第12話1
萌の話です
萌「ただいま」
萌が家に着いたのは21時前だった。
萌母「おかりなさい、晩ご飯は食べて来たんだっけ?」
萌「うん、社長さんがご馳走してくれた」
萌母「良かったわね」
そこへリビングへ少年が入ってくる
少年「おかえり」
萌「ただいま将君」
萌は湯上がりの将の背中に抱きつく。
将は萌の家に預けられた母親の友人の子供。
将の両親が海外移動の際、連れて行こうとしたが頑なに嫌がり本人の意思を尊重する形で日本に残されたが、移動の際に一人暮らしは出来ないので萌の家に預けられた。
将「萌ちゃん・・・、ちょっと・・・」
萌「なあに?、将君?」
甘だるい声で将に問い掛ける萌。
将「ちょ、ちょと余り抱きつかれると・・・」
赤くなりながらモジモジする将。
萌「抱きつかれると何?」
将「色々と・・・」
萌「何?」
将を見かねた母親が助け舟を出す。
萌母「萌、イチャイチャするのも良いけど余りやると嫌われるわよ?」
仕方なく離れる萌。
萌「仕方ないなぁ、ちゃんと今度教えてね」
顔を赤くしたまま下を向く将。
将「ま、また言える様にな、なったら言うよ・・・」
将の耳元で囁く萌。
萌「ちゃんと聞かせてね」
慌てて2階の自室に駆け込んでいく将。
あきれる母。
萌母「萌、余りやってると本当に嫌われるわよ?」
萌「可愛いんだもん・・・」
娘の反応にため息をつく母。
萌母「将君、今日うちで勉強会してたけど四人ぐらい女の子来てたわよ」
ビクッとする萌。
萌「そ、そうなんだ・・・」
萌母「私は将君なら良いと思うけど、まだ中学1年だからその辺りは疎い事もあるから、気を抜くと持っていかれるわよ?、はっきりするならはっきりしないさい、そうで無いなら線引きはちゃんとしなさい、あなたはそのつ
もりでも将君は違うかもしれないし」
思う事がある表情の萌。
萌「お風呂入ってくる・・・」
萌母「はい、行って来なさい」
お風呂に入り一通り寝る前のルーティンを終え、ベッドに横になり、さっき母親から言われた事が頭から離れない。
真綾も花も自分から一歩踏み出してる。
二人が彼氏といる時の顔はとても幸せそうで、羨ましかった。
花は特に撮影にまで影響が出ていて、みんな花の表情をとっても褒めている。
萌「彼氏か・・・」
将の事は物心つく前から一緒に居て大好きだ。
母から初めて将に会った時はまだ向こうが赤ちゃんで、その時からべったりだったらしい。
家に預けられた時は本当に嬉しかったし弟と好きな人が同時に来て、嬉しかった。
萌「将は私の事どう思ってるんだろ・・・」
悩みが尽きない夜となった。
翌朝、いつの間にか寝てしまっていたので、眠い頭を何とか起こして身支度を整える。
萌「おはよう」
ダイニングで朝ごはんを食べていた将を見つける。
ここで何時もは絡んでいくのだが今日は昨日言われた事が頭を過り何時も座る将の隣に座る。
絡まれるのを待ち構えていた将が不思議そうな表情をする。
萌「何?将君」
将「いや、何時も絡んでくるのに来ないから・・・」
萌「私だってそいう時もあるわよ」
朝食を終えリビングでネット番組を観ていると母親から用事で夜まで帰って来ないと伝えられ、出かけて行った。
萌は紗香から渡されてた出来たばかりの自分が載ってるカタログ写真集をリビングで眺めていると、飲み物と取りに来た将が後ろから覗き込んでいた。
将「綺麗な人達だけどやっぱ萌ちゃんが1番綺麗だね」
後ろからボソッと、不意打ちで言われ固まる萌。
昨日までそ何となくでしか意識して無かった弟様ので好きな人。
昨日母親に言われて初めてどうしたいか考えていた。
好意は自分は意識していたが相手の好意が分からなくて怖かった。
ただ今の一言を聞いた瞬間、思いを口にしてしまう。
萌「将君、私は将君の事好きよ?、ずっと好きだった」
突然の告白に固まる将。
萌「この家に来る前から、ずっと好きだった、会う度に離れたくなかったの」
将に抱きつく萌。
固まっていた将が困った顔をする。
将「それは、遊んでいたいとか、弟みたいだからではなくて?」
萌「違うよ、恋人として、一人の男の将君が好きなの」
そっと萌の背中に手を回す将。
将「萌ちゃんの事僕も好きだよ、ずっと好きだった、でも今の関係壊れたらどうしようとか居候させて貰ってるのに好きになったら追い出されるかもとか、色々考えてて言い出せなかった」
抱き合いながらお互いの思いを伝え合う二人。
将「萌ちゃん、こうやって凄い抱きついて来たりしてるから面白がってるのかと思ってた」
萌「将君に意識して欲しくてしてたんだよ?」
将「意識しまくってたので勘弁して下さい」
お互い嬉しくて笑い出す、そしてふと真剣な表情になる将。
将「萌ちゃん、僕と恋人になって下さい」
