05 ドラゴンの巣窟
そこはギルドに隣接する酒場。時間としては、朝一の時です。
こんな時にお酒を飲んでいるのは、ロクでもない人たちの集まりです。
そんなことを言っている私はというと、全体を見渡せる席で酒を飲んでいます。
ですが、昨日の反省を生かして、今回は酔わない程度の量で楽しんでいます。
なので、問題はないでしょう。
一杯目の途中で彼女はやってきました。
そう、サミナーさんです。
昨日とは違った服装で、マントを纏わせて魔法使いの姿で現れました。
「今日は何をしますか?」
今日、呼んだのは私です。
昨日は彼女が元々泊まっていた宿屋で寝ていたので、私とは別々の場所でした。
なので約束をしないと出会えなかったのです。
手紙のような連絡手段は、紙を買うお金をケチりたいので、使いたくないのです。
「今日は、散策です。この国を回りましょうよ」
お金を持っていないので、お金を稼ぐ前に、装備を整えようと思ったのです。
それと情報を集めたいのです。
お金稼ぎをするという目的だけがあるので、それ以外何をするのかを悩んでいたので、何か目的を探すというのもありました。
サミナーさんもここの出身ではないらしく、散策に興味があったらしく、快く了承をしてもらいました。
お酒のお金はもちろんサミナーさんに奢ってまらいました。
もちろんお金は私が払おうとはしました。
しかし、彼女が払ってくれると言っていたので、お言葉に甘えただけです。
お金を持っていないのでは?
そんなことを聞かれたら、私は何も言い返せませんね。
しかし、そんなことを言ってくる人は、昨日のことを覚えている変な人なのでしょうね。
一文無しですので、何か買う訳でもなく、散歩デートをしていました。
陽気な彼女に先導されて、進んでいきます。
私たちが1番したのは魔物について、私たちは冒険者なので当然です。
たまに武器などを見たりもしました。
私たちは魔法使いなので、杖を探していました。
ですが、どれもどれも高いもので、私にとってはのかりもないものですけど。
「服を買いに行きませんか?」
急にサミナーさんがそう言いました。
彼女は私の服を見ながらそう言っていました。
その真意はすぐにわかりました。
私はずっとパジャマで過ごしていたことが気掛かりだったのでしょう。
何故なら、私がずっと周りから特異な目で見られていましたので。
私も気づいていました。
変な奴だということに、私が。
「確かにそうですね、行きましょう」
場面は洋服に囲まれた場所に移動しました。
私たちは街の中心地まで、戻ってきました。
「どんなのが良いですかね」
私が聞きますと、サミナーさんは苦悩の表情を浮かべます。
その原因は一目で分かります。
予算です。
私の懐には三千リープがあります。
懐はどんどん寂しくなってきています。また早く討伐にでも参加しないと野垂れ死にますね。
「これにしましょう」
サミナーさんが指差していたのは、普段着るようなものではなく、冒険者ようなもの。
しかし、それは魔法使いようということもあり、ラフなものでした。
私はそれを書いました。
残ったのは、宿屋代のみ。本来は宿代も残りませんでしたが、サミナーさんが貸してくれたのです。
強制したのではありませんよ。
言ったら貸してくれるのです。
「いつか貸してくださいね」
「……はい。必ず返します」
一週間は経ちましたでしょうか。
サミナーさんと私は同じ宿屋に泊まるようになりました。
今は全てサミナーさんのお金で生活をしております。
ですが、そろそろ出て行かなければなりません。
サミナーさんのお金も尽きかけているのです。
お金持ちと踏んでいましたが、小金持ち程度でした。けれど、ここまで特に問題なく過ごせたので、問題ありません。
むしろ上出来です。
今日までで、準備は完璧です。
今から私たちは討伐に向かいます。
どこに向かうか、それは……
「ドラゴンの巣窟だ!?」
サミナーさんは活気な子となっていました。
彼女はこの巣窟を見つけると、はしゃいでいました。
珍しいものにはとっても興味があるようですね。
