第1話1
第1話1
四月、春の夕暮れ、教室の窓から入る春の風に靡く綺麗な銀髪ときらめくイヤーカフ。
私は彼の横顔に見惚れる。
両親が離婚し、母親に着いて来た、見知らぬ土地だったが、高校に入学したまたま後ろの席のりっちゃんと話をして、仲良くしてもらいそこから4人の仲の良いクラスメイトが出来た。
4人と他愛のない話をしていた時に机にノートを忘れた事を思い出し取りに戻った時だった。
彼が春風が入る窓を閉めている所に私が教室に入った。
少年「どうしたの?」
こちらに気が付き声を掛けてくれる。
私の止まっていた時間がその一言で動き出した。
少女「あ、あのノート忘れたから」
4月とはいえ外の風は肌寒く、換気の為に開いていた窓から入る風は冷たかった。
冷たい風に思わす、くしゃみをして身震いした。
それを見た彼が自分の机の紙袋からカーディガンを差し出してくる。
少年「これ」
差し出されたカーディガンを思わずそのまま受け取ってしまう。
少年「それ、サイズ会わなくて着ないからあげるよ」
少女「あ、ありがとう」
窓を全部閉め終わり、教室を出ていく銀髪の彼。
入れ替わるように4人が戻って来た。
立ちすくむ私を心配して声を掛けてくれる。
立夏「花ちゃん、どうしたの?」
声を掛けてくれたのは「峯崎立夏」(みねさき りつか)、通称”りっちゃん”ポニーテルがとても似合う明るい女の子、彼女の席の前にならなかったら、多分いまだに話が出来るクラスメイトはいなかっただろう。
立夏「どうしたの、それ」
手に持ったカーディガンを見て質問してくれたのは「鈴木真綾」(すずき まあや)、通称”まーちゃん”りっちゃんと同じ中学で同じ陸上部だった、背が高くボーイッシュで普段から男子の制服を着ていて非常に似合っててイケメン女子なので「王子様」とも言われてるクラスメイト。
花「さっき、銀狼君が貸してくれたんだけど・・・」
体を冷やしたみたいで、結局貰ったカーディガンを羽織る。
萌「へぇ、銀狼君、やさしいねぇ~、惚れちゃった?」
ちょっと冷やかし気味に、聞いて来たのは「戸田 萌」(とだ もえ)通称”もっちゃん”りっちゃんがゆるふわの雰囲気が気になり声を掛けて私達の輪の中に連れて来てから一緒になったクラスメイト、既に気になる人がいると内緒の話をしてくれたショートボブがかわいい女の子。
花「え、いや・・・、んと・・・、ちょっと気に・・・、なるかな・・・」
沙也「え、ホントに?」
黒髪ストレートで学校内でもトップクラスの美貌を持つ「和田 沙也」(わだ さや)通称”さやっち”りっちゃんが「美人担当が居ない」と言って私達の中に連れてきた美人さん、すでに何人かの人に告白されたみたいなんだけど全部断ったそうで、「私、もっと余裕のある大人の人が良いのよね」と恋バナしてた時にぽろっと好みを暴露してしまい、顔を抑えて恥ずかしがってるのをみて可愛いと思ってしまい、その恋バナからみんな仲良くなった。
真綾「花ちゃんの好みは銀狼君っと・・・」
花「いや、ちょっとまーちゃん!」
いたずら顔でちょっかいを掛けて来る真綾。
立夏「でも、以外かな、人を寄せ付けない雰囲気あるし、あのヘヤースタイルでしょ、実は良い奴?なのかな?」
真剣な顔で考える、りっちゃん。
萌「何気にポイント高いよね」
私に抱き着き、温めてくれるもっちゃん。
沙也「そうね、普通はそこまで気が利かないし、大抵は下心がみえる貸方しますね」
りっちゃんと同じように真剣に考えるさやっち。
5人がみな考え込んでると、ふと忘れ物の事を思い出す。
花「あ、ノートの事忘れてた」
私が自分の机からノートを取り出す。
その日の自分が感じた事は後から彼の事が気になりだす切っ掛けとなった。
花母「花ー、時間よー」
花「わかってるよー」
壁の時計が8:00の表示。
お気に入りの眼鏡を掛け時計を見る。
花「あー、もう時間、お母さん行ってくるねー」
隣の部屋から何時ものように声が返ってくる。
花母「気を付けてねー」
母親との毎朝の会話をしまだ履きなれないローファーを履き玄関扉を開けエレベーターに向かう。
マンションのエレベーターで一階に降り、エントランスからオートロックの扉をくぐると駅に向かう人々。
その流れを邪魔しないようゆっくり歩きだす。
駅向こうの高校へ入学し早一か月、普通の人が歩けば15~20分の道のりをゆったりと30分かけ歩いて通学するのが日課になりつつある。
春が足早に過ぎ去り、季節の変わり目はすでに夏になろうかという天気。
快晴の空と駅に繋がる高架をくぐり急がずゆっくり学校に向かう。
□
正門を通り学生たちが挨拶やおしゃべりをする下駄箱で上履きに履き替え教室に向かう。
1-Aの表示がある教室、開放したままの扉をすり抜け自分の席に向かい荷物を置き椅子に腰を下ろす。
