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08 魔王幹部との戦い

「世界を穿て、魂を洗い流す雨よ、時を超え、破壊せよ!! 水爆弾(ウォーターボム)


 サミナーさんが唯一全文覚えた魔法を放ちました。

 相手は二股長首蛇(タブネーク)です。

 その二つの首を間に向かっていきました。気づいたら、その水は首をすでに割っていました。


 血と水の混ざったドロドロとした液体の匂いが、充満していました。


「ここら辺は魔物が多いですね」


 サミナーさんが魔物を狩っているのを、私は遠目から眺めていました。


 空模様は悪く、今にでも雨が降り出しそうです。


「ギャジャ」


 ライドルも、戦闘中は私と共に後方へと回ります。働きもしませんが、とにかく終わったらすぐにサミナーさんの下へ行くのです。

 余程懐いているのでしょう。

 今ならどさくさに紛れて、こやつを消すこともできるのですけどね。

 そんなことをしたら、大問題なので流石にしません。


「雨が降る気がしますので、どこか雨宿りをする場所を探しましょう」


 私たちはそそくさと退散をしました。

 蛇は大抵の場合食べられる場所が少ないので、回収はしません。

 まだ昨日の魔犬の肉がありますからね。


 穴の空いた大きな幹に私たちが隠れた頃、実際に雨が降り始めました。

 何というタイミングでしょうか。

 本当にギリギリですね。


「あとどのくらいで、この森は抜かれるの?」


「多分、今日はもう歩けないでしょうね、この雨が止むのは早朝になるでしょうし」

「そこから考えて、明日の夜頃になるでしょうね」


「めんどくさー」


 文句を言われるよりも、悲しい態度です。


「とりあえず今日は、これで寝ましょう」


 サミナーさんから承諾をもらい、私たちは眠りにつきました。

 そんな演技をしました。

 サミナーさんがどんな寝顔をするのかを気になりましたので、私は目を瞑り、時間を潰していました。

 私は全く眠たくないので、一日寝ないくらい大丈夫です。


 すると、腰から何か這い上がってきました。

 鱗のように硬い物体が当たっていたので、大体誰かは分かりました。

 目を細く開くと、やはりそこにはライドルがいました。


 ライドルは、何とも言えない表情でこちらを見ています。何を思っているのでしょうか。

 こんな時には、魔物の声が分かる魔法があれば良いのですけどね。

 上澄みの中の上澄みならそのようなことも出来ると聞いたことはありますが、それがただの噂ではなく、事実だとしても詠唱が分からないから無理ですね。


 こうして見ると、案外可愛いですね。


「お前も寝て良いんだぞ」


 それから何時間が経ったのでしょうか。

 雨が止み、私が魔法で水を出したり、雑木に斬撃を飛ばしたりして、暇を潰しのに、私が飽きてきた頃です。

 普通に太陽はまた新しく登り、次の日へとなっていたので、もしかしたら十時間くらい経っていたかもしれません。


「よく寝た! って、ここか」


 森の中にいる事実を忘れていたような反応を示します。

 何だか残念そうですが、私は行きましょうとしか声は掛けられません。


 しかし、そう言えば、そんなの分かっていると声が返ってきました。


 そうして再び歩き始めます。

 何度か魔物と相対しましたが、どれも問題はありませんでした。

 しかし、何て余裕を持てる相手ではない者と相対しました。


 名を何と言うのかは知りません。

 彼は突如として現れました。

 全身を白いコートで身を隠して、持ち物は腰に据えられている大剣のみです。


 それは森の中では否が応でも目立ちます。

 ただの冒険者なら何も問題はありません。

 けれど、彼は剣をこちらに向けてきたのです。


「世界の王者、我々を守れ、岩の壊れぬ壁(ロックパル)


 私たちは魔法でそれを止めました。


「誰ですか、あなたは?」


「龍が奥の一人。ハルムルト。貴様らを殺しにきた」


 龍が奥。それは私も聞いたことがある言葉です。

 それは私が寝続けて借金まみれになる前です。

 魔王の幹部の名前です。

 魔王は死んだのですが、まだ幹部は生きていたようです。


 魔王の幹部が、何で私たちを殺すのかと思いましたが、そんなことを聞く暇を与えてはくれません。

 

 閃光の如く突っ込んできました。後ろ足で、強く蹴り、元々いた場所には風が吹いていました。


「龍を超えろ、吹っ飛ばせ即起動型風魔法(フールセルト)


 すぐに反応したのはサミナーさんの方です。

 私は油断していたこともありますが、すぐに反応は出来ない速さでした。


 吹っ飛ばされたハルムルトは、木で受け身を取りました。


「俺は、お前が目的じゃないんだ。邪魔するんじゃない。」


 それは誰がどう考えても、サミナーさんに向けられた声でした。


 ……もしかして。

 私が目的なのでしょうか。

 何で私が狙われるのですか、さっきは貴様らと言ったじゃないですか。

 と、そんなことを言っても意味がないのですね。

 本気でやらないと殺されてしまいます。


「サミナーさん、引きつけてください。私が決めます」


 その言葉など気にしないようにハルムルトは突っ込んできました。


「龍を超えろ、吹っ飛ばせ即起動型風魔法(フールセルト)。ライドル、焼き尽くせぇ!!」


 サミナーさんの魔法は、ライドルに向けられていました。

 風に乗ったライドルがハルムルトに向かいます。


「邪魔だ……」


 ハルムルトが剣を振ると、当たりが赤く広がります。

 しかし、それは血ではありません。炎が広がっていたのです。


「世界を穿て、魂を洗い流す雨よ、時を超え、破壊せよ!! 水爆弾(ウォーターボム)


 大きく貯めました。

 起きてから初めて魔法を打って、トルートドラゴンを破壊した時よりも強く、大きなものがでました。


 それはハルムルトの下半身を破壊しました。

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― 新着の感想 ―
面白かったです! ラニムとサミナー、まだまだ幼いランドルちゃん♡ 次のエピソードを期待しております(o^^o)
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