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天上の地上へ(地下世界・ロボット・戦争)  作者: 一天草莽


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02 疑似海面の空の下(2)

 天草の小島にある研究施設。特別製の無線機を手に持つ四十代の男。


<福島>

「大事なパーツを一つ失ってしまったが、どうやら水没作戦の第一段階は無事に成功したようだな。これで天草諸島は概念的に海の下となり、地上と呼べる場所ではなくなった。ひとまず私の仕事はこれで一段落だ。後はそちらに任せるとしよう」


<大帝兵士>

「わかっているとも。そちらは上空に張られたドーム状の水面を維持してくれればそれでいい。これより後は、こちらが命を賭すまでだ」


 福島は無線機を持つ手を変えて話を続ける。


<福島>

「地上へと出撃する前に私から一つ忠告をしておこう。理論と現実との間に少なくない相違があったとしても、私に責任は取れないということをな。そちらの無事は保障しかねる」


<大帝兵士>

「その程度のリスクは承知済みだ。死んでも構わん。これより後は、天命に任せるまで」





 地上に向けて地中深くを浮上する巨大人型ロボットの中で、不敵に笑う男。


<五六三十>

「あがる、あがる。天上にある地上を目指し、我が軍勢が地中を浮上していく」


 地上侵攻軍の先鋒を任された軍人、五六三十ごろくみとおは覚悟を秘めてこぶしを握る。


<五六三十>

「この五六三十、先陣を切って地上強襲部隊の矢面に立とう。この震えが恐怖ではなく、武者震いによるものだと信じて」


 壮絶な音を立てて、地上へと姿を現した巨大人型ロボット。


<五六三十>

「……おお、素晴らしい。こうして地上に姿をさらしても、本当に消えぬというのか。この機体“剣豪”も、それを操る我が体も、そして、それらを支える我らの理想も……」


 高度な地底テクノロジーの推進力を用い、空中で仁王立ちになる巨大人型ロボット。


<五六三十>

「この目で本物の地上の世界を眺めるのは初めての経験だが、なるほど、これが地上か。まるで恐るるに足らず」


 にやりと口元を緩める。


<五六三十>

「みなの者、喜ぶがいい! この地はただいまをもって大日本地底帝国領となった!」


 コックピットの中で、正面に向かって右手を勢いよく振り下ろす。


<五六三十>

「全軍、ここは地上にして地上にあらず。武をもって占領せよ! 攻撃開始!」


 合図とともに海面や地面から地底の軍艦や人型兵器、戦闘機などが次々と出撃する。

 日本のはるか地下にある国家、大帝による攻撃が開始されたのだ。





 正体不明の軍隊による攻撃が始まり、動揺する坂下たち。


<宮川>

「すっげーな。今年の祭りはすごい派手じゃねえか。飛行機で花火か?」


<坂下>

「そんなわけないでしょう! やってたらもっと話題になってます!」


<中上>

「爆発よ! 花火なんかじゃないわ! これってどっかの国の侵略なんじゃない? 橋も落とされたっていうんなら、結構本気でやばいんじゃないの?」


<宮川>

「マジか……いいか、お前ら。あせるんじゃない。こんなときパニックになると無駄に命を落とすぞ。とにかく状況を正しくリサーチし、いち早く安全な場所がないか考えるんだ」


