第6話3
時計の針が12:03を指している。
荷物を抱えて一太が撮影スタジオに現れたと同時に一太に抱き着く葉月。
一太「抱き着くな、抱き着くなら真綾に抱き着け」
葉月「真綾、衣装来てて抱き着けないんだよ」
花「あ、一太君」
沙也「こんにちは」
持ってきた保温ボックスをテーブルに置き、ふたを開ける。
一太「母さんがもってけっていうから配達しに来た」
立夏「何を持ってきてくれたの?」
一太「彩野菜の黒酢あんかけ弁当」
萌「ちょっと聞きたいんだど、作ったのは・・・」
一太「俺が作りました」
真綾「やったー!」
その声を聴いてスタッフが一斉に注目する。
そこに一太が居たのでスタッフの目が一斉に光りだす。
女性スタッフ1「一太さん、こんにちわ・・・」
スタッフの女性が一太に話しけるが目が怖い。
一太「こ、こんにちわ・・・」
女性スタッフ1「あの・・・、私たちのお昼なんてもって来てないですよね?」
にじり寄る女性スタッフ、後退する一太。
一太「こっちのボックスに・・・」
そいうと女性スタッフがボックスを強奪しスタッフのテーブルに持っていく。
女性スタッフ3「よっしゃー、蔵カフェのサンドイッチだ、今日来てよかったー」
男性スタッフ「うめー」
女性スタッフ2「これ食べれただけで今日はただ働きでもいいわぁ」
一太の持ってきたサンドイッチを取り合いながら食事をし始めるスタッフ達。
それを見て若干引き気味の4人。
一太「時間があるから早く食べてしまえ」
と4人に弁当を差し出す。
花「ありがとうございます」
受け取る花を見て見惚れる一太。
そこへ葉月がひょっこり現れる。
葉月「いっちゃん、私のは?」
一太「自分で取れ」
葉月「いけずぅ」
沙也「そこまでがデフォルトなのね」
渡された弁当を開けると、色鮮やかな黒酢の甘酢あんかけにつやつやの白米、付け合わせのピクルスとポテトサラダ、お店でそこそこの金額で食べられるような弁当がそこにはあった。
「「「「いただきます」」」」
一口食べる4人。
言葉を無くす。
初めて食べる3人は一口食べる食べるたびに喜んでいる。
真綾「この前のハンバーグも良かったけど、これもおいしい・・・」
立夏「何これ、はなちゃん賄でこんなおいしいの食べてるの?」
沙也「これはダメだよ本当に」
花「そうなんですよ、私、最近本当に料理に自信無くなってしまって・・・」
萌「あそこで取り合ってるサンドイッチもまさか銀狼君が・・・?」
一太「そうだよ、最近はほとんど俺が作ってる」
3人が願うように一太に迫る。
立夏「お願いします一ノ瀬様、来週のお昼にサンドイッチを・・・」
沙也・萌「「お願いします」」
一太「やだ」
ショックを受ける3人
一太「一度そんなことするとずるずると何度もやることになる、それに俺は料理を作るけどそれがメインじゃないんだよ、だからそのお願いは受けられない」
立夏「そうだよね、ごめんね、変なお願いしちゃって」
沙也「ちょっと調子に乗っちゃったね」
萌「ごめん」
ちょっと申し訳なさそうな顔をする一太。
一太「まぁ、なにかのついでに作るかもしれないから、その時は花か真綾に伝えておくよ」
萌「本当に!、ありがとう」
花の顔が少し赤くなる。
それに気が付く真綾。
真綾「大丈夫?はなちゃん」
真綾の耳元で小さな声で囁く花。
花「ちょっといきなり名前呼びされたので恥ずかしくなってしまって・・・」
なるほどっという顔をする真綾。
真綾「不意打ちは照れるよね」
花「はい」
一太「さて俺は帰る」
葉月「えー、帰っちゃうの?」
しがみつく葉月。
一太「このまま居たらまた撮影に巻き込まれるだろ、今日は配達に来たんだ離せ葉月」
葉月「いいじゃないか、見学しようよー」
一太「いや、本当に帰るんだって・・・」
葉月「真綾の綺麗な姿見ていきなよー」
一太「それはお前がみたいんだろ」
葉月「はなちゃんのかわいい姿見ていけば良いじゃないかー」
一太「それは見たいけど・・・」
思わず本音がでる一太、真っ赤になる花。
一太「と、とにかく店あるし帰る」
と照れながら葉月を振りほどき帰る一太が花に一言。
一太「また、あと店で」
と言い残しスタジオを出ていく。
出ていくときの一太の耳は赤くなっていた。
真綾「これは、計画を早めても良いかもしれないな・・・」
立夏「そうだね、なかなか意識してきてるね」
やり取りしていた葉月が戻ってきて真綾と何か話してスマホ同士で送信している。
真綾「りっちゃん」
立夏「なに?」
真綾「データ通信してもいい?」
立夏「いいよ」
真綾と立夏がデータ通信をする。
送られたデータを見ると動画だった。
立夏「これ・・・」
葉月「りっちゃんがちょっとでも勉強になればと撮っておいたよ」
葉月の気遣いにうるうるとする立夏。
立夏「ありがとう、後で見せてもらうね」
葉月「いいのいいの、彼氏の親友のお手伝いだから」
立夏「彼女じゃないの?」
葉月「私の彼女良い男でしょ?」
っとニコリとする葉月。
立夏「どっちだかわからなくなってるよ」
真綾「私の彼氏良い女でしょ?」
立夏「まーちゃんもいうのかい」
真綾「あははは」
一太特製弁当を食べ、午後の撮影に移った4人。
ただ、ハルだけは昼食のやり取りでどこか上の空だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
カメラマン「紗香さん、ちょっと・・・」
カメラマンが紗香を呼ぶ。
紗香「ん、どうしたの?」
カメラマン「これ・・・」
と見せた写真は花の柔らかくかわいらしい表情が写っていた。
紗香「これ芸能事務所なんかに見せたらダメなやつね」
カメラマン「ええ、大手から小規模まで必ず聞かれますね」
紗香「本人に自覚無いし、多分望んでないから消去しましょう」
カメラマン「わかりました」
紗香「ああ、その写真私にだけ送って彩香に送るから」
カメラマン「今、送ります」
ポコンッ
紗香「受け取ったわ、消去お願い」
カメラマン「承知しました」
データを消すカメラマン。
紗香「あとのデータもいつも通り厳重に管理お願い、今回は特にね」
カメラマン「わかりました」
紗香「それとこれに写真のコピーお願い」
カメラマン「はい」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
撮影も順調に終わり、スタッフが片づけを始める。
紗香「1日おつかれさま」
真綾「貴重な体験ありがとうございました」
紗香「こちらこそ、本当に助かったわ、みんなタイプが違うから本当に助かったの」
沙也「そういっていただいてうれしいです」
紗香「これ、今日の謝礼とあと撮影したデータ」
萌「ありがとうございます」
紗香「データはSNSにあげないでね、どこで使われるかわからないしね」
立夏「気を付けます」
紗香「あ、あとはなちゃん」
花「はいっ」
紗香「個人的に連絡したいのでID教えてもらっても良いかな?」
花「ぜひ、お願いします。」
ID交換をする花と紗香。
紗香「ありがとう」
花「こちらこそありがとうございます。」




