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アウトローに学ぶ異界生存戦略  作者: 沖
1章 異世界で奴隷から神官、そして魔の者への扉を開く
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アウトローに学ぶ異界生存戦略.59

 身構え、閃光の連続の中の人物を確認しようと腕で影を作る。

 煌めく光が止んだところに長髪の小男がいた。


 その場所へと近づく。

 そして後数メートルという所で俺の心臓が信じられないほどの音を掻き鳴らしていた。

 心臓を毟り取りたいほどの不快感が遅い、頭の中にぞわりとイメージがこべり付く。


 そこでは「男」が手を振り上げ、俺の顔面を平手打ちする。

 そして何度も何度も蔑み、侮り、卑下する暴言を放ち続ける。


 後ずさる。


 周囲の光景を見回す。

 この場で異様なのはこの二人でしかない。ショーイことフーガ・コートリーと骸に肉と皮が張り付いたような貧相な亡者。


 どちらも抗いがたい苦痛の中で悶え、苦しんでいる。

 一瞬、ショーイが俺の方を向いてにやりと口の端を上げた。


 彼は己の苦悩を楽しんでいるのだ。

 どうしてあのように狂えるのか分からない。しかし、彼からは狂喜の表情さえ見えた。


 彼は立ち上がりだした。目の前にひれ伏す亡者を憐れむようで慈しむようで。

 周囲にはフラッシュだけではなく、幾つもの闇が飛び交っていた。


 これは……。

 俺が"あの"契約の時に見たような闇だと思った。


 その闇は亡者に纏わり付きながらもさらに群がり、周囲を飛び回る。

 呪詛を吐いているのだ(・・・・・・・・・・)。

 アレは今目の前の亡者に責苦を負わせているのだ。


 亡者は頭を抱えて叫び縮こまり始めた。


 ショーイの手がこちらへと差し出されている。

 その表情からは『解ってるだろ?』といった印象を受ける。

 彼はすぐ隣で地面に縮こまって悲鳴を上げている亡者を足蹴にし、今にもその頭蓋を踏みつぶさんとしていた。


 俺は腰からリボルバーを引き抜く。

 ショーイは目配せをしてくる。首を左右に傾けながら今か今かと投げ渡されるのを待っていた。


 弾丸は撃ち尽くしてあるのだが……。俺が投げ渡すことを躊躇しているとショーイは諦めたようでその手を踏みつけている亡者に向け、その手の指先から白い発光体を生み出す。


 出来るだけ確実に出来るだけ一瞬で。

 そういう慈悲をかける様に狙いを定め、光が亡者へと放たれた。


 亡者は頭を上げショーイを見ていた。

 そして……。


 首を傾け光弾を回避、しかし炸裂した光が亡者の首を切り刻んだ。


 亡者はその歯をむき出しに、上半身がむき出しとなっているショーイのハラワタ目掛けて突っ込んできた。

 鳩尾に向けて。

 骨を避けて心臓に喰らい付くために噛み付いたのだ。


 ショーイは身を屈めながらその骨と皮の頭部を引きはがそうと苦痛の叫びを出す。

 そのまま頭部に押し倒されていくショーイ。


 首を失った亡者の身体が立ち上がり、今度はショーイの左腕を掴んだ。

 そしてそのまま、腕に巻かれた布の一枚一枚を剥がしだす。


 ショーイは暴れる頭部に両手で殴るかかるが引き剥がすことはできずにいた。

 腕から布きれを引き剥がされようとするのを抵抗し、何とか亡者の身体から逃れようと足をジタバタさせる。


 そこに倒れた仲間の周りの魔物を駆除していた冒険者の一人が歩み出す。

 剣を掲げてその亡者の胴体を真っ二つに斬らんとするも、フラッシュする両名に近づくにつれ俺と同じようにそれ以上進めなくなってしまった。


 ダーヴィルは弱々しく泣きべそをかきながら壁にもたれかかってしまっている。

「神よ――お許しを――お許しを」


 亡者の腕が痙攣しながらもショーイから最後の一枚の布きれを毟り取る。

 それを契機に次第に部屋を包み込むような閃光の連続は止んでいった。

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