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1+1=・・・  作者: 嘉七


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第1話2

ピンクのスマホの時計の表示は20:17の表示。


女性「あら、気が付いた?」


ぱっとみ20台後半に見える和服を着た女性に声を掛けられる。

 

花「えっと・・・・、ここは・・・?」


女性「ここは『蔵のカフェ』よ」


まだくらくらとする頭を何とか回転させ女性に質問する。


花「ご迷惑をおかけしたみたいで、ありがとうございます・・・」


女性「いいのよ、家の息子が貴方を背負って来たときは誘拐でもしてきたかと思ったけど」


ケラケラと笑いながら答える女性。


女性「ごめんなさいね、あの雨の中で倒れたみたいで息子あと10センチでも背が伸びてれば濡れずに済んだのに」


花「いえ、母からタクシー使いなさいって忠告されたのに聞かなかった私が悪いのですから・・・」


女性「でね、本当に申し訳ないのだけど、この家に女は私しか居なくてね、かといって濡れたあなたをそのままにしてもおけなくてね」


花「はい・・・」


ん?、自分が何も着ていない事に気がつく。


花「え、あ、あの下着は・・・」


付き添ってくれている女性がニコリとした


女性「今洗濯して乾燥機にかけてるからもう少し我慢してもらえるかしら、私はあなたの看病があったし、主人も抜けられなくて・・・」


花「はい・・・」


女性「同じクラスの男子に、下着とか買われるのも嫌でしょ?」


んん?、同じクラス?

ハナがふと思い出す、自分が倒れその後声を掛けられた人物の顔を

そしてそこへ助けた少年が顔を出す。


花「銀狼君!」


女性「銀狼君?」


花はここが誰の家で誰に助けられたかを初めて知る事となった。






壁に映し出された時計表示は20:45

知らない天井と部屋に香る珈琲の匂い。

目を覚ましてからが大変だった、お母さんからスマホにものすごい着信履歴とトークの通知バッチみて慌てて連絡。

助けてくれた銀郎君もとい一太くんのお母さん『彩香』さんと電話を替わり事情を説明していただいてなぜか着物を着つけられている私。


彩香「本当にごめんなさいね、本来ならもっと綺麗な反物で着つけてあげたいのだけど・・・」


と同時でてきぱきと着付けを続ける彩香。


彩香「従業員用のいくら汚してもいいやつだから気にしないで着て帰って」


花「ありがとうございます」


彩香「何なら全部まとめて洗濯機掛けただけでいいから、クリーニングとか考えなくていいから洗ったら一太に学校で渡してくれればいいから♪」


とかなり嬉しそうに着付けされたので断る事も出来ずに現在に至る・・・。


彩香「一太ー!、入ってきていいわよー」


一太「へーい」


階段を上げる音、引き戸が開き姿を見た少年は普段教室や学校で見かける『銀狼君』と呼ばれている少年と違う凛々しくすっと立っている。

私はその姿に見惚れてしまった。


一太「悪いなあとちょっと早く抱えてあげられば服濡らさなくても良かったのに」


花(彼は悪くない、私が母の忠告を無視したのが悪かったのに)


一太「俺の家、母さんしか女性居ないし・・・、その代わりの服とかも俺が買いに行くのもそれを着るのも嫌だろうと思って・・・」


ちょっと照れくさそうに頬を爪で掻きながら謝罪してくれる。

花(私は助けられて、迷惑かけたのは私なのになんですまなそうにしてるの?)

