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34.

「うっ、んんっ」


 アニスは初めての口づけに身をよじる。なんとか男の腕から逃げようとするが、あまりの衝撃に力が抜けてゆく。足が震え、崩れ落ちそうになる少女の体をソルシアンはしっかりと支え、ようやく唇を離した。


「な、なぜこんなことを……?」


 肩で息をしながらアニスが涙目で男を睨んだ。


「そうしたかったから…」


「そんなの、答えになっていないわ!」  


「……貴女は嫌でしたか?私との口づけは。」


「そ、そんな事、聞いているんじゃないわ!貴方がなぜ私にその、く、口づけをしたかを聞きたいのよ!ただの戯れ?私が貴族でもないただの平民だから、手を出しても良いと思ったの?」


「違う!そうじゃない!!」


「じゃあ、どうして?私たち、出逢ったばかりなのに……」


「時間は関係ない!私は貴女とキスがしたかった。いや、今もまだまだ足りない。貴女がほしい……」


 言い終わらないうちにソルシアンは再度アニスの唇に自分の唇を強く押し付けた。しかも今度は少女が崩れ落ちないようにガッチリと抱きしめながら。


「んんー!!」  


 息も出来ないほどの口づけにアニスの頭はクラクラしてきた。そのまま気を失いそうになると、ソルシアンは唇を離した。そしてアニスがまた文句を言う。するとソルシアンが彼女の唇を塞ぐ……そんな攻防が5度、6度と繰り返される中、アニスはそれが嫌ではない事に気付いてしまった。7度目のキスの後、アニスがソルシアンの胸にそっと頬を寄せる。『トクントクン……』彼の心臓は早鐘のように鳴り響いていた。


「ソルシアン様……」  


「アニス、私の事はソルと呼んでほしい。」


「ソル様……」


「ああ、私の可愛いアニス、貴女を見つけた時から、私は貴女の虜だ。ずっと私の側にいてほしい。」


「でも、女王様とのお話はどうするの?」


「もともと私はあの女王に興味はないし、ルルドールかクライブがいるから問題ない。」


「興味がない?あんなにお綺麗な方なのに?」


「私には貴女の方が100倍いや、1000倍綺麗で可愛い。だから私の側にいると約束してほしい。」


 顔を上げるとソルシアンの赤い瞳がアニスを優しく見つめていた。少女が頬を染めコクリと頷くと、男は堪らずぎゅうぎゅうとアニスを抱きしめた。『私、本当に食べられちゃうかも……』男の有り余る情熱にアニスは一抹の不安を感じるのであった。




 アニスはルルドールの事が気になってはいたが、今は自分の事で手一杯だった。それは何故かというと、彼女は今、庭園のベンチに座るソルシアンの膝の上に横座りされているからだった。そして上半身は向き合ったまま、しっかりと男に抱きしめられていた。そして時折、チュッと唇にキスしてくる彼は限りなく甘かった。


「ソル様、もうキスはしないで。」


「え、何故だい?もしかして嫌だった?」


「いいえ、違うの。私、キスするの今日が初めてだから、あまりされると心臓がもたない……」


「!!……アニスはキス、初めてだったのか?」


 少女は答えの代わりに顔を赤くした。それを見たソルシアンがまた彼女にキスをする。


 甘甘の二人の夜はまだまだ続くのだった……


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