<坂下>

「安全な場所って?」


<宮川>

「……考えてみたが、わかるわけないな。スマホも教えてくれない。戦争に備えて作られたシェルターや防空壕があるとは思えんしな」


 お手上げ状態となる彼らだが、記憶喪失の少女に強く手を握られた坂下は振り向く。


<坂下>

「……ん、何?」


 質問には答えず、黙って海を見つめる少女。


<坂下>

「……海?」


 何があるのかと、三人は海に顔を向けて首をかしげる。

 すると、目の前の海面から一機の巨大人型ロボットが飛び出した。


<全員>

「な、なんだ!」


<カイル>

「すごいな、どんぴしゃで発見しやがったぜ、俺って奴は!」


 ジェット噴射のような推進力で近くまで飛んで来ると、地底テクノロジーで衝撃を吸収しながら地面に降り立つロボット。


<カイル>

「本当に消えない……ってことは、このまま地上に姿を出してもいいんだろうな!」


 装甲で覆われた胸元に隠されていたコクピットのハッチが開き、パイロットとして搭乗していた一人の少年が身を乗り出す。


<カイル>

「おい! お前たち、ちょっといいか!」


 いきなり攻撃してくるのではなく、あちらから声をかけてきたことから敵ではないと判断して、三人を代表した宮川が答える。


<宮川>

「ちょっとどころか、かなりいいタイミングだぜ! こっちは聞きたいことが山積みだ! お前が敵でもなけりゃあ、きっと教えてくれるんだろうな!」


<カイル>

「いい返事だ! 話が早そうで助かる!」


 機体をアイドリング状態にしたカイルは乗降用の簡易はしごを使って飛び降りると、四人のもとへ駆け寄る。


<カイル>

「さて、時間がないので手短に話そうか。俺はカイル。地底の国から来た軍人みたいなものだが、今ここを攻撃している連中とは別の組織の人間だ。お前たちの味方だと思ってくれていい。……それで、その少女は実験体だな?」


<坂下>

「……実験体?」


<中上>

「この子は海岸で倒れていたのだけど、しゃべれないみたいでよくわからないわ」


<カイル>

「……よし、事情は理解した。とにかく俺からの話は簡潔に済ませよう。その少女を助けるために来たんだ。これに乗せて、仲間のもとに連れて行っても構わないか? 無論、無理にとは言いたくないが」


<坂下>

「仲間のところか……えっと、君はどうなのかな?」


 この中では一番に頼りにしているのか、先ほどから自分の服をつかんできている少女を坂下は見る。

 彼女は二人の顔を見比べて、こくりと頷く。


<記憶喪失の少女>

「……うん」


<坂下>

「そっか……。えっと、じゃあ、お願いします。こんな状況じゃあ、一般人の僕たちにはどうしようもないですから。病院に連れて行っても、この騒動で怪我人がたくさんいるなら邪魔になりそうですしね」


<カイル>

「それは助かる。悪いが、ちょっと俺の仲間に連絡をさせてもらうぞ。……あ、こちらカイルです。……はい。今、無事に彼女を発見しました。……はい、予定通り例の岬で合流しましょう」


 そう言って、カイルは地下とも交信できる特別製の無線機をしまう。


<カイル>

「と、いうわけだ。すでに攻撃が始まってしまっている以上、俺はもう行かせてもらうよ」


<坂下>

「はい。お願いします」


 記憶喪失の少女の手を引いて先導しながら、カイルは乗って来たロボットに向かう。

 だが、その瞬間、離れた場所の地面から飛び出すようにして高速の戦闘機が来襲した。


<カイル>

「ちくしょう! こっちも見つかったか! どんぴしゃなのは俺だけじゃないってね!」


<坂下>

「あれは敵ですかっ?」


<カイル>

「いいから、お前らは遠くへ逃げろ! 死ぬぞ! あれは大帝の戦闘機である霊戦だ! しかもこっちを狙ってやがる!」


 高度を落として低空飛行する霊戦に機銃を撃たれ、その場に倒れるカイル。

 無数の弾丸が直撃した地面はえぐられ、その破片がぶつかって左腕などを負傷した。


<カイル>

「くそ! 腕をやられた!」


<坂下>

「大丈夫ですか!」


 うずくまっているカイルのもとへ駆け寄る坂下。

 しかし、それを追い越す姿があった。


<宮川>

「どけ! 止血なら俺がやる! バイク事故に備えて最低限の医療道具は持ってる!」


<坂下>

「あ、はい!」


 救護に駆け付けた宮川の世話を受けながら、痛みに顔をゆがめるカイルは坂下に向かって声を絞り出す。


<カイル>

「くっそ、とてもじゃないが戦えねえ! おいお前、この状況を大丈夫で済ませたかったら聞いてくれ! いいか、すぐに実験体の彼女を連れて、それに乗り込め! そっちの少女もだ! お前たちは後部座席で彼女を支えてるだけでいいから!」


