09 賞金が舞い込んできました
呆気のないことこの上なかったのでした。
魔王の幹部となる者は、下半身が吹っ飛ばされて、ぶっ倒れていました。
下半身が吹っ飛ばされていますが、元々いた場所から少し這いずっていました。血が引きずられていて、血の強い匂いが鼻に飛んできました。
それは流石、魔王の幹部と言った感じです。
「大丈夫!?」
サミナーさんが、寄ってきます。
私もサミナーさんも、無傷でした。
横から聞こえる鳴き声から、ライドルの無傷も分かりました。
「一体何だったですかね?」
私を目当てと言っていましたが、話を聞かずに殺してしまいました。
大丈夫だったのでしょうか。
相手はあの魔王の幹部の1人です。もしかしたら復讐をされるかもしれないです。
あの人だって、私達に敵対心だって、本当はなかったのかもしれません。
ても、もう剣を向けられたので仕方なかったのです。
「こいつって、賞金かかってないのかな」
「賞金!?」
確かに相手は魔王の幹部。賞金があったとしても、何ら不思議ではありません。
「もし、賞金がかかっているなら、どうしたら良いの!?」
「多分だけど、ギルドに運べば……」
運べばと言われて、何がと聞くほど、私は馬鹿でも野暮でもありません。
それはこの死体のことを言っているのでしょう。
つい先ほどまで血が滴っていたのですけど、それを運ぶのですか……
それは精神的にもキツイものがありますね。
きっと汚れるでしょうし。
一体どうやって運べば良いのですか。
「魔法で運びますか……」
風魔法で無理矢理運ぶという選択肢をとりました。
地面から風魔法を出して、浮かせました。
返り血が付いても困りますのでね。
ですが、血はもう出終わったのか、血はもう垂れなくなりました。
どのくらいの時間をかけましたでしょうか。
結構進むと、森を抜けられました。
「明るい!!」
そうサミナーさんは言いました。
はい、そこはパラパート。
この大陸の最北端の港。ここはこの大陸で一番の大きさを誇る港町であります。
ここから私たちは、次の大陸に出掛ける予定です。
「とりあえず、ギルドに行こう!!」
私は相変わらず、ハルムルトの死体を運んでいましたので、すぐにでも投げ捨てたいです。
ですが、もしかしたら、大金になるかもしれませんので、そんなことは出来ません。
「どこにあるんですかね? ギルドは」
「とりあえず、街の中に行こう」
その言葉に従って、私たちは街中に向かいました。
もう一歩進めば、人の行き交いが増えてくるでしょう。
入れば、あの時のように、ランドルのせいで街で驚きが起きてしまうでしょう。
「止まってください」
死体を街の中に運べば、それはもう混乱に包まれるでしょう。
そんなことは分かります。
さて、どうしましょう。
これを持っていっても価値がなかった時にはギルドも困ってしまいますね。
何か証でもあれば良いのですか。
アクセサリーがあるという訳ではないので、首でしょうか。
それはもっとヤバいので、なしですね。
なら、逆にしましょうかね。
「サミナーさん、ギルドに行って、鑑定しに来てくれないか、聞いてきてくれませんか?」
「へい、了解!!」
サミナーさんは、右手を頭に掲げると、すぐさま街の中に入って行きました。
私はサミナーさんが居なくなったので、ライドルと共にこの死体がバレないように、周囲を確認していました。
たまに人は通りますが、ライドルも、ハルハムトの死体もバレませんでしたね。
「ここです!! ここに居ますよ」
サミナーさんの声が帰ってきました。
「ひぇ!!」
やはりと言うべきでしょう。
ギルドの受付嬢か、鑑定士かは分かりませんが、ここに来たら、驚いてしまうのは当然です。
「あれ、ハルハムトじゃないですか!? 貴方たちが倒したのですか?」
彼女は、私たちの顔を凝視していました。
その表情は、多分、私たちのことを記憶の中から探しているのでしょう。
「はい、そうです。私が倒したんですよ」
サミナーさんは両手を腰に据えて、威張っていました。
別にサミナーさん一人で、倒したんじゃないですよね。
「決まった賞金はないですが、特別賞金くらいは出せますよ」
「いくらですか!?」
「ざっと、二千万リープですかね」
「おぉ」
二千万。
私たちの借金は六億五千万リープですから、その何割でしょう。
計算は苦手ですが、喜ばしいです。
「いや、あたしは借金関係ないからね。そんな喜んだ顔でこっちを見ても、全額あんたの借金に消えるんだからね」
「しかも、残り六億三千万もあるんだから」
ショックです。
まだそんなに借金があるんですか。
あと、何十人くらい幹部を倒さないといけないのですか。
「おい、貴様。よくも我が仲間――ハルハムトを打ったな。敵討ちだ」
また、大金が舞い込んできたぁ!!




