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第61話 将来に向けて、コツコツと※日和視点

 師匠である透の活躍は、日本ではそれほど大きなニュースになっていない。政府や協会が、情報を拡散しすぎないように統制しているらしい。それでも、探索士の間や一部の人たちには、すっかり知られた人物になっていた。


 ただ、海外では大きく報道されているようだった。


 一時期、海外の報道では師匠の名前が並んでいた。アメリカナンバーワンと呼ばれる探索士を救出した日本人。世界級の難局を、たった一人で覆した男として。


 師匠は、すごい人だ。


 彼の活躍を聞くたびに、胸の奥がじんわりと温かくなる。誇らしいという感情は、隠しようがなかった。


 その事実を、自分のことのように嬉しく思える――そんな人と一緒に、研鑽を積み重ねていることが嬉しい。


 けれど。


 ちりっ、と。


 胸の奥のどこかが、小さく鳴った。


 誇らしさのすぐ裏側で、別の感情が薄く浮かんでいた。


 ――私は、このままでいいのだろうか。


 地に足のついた、いつもの日常がある。授業、仲間との打ち合わせ、放課後のダンジョン攻略、訓練場での鍛錬。どれも大切なもの。日和にとって、欠くことのできない時間。それは間違いない。


 わかっているけれど。あの人は、どんどん先へ行ってしまう。


 太平洋を越え、世界最高峰の探索士たちと並び立ち、誰にも踏み込めない場所へと歩を進めていく。そんな凄い人に、私はついて行けるのだろうか。そう考えて、日和は不安になるときもあった。


 自分は、ちゃんと頑張れているだろうか。


 仮資格を得て、何度もダンジョンへ潜った。仲間と協力し合い、計画を立て、失敗しないよう慎重に、堅実に攻略を重ねてきた。教室でも、訓練場でも、できることは少しずつ増えている。


 でも、それは学生としての精一杯だ。


 師匠である透のいる場所と、自分のいる場所は、まだ随分と遠い。


 いつの日か、師匠の隣に立てるのだろうか。


 その問いの答えを出そうと、ぐるぐると考え続ける日和。否定できず、肯定もできない。ただ、ちりっと鳴ったその感覚は、彼女の頭の片隅にしばらく残り続けていた。


 あの人は、先へ行ってしまう。


 自分はまだ、ここにいる。


 学生の制服を着て、いつもの教室で、いつもの授業を受けて。


 日和は、ゆっくりと息を吐いた。


 もう一度、自分自身に問い直す。


 ――私にできることは、何だろう。


 その問いに、日和は必死に答えを出そうとする。


 私にできることは、決まっている。今、目の前にあること。授業を受ける。仮資格の範囲で、仲間と一緒にダンジョンを安定して攻略する。打ち合わせをして、計画を練る。訓練場で腕を磨く。後輩を指導する。家に帰って、母と夕食を取る。今まで、やってきたこと。それが大事。


 ひとつひとつは地味だ。地味で、ささやかで、師匠の世界へ届くような派手さは、何もない。


 けれど、そのひとつひとつが、今しかできないことだった。


 もう、卒業の日が近づいてきていた。日和は学生ではなくなる。仮資格は、正式な資格に変わる。学校という、安全な枠組みの中で守られながら経験を積める時間は、あと僅かなのかもしれない。


 今しかないものを、今ちゃんと積み重ねておくこと。


 それが、私にできることだ。


 考えを巡らせて、胸の中で何かが、すっと整った気がした。


 焦って、今の大事なものを見逃してしまえば、たぶん足元から崩れてしまう。


 基礎を急いだ末に積み残してしまうものは、後から取り戻すのは大変だ。師匠が、ずっと丁寧に教えてくれていること。踏み込みも、間合いも、呼吸も、すべて。基礎を、軽く見ない――そんな言葉を、訓練場で何度も耳にしてきた。


 師匠に教えてもらったこと。地に足を、ちゃんと付ける。


 目の前のことに集中して、丁寧に、コツコツと進めていく。


 あの人の隣に立つために必要なものは、たぶん、奇跡みたいな一足飛びではない。日々の中で、当たり前みたいに積み重ねた時間そのものだ。


 今は――将来に向けての、大事な準備の期間。


 その言葉が、自分の中で、ゆっくりと収まる場所を見つけたのが分かった。


 卒業して、正式な探索士になって、その先で師匠の隣に立てるように。今の自分にできる準備を、今の自分の手で、ひとつずつ揃えていく。それで、いい。



***



 ある日、日和は進路指導室に呼ばれた。


 向かいに座った教師が、穏やかな顔で日和を見ていた。


「忙しいところすまないね」


 軽い前置きから、その面談は始まった。


 手元の資料をめくりながら、教師は要点だけを丁寧に並べていく。


 仮資格での探索活動の実績。これまでのダンジョン攻略件数。持ち帰った素材と魔石の総量。学業成績の順位も上位で安定している。実技訓練の評価も飛び抜けていること。パーティー運用の安定度。教師陣からの所見。書類上に並ぶどの項目も、卒業見込みの三年生として求められる基準を、大きく上回っている。そういう話だった。