<坂下>

「え? あれに乗れって言うんですか!」


<カイル>

「急いで乗れ! 敵は民間人だろうが平気で殺す! 頑丈な機体だから、ここにいるよりは乗ったほうが安全だ! 爆撃がきたら全員死ぬぞ!」


 そこへ、再び戦闘機からの機銃攻撃がなされる。

 手を伸ばした記憶喪失の少女に反応した機体が少しだけ動いて彼らの盾になるものの、通り過ぎた敵は向こうから旋回してくる様子を見せている。


<坂下>

「あ、危なかった……! 二人とも、急ごう!」


 生死がかかっている非常事態のあまり、何が何やら状況がわからぬままロボットに乗ることを決意した坂下。

 まだ足が万全の状態ではない記憶喪失の少女を火事場の馬鹿力で抱えて、しゃがんだ姿勢になっているロボットへ乗り込む。

 遅れないようにと、不安を隠せない中上も追いかけるように乗り込んだ。


<坂下>

「前後に二つの席がある。動かすのは彼女にやってもらうとして、僕と中上で後ろの席か」


<中上>

「ちょっと、これ、大丈夫そう? 後ろに二人で座れる?」


<坂下>

「シートベルトは一人分だな。しょうがない、中上は僕の膝に座ってくれ。シートベルトの代わりに僕が抱く!」


<中上>

「わかった。坂下、死にたくないから遠慮せず本気で抱き締めててよね」


<坂下>

「ちょっと強いくらいでね! 痛くっても後で文句を言わないでくれると助かる。安全のためなんだ」


<中上>

「わかってるってば。私が逆でもそうするから」


 慌ただしくも三人が座ったことを確認してか、おそらく記憶喪失の少女によってコックピットのハッチが閉められる。

 機体に備わっている各種レーダーや計器の読み方はわからなかったが、正面のモニターが映像を映しているため、外の様子はよく見える。


<坂下>

「戦闘機の攻撃を見たのも初めてだし、あんなにひどい怪我を見たのも初めてだ。あまりの剣幕に言われるがまま従っちゃったけど、これでいいのかな?」


<記憶喪失の少女>

「…………」


 一人で前の席に座った少女は相変わらず黙っているものの、ロボットの操縦桿を握ると目の色が変わった。


<坂下>

「えっと、言われた通りに僕たちが後ろに乗ったけど大丈夫? この状況、君に任せても……」


<記憶喪失の少女>

「ん」


 短く答えた少女は頷き、ためらいなく巨大人型ロボットを立ち上がらせる。


<坂下>

「わ、本当に動いた!」


<中上>

「坂下、絶対に手を離さないでよ!」


<坂下>

「だ、大丈夫! 僕を信じて!」


 後ろの二人が動揺しているのには一切構わず、前の席にいる少女は操縦方法を完全に理解した様子でロボットを操り、搭載されていた武装で戦闘機を撃墜する。

 独立して行動していた一機だったのか、周囲に他の敵影は見当たらない。

 ほんの五分や十分程度だったものの、それでも緊張感に包まれた初めての戦闘を無事に終えて、記憶喪失の少女の操縦で元の場所に戻る。


<坂下>

「し、死ぬかと思った……。いや、死んだのか、敵は? 今ので本当に?」


<中上>

「でも、しょうがないよ。私たちが死んでたかもしれないんでしょ、今の」


<坂下>

「そうだね……全部、戦ってくれた彼女のおかげだ」


 ひとまずコックピットが開けられて、ロボットから降りようとする坂下たち。


<坂下>

「ねえ、降りられる? 先に降りてもらわないと僕が降りられないんだ」


<中上>

「いや、あなたがいつまでも強く抱きしめてるから動けないんだけど。正直、ちょっと痛いわ」


<坂下>

「あ、ごめん。死なせたくなくって……」


 しかし坂下が手を放して中上を立ち上がらせようとしたとき、地上から叫ぶ声がする。


<カイル>

「待て! お前たちは降りなくていい!」


<坂下>

「えっ?」


<カイル>

「お前はスマホで俺と連絡を取り続けながら、できる範囲で彼女の戦闘を指示してくれ! 俺はこいつのスマホを使わせてもらう!」


 カイルは隣にいた宮川の肩を叩く。

 その宮川はスマホを操作して坂下に電話をかけようとしている。


<坂下>

「そ、そんなの無茶ですって!」


 言い終わると同時、スマホに着信が来る。すぐ下にいる宮川からだ。


<宮川>

「よし、つながったな。坂下、いいから黙って腹を決めろ。お前らが戦っている間に話を聞いたんだが、どうやらこれは本物の大ピンチらしいぜ」


<坂下>

「よくわからない戦闘機に殺されかけたんだから、それは理解できます。彼女に撃墜を任せてしまったんですから、理解しなくちゃいけないんです。……けど、それなら、なおさらプロである彼に任せたほうがいいんじゃないですか?」


