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アウトローに学ぶ異界生存戦略  作者:
1章 異世界で奴隷から神官、そして魔の者への扉を開く
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アウトローに学ぶ異界.23

 仮に冒険者協会の名をとって、この町をヒルダニアとしよう。

 外観は取るに足らないが、内部はかなり繁盛している。


 宿に酒場の数はおそらく往来する冒険者の数を意識したもので、さらに金払いさえよければ上等な部屋も用意できるようだ。

 この上等な部屋というのが地下に埋められたフロアから移動できるようだ。

 海も近いのに不用心だとも思うが、ここはシェルターのようになっているようで王都とその周辺の主な町々へと続く地下通路やその他脱出口への道のりなど、地下道と階層や各種部屋などだけで超巨大迷宮である。(王都ではまったく説明さえなかった!王宮や重要機関の地下にのみ迷宮への入り口があるのだろう。)

 

 当然各フロア間の通行には迷宮内の門や関所で通行証を提示しなければならなく普段は不便であるが(地上で関所などがないのは重要性が地下よりはるかに低いからであろう。)、緊急時は要塞として他国の軍隊から魔物の大発生まで何もかもに対応できるだろう。


 王都からここまで数キロ、さらに周辺主要都市とは繋がっていると聞いて規模が全く分からなくなった。

 掘り進めるだけでも一体幾年かかるのか、さらに崩落などの恐れがないような作りにするとなれば今まで見たヤヌ人の技術では絶対にと言ってもいいほど不可能なオーバーテクノロジーである。

 古代人の残したヤーラカーンの失われた技術だと説明を受けたが、それならば神が魔物を封じるために作ったなどと言ってくれた方が納得がいく。


 ショーイも開いた口が塞がらないようである。

 興味深げに「このような遺跡が現代風に改装されて今も使われているとは……」などと感嘆の声を漏らしていた。

 たしかにこの巨大迷宮があればヤーラカーンの大王が神の化身であるなどと風潮しても謙遜のないと思う。


 これもヤーラカーンが大陸に覇を唱えた理由の一つなのだと思う。迷宮の上にある都市を一つでも落とされようものなら安全地帯の地下世界が瞬く間に崩れる可能性がある。しかし裏を返せば守りを疎かにして都市が一つくらい落とされようと、見知った地下から軍隊を動かして如何様にも奪還しようがあるのだ。

 地上と地下、地下迷宮の構造は知らなければ武器にはできないのだ。

 地上をいくら守るにしても地下を通って敵がどこから出てくるかさえ分からない。地下は敵の庭なので警戒は必要だ。

 これはヤーラカーンにも勝機が見えてきたのではないだろうか?

 ブリュータスに協力する他の周辺国にも同じような事情があるのかもしれないが、こと防衛に関してはヤーラカーンが圧倒的有利ではないかと思う。


 大王もこの巨大地下迷宮の事を教えてくださらなかった。マダイラでもこの知識は常識なのだろうか?

 しかしこの大陸にはちぐはぐな感想を抱いてしまう。"冒さざるべき血"であるマダイラ族はなぜブリュータスに蹂躙されるままであったのか。

 元よりヤーラカーンで民族ごと保護して、地下迷宮のある都市を丸々一個与えてさえいればブリュータスに侮られ侵略を受けることなどなかったのではないか?


 この辺の事情は異世界の魂である俺には納得も理解もできないのかもしれない。


 ショーイが俺を猿などと言っていたこともあったが、これでは地底人だ。

 本格的にこの迷宮も利用することを視野に入れなければならない。大見得を切ったのは、その場しのぎの稚拙な策であったかもしれないと大王へ提案したことを少し後悔した。

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