立夏「花ちゃんはよー」
花「りっちゃんはよー」
そこへ真綾がやってくる」
真綾「今日も二人はラブラブだね」
立夏「良いじゃない!花ちゃんは私の癒しなの!花ちゃんが居ないと私は生きていけないわー!」
と花に抱き着く立夏。
花「よしよし、りっちゃんは今日もかわいいねぇ」
抱きついた立夏の頭を撫でるはな。
立夏「へへへ」
嬉しそうに撫でられる立夏。
そうしている間に次々と登校してあいさつに来るクラスメイト達。
大半は立夏と真綾に近づきたかったり、親密な交流をしたいと思う生徒が大半である。
自然と出来た輪の外をスッと抜け席に座る男子生徒。
その風貌は周りからちょっと浮いている程度では済まないような銀髪のツーブロック、耳にはイヤーカフをして身長は余り、いや全然ちびではあるがいつもけだるい感じの男子生徒である。
ふと、花が群がる生徒の間から視線を少年に向けていると大きなあくびをしている銀髪の生徒。
その瞬間、視線が一致して真顔に戻る少年とすぐさま視線を逸らす花。
そして、そのやり取りを見逃さなかった立夏がニヤリとする。
立夏「やっぱ、気になるかい?、はなちゃん」
さっきの視線をそらしたのを見られていた。
花「り、りっちゃん、いや、ちょっと目が合っちゃただけだから・・・」
そこへ真綾が入ってくる。
真綾「はなちゃん、応援してるからね」
と肩を叩かれる。
花「ちょっとまーちゃん」
かなり意識しているみたいで恥ずかしい。
立夏「でも、やっぱ目立つよねあの髪は」
後ろの席の立夏が話しかけてくる。
萌「同中の子に聞いた事あるんだけど中学から雰囲気はあんな感じだったみたい、まだ黒髪ではあったみたいだけど」
萌が独自の情報網で銀狼君の関する情報を収集してきた。
花「そうなんですね」
立夏「さすがにあの銀髪は中学では無いかー」
彼が今のスタイルになったのは入学式が終わり次の日だった。
教室の入って来た彼を皆がみて、驚いていたのは記憶に新しい。
真綾「この学校かなり校則緩いけど、まじですげーと思ったわ、まあ私はそのおかげで好きな恰好が出来るから嬉しいけど」
今日も男子の制服でカッコよくイケメン女子な真綾。
沙也「なんでも20年位前にいた生徒会長がかなりのギャルだったらしく」
立夏「うわ、ギャルの生徒会長すご」
沙也「当時校則が不満で先生達と相当やりあったみたい」
萌「全校生徒vs先生だったって聞いた事ある。」
真綾「伝説だねー」
担任が教室に入り朝のホームルームが始まると皆各々席に着いた。
午後になり、教室で体操服を着替え終わった男子生徒達が運動場に向かう。
そこへ入れ替わるように入室するハナ、すれ違う銀髪の少年。
どことなく悲しげな瞳で荷物を持ち教室を出ていく花の後ろ姿を少年は見ていた。
壁の時計は18:40の表示。
物静かな空間の中に広がる珈琲豆を焙煎した焦げた香り。
蔵を改築したカフェに和服姿の女性店員がカウンターで足元の冷蔵庫の扉を開く。
女性「あら、牛乳足りないわ」
奥で作業していた銀髪の少年に声を掛ける。
女性「一太、牛乳買ってきてー」
作業を止めて奥から『一太』と呼ばれた銀髪の少年が出て来る。
一太「何?母さん、牛乳無いの?」
母「ちょっと計算間違っちゃったみたい」
一太「まあ、最近ちょっとお客さん増えてきてるみたいだね」
母「ん-、まあそれもあるけど取り合ず牛乳いつもの所で一本で良いわ」
一太「りょーかい」
母「明日の分は今日の発注で増やしておくから」
一太「わかった」
一太は母から財布を預かり懐にしまう。
母「雨降りそうだから傘持っていきなさい」
一太「わかった」
カフェの勝手口兼自宅玄関の扉を開け片手に番傘を持ち通いなれたスーパーに向かう。
店員「ありがとうございましたー」
片手に牛乳の入った袋を持ち片手には持ってきた番傘。
スーパーに入っている間に季節外れの大雨が降り出していた。
自宅兼カフェに向かう途中前に傘をさしてはいるがどことなくフラフラと歩く人。
一太(大丈夫なのかよ・・・)
と思いつつ同じ道なので後ろをついて歩く形になる一太。
交差点が赤で立ち止まり、もうすぐ青に切り替わろうとした瞬間。
フッっと前にいた人が突然倒れはじめる。
咄嗟の事で抱える事は出来なかったが、瞬間的に出した手が何とか頭が地面とぶつかるのだけは回避出来た。
一太「ちょっ、大丈夫か?」
一太は倒れた人に声を掛ける。
見覚えのある人、クラスメイトの森村花だった。
顔色はみるからに青く、返事もない。
森村はなの目がうっすら開きつぶやく。
花「銀・・・、狼・・・、君?」
花は倒れたことで服が濡れさらに季節外れの大雨で雨に打たれて服が濡れてしまっていた。
花の上半身を起こし、一太が着ていた羽織を肩に掛け花を背中に背負い自宅兼カフェに走りだした。




