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アウトローに学ぶ異界生存戦略  作者:
1章 異世界で奴隷から神官、そして魔の者への扉を開く
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アウトローに学ぶ異界生存戦略.40

 私の予想はかなりいい線をいっているようだ。

 

 アンデッド戦鼠(ウォーラット)の後を追うと段々と下り坂となり、ごつごつした岩肌から石畳と石柱で出来た規則だった通路へと道が変わってきた。

 第二階層入り口だと思われる。


 私の記憶、経験、伝承などから考察するにこのダンジョンの作り方は『地下城造り』や『地下墳墓造り』と呼ばれる技法の一種に似ている。


 "地下"というキーワードの通り、この造り方では地上側で準備の拠点などを用意することが出来る。

 大抵の物語では"地下"ダンジョンを名物として地上の都市が発展したり、"地下墳墓"の地上部分を儀式の場や教会とすることで僧などの試練の場として活用される。


 そう、これはダンジョンを人の力で活用するための"技法"、知恵なのだ。


 まずはダンジョンの不浄の魔物たちの数を定期的に管理する。

 次にダンジョン内に魔物除けの聖域などで安全地帯を作り、また人工の建築物で足場などを戦いやすいように改良し冒険者や巡礼者を呼び込む。

 すると人々が集まるところに生活必需品や装備の需要が発生するので儲かるといった単純な構造だ。


 この方法はダンジョン(見える災害)と人間が付き合う良い例としてよく伝わっている。

 今でもその管理が行き届いている所は……まあ例はいいとしてだ。


 ここネクロパレスはヒルダニアの冒険者によって管理されていたのだろう。

 だが、その構造が突然変異し異空間と化すのは大抵が動植物の"魔物化"の大発生とセットだ。


 このダンジョンは明らかに人為的な構造を保ちながらもダンジョンの成長である異界化を遂げている。


 ダンジョンの構造の変化に干渉できるのは巨大礼拝堂の様なダンジョンを抑え込む『聖地』を作るか、大量のマナを循環させる様な大量の生物の死、最も自然なのはマナの魔源流の変化に伴う供給されるマナの急増などだ。


 初めは聖地が何者かに荒らされたため、その効力が弱まっていると考えていたのだが……。

 ここまで人為的な、"何者かの意思"を伴った綿密な変化というのは難しい。

 そこで迷宮の主(ダンジョンマスター)の存在という考えに至ったわけだが、これは何かがおかしい。


 ダンジョンを守るために機敏な対応で罠の様に魔物発生地を張り巡らせているようだが、反対にダンジョンと人間の共生を遂げられるような技法が使われている。


 ゴブリンなどの亜人がマスターになっていた例もあるが、マスターとなった時点でダンジョンの化身としての意識により種族への感情が消え、周辺の同族の集落を壊滅させたなどという話しがある。


――ここにいる迷宮の主(ダンジョンマスター)は何が目的なのだろうか……。


 ヒルダニアをより繁栄させるために改装している?

 馬鹿な。いくら金に目がくらんだ商人であっても、自分を商品と一体化して売り出すようなことはするまい。


 より巨大になるために人間の目の前に餌を垂らして釣りをしているのか?

 それでは中に入った者を外に逃がさないようにしたのは悪手だ。出られないダンジョンなどと噂が広まれば、勢力を鎮めるために討伐隊が組まれるだろう。マスターの悪知恵にしてはあまりに杜撰である。


 私が考えを巡らせているとアンデッド戦鼠(ウォーラット)が曲がり角を曲がりその足音が止んだ。


 こっそりと覗き込む。決して音を立ててはいけない。

 曲がった角にはモンスターハウスという名の兵舎があるかもしれんのだ。

 

 周りの者も息を呑んでいる。ジョアルなど意外に小心者のようでその禿げ上がった頭から大量の汗をかいている。


 私が先陣を切って、角の石柱から顔を覗かせる。


 心が折れるかと思った。

 覗いた先にあったのは、下り階段の先に頭を出した朽ちかけた城であった。


 それは、もう一つのダンジョンへの入り口である孤島の頂の古城そっくりであったのだ。

 

 

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