよね?、政人さんからされてもOK出さないんだよね?」
沙也「政人さんからの告白は無いと思うけど・・・」
美羽「そんな事ない!、だって沙也ちゃん私より美人でモデルやってるんでしょ?、男の人は美人を彼女にしたがるじゃない!」
沙也「多分、美羽ちゃんの方が勝ってる部分多いと思うよ?」
美羽「そんな事ないよ」
沙也「料理も、勉強も、政人さんの為にするメイクだって美羽ちゃん頑張ってるに知ってるよ?」
再び美羽の手を握る沙也。
沙也「美羽ちゃん!、自信持って!、大丈夫!」
美羽「本当に一回だけ?」
沙也「うん、一回だけ、それで私の政人さんへの想いは終わらせるよ」
美羽「わかった、おにいに政人さんへ繋いでもらう」
沙也「うん、お願いします」
この時沙也がある計画を思いつく。
沙也「美羽ちゃんにも、良い事あるから楽しみにしてて」
ニヤリと不適な笑みをする沙也。
美羽「沙也ちゃんがその顔する時何かイタズラ思いついた顔だ」
沙也「まあ、美羽ちゃんも当日は楽しみにしてて良いよ」
こうして沙也の気持ちを整理するデートが決まった。
8月の夏休み明け、写真撮影2日前
沙也「おはようございます」
何時になく着飾った格好の沙也。
政人「おはよう、今日はよろしくね」
沙也「よろしくお願いします、政人さん」
二人は待ち合わせの駅から目的地の東都ビルに向かう。
政人「プラネタリウムまで時間あるし、先に買い物とかに行こうか」
沙也「はい」
二人並んで歩く沙也と政人。
恋人との距離というより友人や知り合いの距離で並んで歩く。
夕方のプラネタリウムまでの時間を潰すため、二人でゲームセンターで遊んだり、お昼を食べたりし、水族館を回る二人。
沙也「カワウソの手が可愛いですね」
政人「餌を欲しがってるから意地悪しないであげようね」
沙也「もう少し見たかったですが、政人さんのお願いなので餌をあげます」
沙也がカワウソに餌をあげるとカワウソが強奪して逃げていく。
沙也「ああ、私のカワウソが・・・」
政人「沙也ちゃんのペットじゃないから」
沙也「カワウソ飼いたいです」
そんなやり取りをしながら水族館を回る二人。
ペンギンの散歩を見たりしていたらプラネタリウムの時間が迫り水族館を後にする。
プラネタリウムに着き、並んでシートに座る二人。
沙也「なんか緊張しますね」
政人「そうかな?、まあ映画館と違うしね」
場内が暗くなり上映が始まる。
夏の大三角形と天の川に関する下手と言えば下手な内容、
ただ、沙也にとっては気持ちを整理する日でもあり、隣に好意を持った政人が居るこの時間がなりよりも嬉しかった。
ふと、隣の政人の顔を見る沙也。
場内の僅かな光が政人の目を光らせ、その顔を目に焼き付ける。
視線を感じ沙也の方に視線を向けた瞬間、二人の目と目が合う・・・。
『上映は以上となります。足元お気をつけて席をお立ち下さい』場内放送が流れる。
場内の明かりが戻り始めた所で二人慌てて視線を逸らし、立ち上がる。
(さて、私はそろそろ気持ちに整理つけますか)
沙也「最後に観覧車乗りませんか?」
沙也が政人に提案し、観覧車に向かう二人。
二人、さっきの目線が合わせてたのが気まずく会話が無く歩く二人。
やがて観覧車の昇降口の待列に並ぶが、気まずい雰囲気が二人を遮っている。
沙也が何処かへ、メッセージを送っている。
少しづつ動く待列。
やり取りが終わる頃に二人の順番が回って来る。
観覧車に乗り込み対面にお互い向き合って座る。
ゆっくり上昇し、4分の1ほど上がった所で夕日に照らされ輝く海と街並みが見える。
沙也「綺麗・・・」
思わず口をついた一言で再び二人の会話が始まって行く。
政人「そうだね・・・、夕日のこの景色は初めて見たよ」
何でも無い普通の会話、でも沙也にとっては自分の気持ちと区切りをつける会話でもあった。
沙也達が乗った観覧車が天辺を過ぎる。
沙也「政人さん、美羽ちゃんの事好きでしょ」
政人が固まる。
政人「え、いや・・・」
沙也「大丈夫ですよ、まだ美羽ちゃんには言ってませんよ」
微笑む沙也。
政人「えっと・・・」
突然のツッコミに戸惑いながら顔を赤くする政人。
沙也「美羽ちゃん何気に可愛いから、早く捕まえないと誰かに取られちゃいますよ?、大学入ったら直ぐに彼氏し出来そうですし」
政人「それは困る!」
政人が立ち上がってしまい揺れるカーゴ。
揺れにビックリしながら追い討ちをする沙也。
沙也「料理も出来るし、勉強も出来るし、可愛いいし、その気になれば本当に彼氏の一人二人出来ちゃいそうですもんね」
ゆっくり腰を落として冷静を装う政人。
政人「沙也ちゃんから見ても、そう思うのか・・・」
沙也「政人さん、時間がとかタイミングがとか言ってると逃しちゃいますよ?」
沙也の言葉にハッとする政人。
沙也「多分、政人さんなら大丈夫、一時の勇気で上手く行きます、だからその勇気を美羽ちゃんに貰って貰いましょう」
政人「沙也ちゃん・・・」
何か覚悟を決めた政人。
沙也「わかった」
そこでカーゴが昇降口に到着し、降りる二人。
出口から歩き、海が見える公園へと歩くと二人の前に美羽が待っていた。
次回、沙也の告白大作戦です