「さて、行きましょう!!」
「はい、落ち着いていきますよ」
「はーい!!」
サミナーさんは楽しそうに先に一歩を踏み出していきました。
明かりは、彼女の火の魔法で中へと入っていきました。
今回は討伐という名を冠していますが、この巣を棲家としていたドラゴンは先日討伐されています。
私たちはこの巣窟の探索をしにきているのです。
つまり討伐よりも探索ですね。
「別れ道がありますよ!! どっちにいきます?」
入ってきてから思いましたが、ここは完全に洞窟という名の方が相応しいですね。
「右に行きましょう」
そちらは完全に明かりが届いていなく、魔法で照らさなければ、一瞬で迷子になってしまうでしょう。
そんなことを言っていた私ですが、こう言っていた訳ではありませんよ。
「………迷ってしまた!!」
光があれば、迷わない。
そんなことは言っていないので、仕方ないですね。私は楽観的に考えています。
借金のことを考えると、今更何に悩めば良いのでしょう。
宿屋と、委託されたギルドにとっては、借金のことだけ考えとけとでも言われそうです。
でも、少し楽観的な方が生きやすいというモットーで生きてきましたので、何も文句は言わせません。
「凄いです。こんな鉱石見たことないです。持って帰りましょう」
私よりも楽観的な人が目の前にいました。
「良いですけど、どうやって取るのですか?」
「そりゃあ、魔法で周りをぶっ飛ばせば良いでしょう」
「いや、そんなことして、ここが崩れたらどうするのですか。」
「まぁ何とかなるでしょ」
彼女は魔法を放とうとしました。
私はすぐに止めましたが。
どうやら楽観的というのも問題のようですね。
「ひどい……」
どんどん先に行き、問題を起こされては困るので、服の裾を握り、私のそばに置いておきます。
彼女は私に小突かれた頭を片手で押さえています。
もう片方の手では一帯を照らす光があります。
その光は眩しいほどに輝いていたので、選手交代としました。
相変わらず詠唱は覚えていません。
考えた所で無から思い付く代物でもないので、サミナーさんに聞くとしましょう。
「詠唱ってどうしたら良いですか?」
「え!? 知らないんですか?」
本当に驚かれるものです。
サミナーさんにとっては、私がトルートドラゴンをぶっ倒したのを知っているので、そうなるとやはり驚きですね。
「やってみようか?」
「お願います」
「……まぁ、使わないんだけどね」
「え!? 何でですか?」
「いや、ここでは危ないでしょ」
無理のある言い訳をしてきました。
「本当は覚えてないんじゃ?」
「うるさいな、もちろん覚えてるに決まってでしょ」
そうして本当にしてくれませんでした。
あの状況からしないなんて余程性格が悪い限りありえないですよ。
多分覚えてないのでしょう。
結局、私は無詠唱で進みました。
無詠唱は、威力や効果が下がるのはもちろん魔力の消費量が増えるのです。
疲れるはずです。
しかし、それほどは疲れはしませんでした。
一体何故でしょうか?
「……止まって!!」
前にいるサミナーさんが止めてきました。
それはドラゴンが主に暮らしていたであろうと、推察できる場所でした。
しかし、それは既に過去の話であり、ここも静寂に包まれています。
ここに予定はないように思えます。
もう引き返しても良いでしょう。
「あれ見て!!」
どうやら彼女は違ったようです。
彼女の指が向かっているのは、ドラゴンの子供でした。
最近孵化したようで、まだ可愛い目をしていました。
初めて光を見て、人族を見たであろうドラゴンはどんな行動してくるのか分からないです。
戦闘体制をとった私と違い、サミナーさんは落ち着いてドラゴンを見つめました。
一体どうなっているのかは、分かりません。
ただサミナーさんの元へと飛んでいきました。
簡単に考察すると、主を求めているようでサミナーさんの元へと行ったのでしょう。
などと、簡単に納得出来る訳がないのです。
が、ドラゴンがサミナーさんに懐いたのは間違いないでしょう。