花は頬を伝いそうになる涙をこらえる。


花「そんなことないよ、私が迷惑かけてるのにあやまらないで、ありがとう銀狼君」


彩香「ぶっ」


今の空気を壊す彩香の笑いを堪える声が部屋に響く。


花「え、あ、あの・・・」


彩香「銀狼君って、あははははははは最高!、やっぱ最近の子はネーミングセンス抜群じゃない!」


一太は下を向いてフルフルと恥ずかしさと怒りを抑えている。

横で大爆笑する彩香。


花「え、え、いや、あの・・・」


彩香の爆笑が理解出来ず戸惑うハナ。


一太「だから、学校の連中に見つからないようにしてたのに・・・」


恥ずかしさと怒りを抑えながら一太がつぶやく。


彩香「あんた、中学の時から友達とか彼女とかクラスメイトすら連れて来なかったから心配はしてたけど・・・」


笑いが抑えられない彩香。


一太「母さんが色々暴露するのが分かってるから連れて来れないんだよ!」


彩香「しっかし、紗香の所でその頭になって帰ってきた時もそうだったけど・・・」


腹を抱えて笑いが止まらない彩香と、その状況でどうしていいのかわからないハナ、怒りと恥ずかしさを抑えている一太。


彩香「あんたがしっかりクラスの子たちとコミュニケーション取れないのが悪いのよ!あー、おっかし!」


一太「う、うるさい!」


彩香「そりゃコミュ障でその銀髪で、どうせあんたの事だから中学の時みたく子犬みたいなあくびして授業受けてるんでしょ?」


笑いながらさすがに母親、普段の学校の態度を見てきたかのように言い当てる彩香。


一太「ち、ちがう」


彩香「違うんだったら『銀狼君』なんて呼ばれないわよ?」


笑い涙を拭きながら花に視線が向けられる。


彩香「どうなの?はなちゃん」


花「えっ、っと・・・」


余計な事を言いうなと表情をする一太


彩香「言っても嫌われないわよはなちゃん、普段の様子どうなの?」


ニヤニヤとした顔をして問いかける彩香。


花「ごめんなさい一太君、彩香さんその通りです」


一太に申し訳なさそうに頭を下げ彩香の問いに答えるハナ。

 

彩香「だー、やっぱしー!やってんじゃん!あーっおもしろすぎる!」


再び腹を抱え笑いだす彩香。

そこに下の階から声が掛かる。


男性「彩香ー、タクシー来たよー」


優しく響き、いかにもナイスミドルとわかる声が聞こえてきた。


彩香「はーい、今行きまーす」


笑いを堪えて返事をする彩香。


彩香「さ、下に降りましょうかはなちゃん」


花「は、はい・・・」


まだふらふらとしつつ歩きにくそうなハナにそっと手を差し出す一太。

一太の行動を見て彩香が一言。


彩香「ま、合格点ね」


一太「うっさいっ」


照れながら、気を使いながらゆっくりサポートする一太に付き添われ1階の階段を降りるハナ。

そこには渋くも凛々しく着物を着た中年の男性が立っていた。


男性「体調がよくないのに彩香の趣味に付き合わせてしまって申し訳なかったね」


花「いえ、助けていただいた上に着替えまで貸していただいてありがとうございます。」


男性「体調が戻って時間があったらいつでもおいで、その時はもうちょっと一太の話を聞けるだろうから」


花「は、はい、ありがとうございます。」


男性と彩香に深々と頭を下げるハナ。

店の前に停車していたタクシーのドアが開く。


彩香「一太、これをもってはるちゃんのお母さまに説明してきなさい。」


さっきまで腹を抱えて爆笑していた人とは思えない切り替えの早さ。

その人から紙袋を渡される。


一太「わかった」


短く返事をしてタクシーに乗り込み扉がしまる。

花が乗り込み地図アプリでタクシードライバーに行き先を教え、動き出すタクシー。


花「一ノ瀬君、今日はいろいろとありがとう、そしてごめんなさい・・・」


申し訳なさそうに再びお礼と謝罪をする花。


一太「いや、大丈夫」


すっかり夜も更けようかとしている景色が流れていく。


一太「母さんがああなるのが分かっていたから今まで誰にも俺の家の事話さなかったし・・・」


花「そっか・・・、ごめん」


一太「本当に謝らなくていいし、ちょっと動けるようになって良かったし、助ける事ができて良かったと思ってるから・・・」


花「ありがとう・・・」



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