耳まで赤くして萌の気持ちに応える将。
萌の目に涙が溢れる。
萌「うん、私も将君が好き、恋人になろ」
母親が用事を済ませて帰宅するとすっかり夜になっていた。
二人はリビングのソファーに寄り添って手を繋いで寝ている。
その姿を見て二人の答えを察する母親。
萌母「二人とも起きなさい」
その声で起きる二人。
萌母「後でお父さんも含めてお話があります」
母がそいうと晩御飯の用意を始める。
父親が帰宅して晩御飯を食べるが何処かぎこちない三人を見て不思議そうに感じる父親。
食べ終え、そのままテーブルを挟んで各々椅子に座っている。
萌母「さて、とりあえず二人ともお互いの想いが合意したのかしら?」
母親が切り出すと、父親が二人を見る。
萌父「どういう事だ母さん」
萌母「お父さん、萌が将君を好きなのは知ってるわよね?」
萌父「ああ、そうだね」
萌母「昨日ね、私が萌に自分の気持ちをはっきり伝えなさいと、発破をかけたのよ」
萌父「ほう」
萌母「今日、夕方帰ってきたら仲良くソファーで手を繋いでねてるのよ」
父親が喜ぶ顔をする。
萌父「将君なら萌を任せられるな」
萌母「お父さん、まだ将君は中学生よ、これから受験もあるの、他所様の子なの」
他所様の子と言う言葉を聞いた時に萌はビクッとする。
そう、毎日朝と夜は顔を合わせてるから居て当たり前になりつつある存在なのだが、将は他人なのは事実であって家族では無い。
萌母「私は何も反対しているわけじゃ無いのよ、でもね萌が将君を振り回しても良いわけでもないの、預かっている以上、将君が日本で生活している以上、将君の将来への責任があるの、だから4年、そうね将君が大学生になるまでは、ある程度清い交際に留めなさい」
萌父「ん〜、もっともだねぇ、何か反論はあるかい?萌」
萌「交際自体はしても良いの?」
萌母「そこは私達は大歓迎よ、でもね一度箍が外れてしまうと戻すのが難しいのよ、特に今の環境だとね」
両親の説得に納得がいく萌。
将「では萌ちゃんと交際しても良いけど僕がしっかり成績を残せなければダメって事ですか?」
真剣な眼差しで聞き返す将。
萌母「そうね、来年から本格的に受験対策して、高校入ってまた2年生で受験対策に入ってって長いようで短いのよだから将君もご両親に我儘でここに居るのならしっかりとご両親に胸の張れる様にしないと」
覚悟を決めた顔になる将。
将「僕、ちゃんと約束守ります、頑張るので萌ちゃんを彼女になってもらっても良いですか?」
萌「将君、私も翔君の勉強手伝うから、交際しても良い?」
二人の真剣な顔を見て、両親がお互いの顔を見る。
萌母「頑張りなさい」
萌・将「「はい」」
その後、安心したのか将は一気に眠気が襲ったらしく寝室に入ってしまった。
風呂に入り夕方まで寝ていた萌はまだ眠気が来ないのかリビングで寛いでいた。
萌「寝られないの?」
そっとテーブルにカフェオレを置くと萌が椅子に座る。
萌母「萌は私とお父さんの馴れ初めは聞かせたかしら?」
首を振る萌。
萌母「お父さんとはね、大学の学部が同じだったのよ」
萌「そうなんだ」
萌母「で、知り合って、話してる内に段々二人も盛り上がちゃって、そのまま交際したんだけど、まあさっき貴方達に言ったように箍が外れてしまったのよ」
何となくわかってきた萌。
萌母「しかも、貴方がお腹に居るのがわかちゃって、もう大変だったわ」
思い出して苦笑いする母。
萌母「お父さんは両方のおじいちゃんに殴られてしまって止めるのが大変で、でも大学入ったんだからって私は休学してあんた産んで、子育てしながら何とか出たし、お父さんは一足早く卒業して、がむしゃらに働いてくれたわ」
萌「学生結婚だったの?」
萌母「そうね、でも大学ですら大変なのにましてや中学生と高校生、経験者として親として貴方が出来るだけ笑って生活して交際してくれる方が良いと思って今日話したの」
萌「そうなんだ・・・」
萌母「大変よ、子育てしながら学生やるのは」
両親の意外な過去を知り、考える萌。
萌母「私は大きなお腹で学校通って、奇異の目で見られたし、お父さんはバイトしながら学生と夫をやらないといけなかったし、時間もお金も直ぐに無くなったわ、幸い両方の親が初孫の為に助力してくれたし、お父さんも自分の時間を削って家族の為に動いてたしね、本当に双方のおじいちゃんおばあちゃんには感謝しかないわ」
体験者は語る、両親の苦労話を聞き改めてこれからの事を考える萌。
萌母「まあ、今は二人、お互い気持ち確かめて一歩進んでも、何時その気持ちがすれ違ってしまうかもしれない、そうなった時にお互い苦労しない様にだけしなさい」
萌「うん、ありがとう」
次回も萌の話が続きます