<宮川>

「お前も見てただろ? カイルは怪我をして操縦できない。それに、どうやら味方と合流するために向かわなければならない場所もあるらしい。……本当なら隠れて向かうつもりだったらしいが、敵に見つかっちまった以上は仕方がないんだ」


<坂下>

「それは……」


<宮川>

「わかるか? 敵の戦力は圧倒的で、それを掻き分けて合流することがいかに難しいか。だからお前たちは陽動に出るんだ。敵の目をカイルから遠ざけるために」


<坂下>

「……わかりました。やります。怖いからって、自信がないからって、僕は戦ってくれている彼女を見捨てたくないですから」


<宮川>

「……すごいな、お前。俺は自分で言っててよくわからなかったぞ」


<坂下>

「心にもないことをぺらぺらと喋ってたんですか! なんて人だ!」


<宮川>

「悪口なら後でたっぷり聞いてやる! いいから今は気を引き締めろ! 案ずるより産むが安しって言うだろ!」


<坂下>

「わっかりました! じゃあ産んじゃいます!」


<カイル>

「よし、任せたぜ、三人とも!」


<記憶喪失の少女>

「……うん!」


 そして空へ向かって飛び立つマシン。

 それを見送った宮川はスマホの通話を切る。


<宮川>

「行ったか。……それで、実際、お前はどうして乗らなかったんだ?」


<カイル>

「この怪我で満足に動かせないのは本当だ。戦闘の衝撃で出血がひどくなったら気絶して、操縦の邪魔になりかねないしな」


<宮川>

「だからってあいつ、坂下を乗せる必要はないはずだろ。さっきの動きを見た限り、あの少女なら一人でも戦えそうだった」


<カイル>

「いや、一人じゃ無理なんだ。彼女は……実験体たちは支えを必要とする。生まれたばかりの精神を維持するため、すぐそばに自分以外の存在を求めるんだ」


<宮川>

「それが、彼女にとっては坂下だって言うのか?」


<カイル>

「誰でもいいってわけじゃないが、彼女があの少年の手を握っていたからな。……だが、今は俺たちの問題を考えるべきだ。仲間との合流場所はこの先にある岬なんだが、そこに行く手段はないか?」


<宮川>

「……そこに停めてるバイクで行くのはどうだ? ヘルメットは二人分あるから後ろに乗れ。途中で出血して気絶しても俺の邪魔にはならんようにな」


<カイル>

「助かる。急いでくれると、なお助かる。ちょっと本気でまずい」


<宮川>

「確かにやばそうだ。よし、早く乗れ。行くぜ」


 ふらふらのカイルを後ろに乗せた後、ハンドルを握った宮川は出発する。





 市街地を攻撃している戦闘機を迎撃するため、上空で奮闘する巨大人型ロボット。

 たった一機で敵を撃墜していく少女に圧倒される坂下たち。


<坂下>

「ちょっとこれ、すごい動きをしているのに反動やGは抑えられているみたいだね! このロボットといい、すごいテクノロジーだ!」


<中上>

「すごいのはわかってる! たった一機でここまでやれている彼女の心配をして!」


<坂下>

「そうだね、僕らはサポートに集中しなくちゃ! ……そういえばスマホ!」


<中上>

「……ねえ、私たちに何かできることはない?」


<記憶喪失の少女>

「……ん!」


 中上の声に反応して頷くものの、せわしない動きでロボットを操縦している少女は前方から視線を外せない。


<中上>

「いいわ、ごめん! 戦闘に集中して! 私たちにできることなんてないわよねっ!」


 膝に座っている中上を片手で抱き締めながら、坂下は逆の手でスマホを取り出してカイルに電話をかける。


<坂下>

「あ、坂下だけど。カイルさん? あ、はい。こっちは彼女が頑張ってくれていて……。はい、もうほとんど見ていることしかできないんです。酔わないように気をつけるのが精一杯で」


