アウトローに学ぶ異界生存戦略.50 突入作戦
ダレス等潜入部隊が地下城内部への侵入へと向かった直後、第二階層と第三階層の間の長い下り階段から地下城へ向かう者たちを見守る俺たちの目の前に円形の火柱が現れた。
絶望と狂乱の叫びを上げながら火柱の中から三体の騎士が現れた。
赤い血脈のような光が宿る剣と鎧。
頭部のフルフェイスの兜の隙間からは黒い靄のような瞳が俺を捕捉していた。
火柱が大地に飲み込まれる様にして収束する。
予測通りの光景に俺を含む第二部隊の誰も悲鳴を上げることもなかった。
――やはり、俺の方を先に知覚したのか……
このために後続部隊の方へ精鋭を集めたのだ。
前に槍を持った冒険者たちが集まる。
「先頭の奴を!中心に!」
統率する声に合わせて一斉に槍衾が展開される。
これはただの威嚇だ……
後方の者たちは手ごろな石などを投げつける。
ただの投石ではない。
馬並みの脚力を伴ったエネルギーをたった一つの石つぶてとして放つのだ。
投げられた石が鎧を凹ませる。
「大したことはない!イケる!」
そう口にした者の槍を中途から斬りとばす鎧の魔物の剣撃。
穂先の部分を切断された者を後ろに戻す。
「一旦槍を引け!構え!」
俺の言葉に合わせるように槍を引っ込ませる冒険者たち。
そして、初めから命令を受けていた通りに剣を持った部隊が前に出る。
「ハァアー!!」
ダーヴィルが命令を仰ぐこともせず先頭の鎧騎士に先手をお見舞いする。
前動作から行う行動は誰でも予測できる。
――鋭い踏み込みからの突き。
それに腰の捻り、腕の捻りと体全体を使った一筋の閃光。
相手からしたら全ての威力が点に集約された一撃必殺の構えはあまりに予測がしやすかったのだと思う。
鎧騎士は確認すると同時に身を反らし、ついでにその刺突に剣を添える様にする。
あまりの摩擦に剣と剣の間から火花が散る。
突っ込んでくるダーヴィルの勢いをそのままに手から頭部まで一思いに斬り飛ばそうというのだろう。
横なぎに振り下ろされる一閃。
しかし、ダーヴィルの姿は既にそこにはなかった。
兜の隙間から覗かせる邪悪な灯には動揺はない。
しかし鎧騎士の身体は後方へと持ち上げられる。
「――!!」
ダーヴィルは剣を手放し、その鎧に向けて体当たりをかましていたのだ。
浮かび上がった鎧をそのままに階段まで走り抜けようというダーヴィルに他の二体の魔物騎士が斬りかかる。
ダーヴィルはその内の一体に向けて持ち上げた鎧騎士を投げ飛ばした。
もつれる様にして長い階段を転げ落ちていく二体の鎧の魔物。
――この魔物は反応が早いようで判断は鈍いのか……?剣での攻撃に対してのみ動きが凄まじかった。
相対するもう一体の騎士を見ながらも相手を分析してみようとする。
残った鎧騎士はダーヴィルに斬りかかるもその腕に持った剣を、流れるような動作で奪われるほどの情けなさであった。
斬り飛ばされる魔物の首。
ダーヴィルの容赦のない一撃からさらに追撃にと腕を一本と足首を斬り、バランスを崩した体が地面を転がっていった。