<中上>

「早く話を進めて」


<坂下>

「え? あ、機銃? ミサイル? そんなの使えませんって……。モニター? レーダー? まぁ確かにいろいろありますけど。え、ええ。はい、すいません」


<中上>

「坂下、あっちはなんだって?」


 坂下はスマホから耳を外して、口頭で伝える。


<坂下>

「とにかく彼女の戦闘の邪魔をせずに、周囲に気を配ってやれ、だって!」


 坂下、再びスマホに耳を傾ける。


<坂下>

「で、そちらはどうなんです? え、もうそろそろ着きそう? そうですか!」


<中上>

「まあ、とにかく無事ってことね!」





 大帝による地上攻撃が激化する中、カイルの仲間たちが乗っているジャレスの強襲艦アゲハが地下を進む。


<リーダー>

「外の様子はどうかな?」


<なだら>

「さすがの大帝軍も地上侵攻に戦力を集中しているらしく、地底側の防衛網は穴だらけみたいですね」


<チャフカ>

「まったくだな。みんなに等しく気配りができない奴は愛想を尽かされて嫌われるってことを知らないらしい。訓練が足りないぜ」


<なだら>

「チャフカさん、それって実体験ですか?」


<チャフカ>

「なだら、うるせぇ! 俺に戦闘以外の経験を問うな!」


 言葉ほどには怒った雰囲気はなく、その後も楽しそうに通信を介して言い合い続ける二人。

 それとは別に、アゲハのブリッジにいるリーダーと土間が顔を合わせる。


<リーダー>

「もともと敵の隙を突く作戦だったとはいえ、この状況はついているね」


<土間>

「はい、リーダー。これなら何とか無事に合流できそうです」


<リーダー>

「よし、このままアゲハの操舵は土間さんに任せるよ。それよりカイルのほうは大丈夫かな? 先ほどから連絡が途絶えたままなんだけど」


<土間>

「信じましょう。彼は優秀です」





 合流予定の岬を目指してバイクで走る宮川。じっと前を見つめるカイル。


<宮川>

「よし、見えてきた。行くべきはあの岬なんだな?」


<カイル>

「そうだ。あと少し。このまま敵に会わなければいいが……」


 急いで目的地に向かっていると、突如として姿を現した軍艦に捕捉される。


<宮川>

「おい、山のすそ野から何か出てくるぞ!」


<カイル>

「大帝の軍艦だ! くそ、敵に見つかったか! それとも偶然ここに出てきただけか!」


<宮川>

「見つかってなければいいが、こっちに砲台が向き始めている気がするぞ! かなり危険な状況じゃないか!」


<カイル>

「当然、大ピンチな状況だ! ちょっとでもいいから身を隠しながら急いでくれ! 今のうちに助けを呼ぶ!」


<宮川>

「助けったって、今から間に合うか……」


<カイル>

「おい坂下、聞こえるか! こっちは非常にまずい状況だ! すぐに助けに来てくれ!」


<坂下>

「助けにですって? いや、無理です! いくらなんでも間に合いませんよ!」


<宮川>

「これはかなりおいしくない状況だ……!」


 おおざっぱな狙いを付けた大帝の砲撃が始まる。

 直撃こそしないが、道路が破壊され、普通に走るのも難しくなる。


<カイル>

「ちくしょう! 目的地まで目と鼻の先だってんのに、ここまでか!」


 速度を落として、安全なルートを探しながら進むバイク。

 砲撃は止まりそうになく、後部座席でカイルは諦めたように目を閉じる。

 だが、突然の攻撃で敵の軍艦が炎上した。


<宮川>

「なんだ、なんだってんだ?」


<カイル>

「ま、まさか……」


<土間>

「助けに来たぞ、カイル!」


<リーダー>

「全機といっても二機だけだけど、今すぐ出撃してくれるかな!」


 地中から、二機の巨大人型ロボットと一隻の艦艇が地上に飛び出す。


<宮川>

「おい、カイル。ありゃあ……」


<カイル>

「ああ、俺たちの援軍の到着だ……」


 ほっとする二人。

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