「来年度の正式探索士資格取得は、ほぼ確約されていると考えていいです」


 教師はそう言ってから、わずかに視線を上げた。


「率直に言いますね。これまで、これほどの実績を残した生徒は、記憶にありません。全国の探索士学校を含めても、おそらく初でしょう」


 はっきりとした言葉で言われると、これまで自分が積み重ねてきた時間が、間違いではなかったのだと思える。


 ただ、それができたのは自分一人の力ではないのを忘れてはいけない。


 仲間がいて、訓練を積み重ねて、ちゃんとした計画を立ててダンジョンに挑んだ。そのすべてに丁寧に向き合ってきた。一日一日は、特別なことなどしていなかった。


 教師の口調は淡々としていて、けれど確かな信頼の色がそこにあった。


「ありがとうございます」


 日和は感謝の言葉と共に、頭を下げた。教師は、軽く頷いてから姿勢をほんの少しだけ整え直した。


「でも――気を抜かないでくださいね」


 声の温度は、それまでとほとんど変わらない。穏やかなまま。ただ、目だけが本気だった。日和は、無言で姿勢を正した。


「仮資格での活動は、最後まで、仮資格としての範囲を守ること。実力が伴ってきていることと、立場として許されている範囲は別の話です。無茶をして、一線を踏み越えたりしないように、お願いします」


 教師からの忠告に、はい、と日和は短く返事をした。


「卒業前の半年から数ヶ月。この時期はね、毎年、油断による事故が一番増えるんです。先が見えていると、人はどうしても気が緩んでしまう。怪我、装備の確認漏れ、判断の遅れ。みんな『まさか自分が』と思っていますよ」


 教師は、ほんの一瞬だけ、苦笑のような笑みを口元に乗せた。大変そうだ、と日和は思った。そして、自分も気をつけないと、と。


「だから、これは念のため、です。日和さんなら、たぶん大丈夫だろうと、私たちは思っています。それでも、念のために伝えました。あなた達の実力を疑って忠告したわけではないので、気分を害されたら申し訳ない」


 信頼を前提にした釘の刺し方だった。日和も、そう受け取ったので教師に対して印象を悪くすることもなかった。


「あと、もう一点」


 教師は、机の上の書類を軽く揃え直した。


「学業も、最後まで疎かにしないでくださいね。当たり前のことを言うようですが、卒業証書がなければ、探索士の正式資格も認められません。一人前の探索士として認められるための最後の関門は、結局のところ、ちゃんと学校を出ること、なんですよ」


 はい、と、日和は素直に返事をした。学校での勉強も大事。ちゃんと理解し、表情を引き締めて返事をした。


「最後まで、しっかりやります」


 ちゃんとした返事を聞いた教師は、満足そうに頷いた。資料を閉じる音が、小さく室内に鳴った。


「はい。それなら、こちらから言うことはもうありません。あとは、卒業まで、これまで通りで」


 短い世間話を挟んで、面談は穏やかに終了した。日和は席から立ち上がって、礼をして廊下に出ると、進路指導室のドアをそっと閉めた。


 やるべきことが、より明確になった。


 仮資格の範囲を守って、最後まで失敗しないように気をつけてダンジョンに挑む。学業も最後まで手を抜かない。訓練も、これまで通り続ける。事故を起こさないこと。基礎を軽く見ないこと。


 それから。


 卒業してから、自分たちがどうしていくのか。それを、ちゃんと、仲間たちと話しておかないといけない。


 今日まで、なんとなく「このまま続くもの」だと思って、誰も口に出してこなかった。けれど、教師がここまで具体的に卒業という線を引いてくれた以上、その先のことは、自分たちの言葉でちゃんと確認しておくべきだと思った。


 今日の活動室で、仲間たちと話してみよう――日和はそう決めて、廊下を歩き出した。


 部屋には、すでに五人がそろっていた。


 長机の上には、地図、攻略予定表、消耗品の在庫メモ、それから誰かが買ってきたペットボトルが点々と並んでいる。日和が部屋に入っていくと、東郷が顔を上げて軽く頷いた。


「ごめん、待たせちゃった?」


 先に集まっていた五人の仲間たちに向けて、日和が短く詫びる。


「進路指導だったんだろ? おつかれ」


「美月から聞いてるから、大丈夫だ」


「ちょうど始めるところだよ」


 いつも通りの空気だった。日和も席に座って、話し合いに加わる。


 その日の議題は、明後日からの攻略計画の最終確認。それから、みんなで集めた情報の整理と共有を行っていく。


 以前から計画を立てて準備していた、中層ダンジョンへの進入のタイミング。先週の探索で気になったモンスターの分布の変化。消耗品の補充計画。回復役の負担配分。次の週末、他のパーティーとの訓練試合の内容確認。一つひとつ、東郷が議題をめくり、神崎が情報を整理して並べ、伊吹がざっくりとした感覚で意見を出し、美月とすずなが補足を入れていく。


 日和も、自分の担当部分について手早く報告を済ませた。


 一通りの実務の話題が片付くと、長机の上の空気が、ふっとほどけた。


 誰からともなく、ペットボトルへ手が伸びる。ちょっと一息入れる。神崎がメモを軽くまとめて脇に寄せ、美月が小さく伸びをした。


 そのちょうどいいタイミングで、東郷が口を開いた。


「ところで、だ」


 いつもの、議事を進めるときの落ち着いた声色だった。


「先生にも言われたんだけど、そろそろ、ちゃんと決めておこう」


 全員の視線が、自然と東郷に集まる。


「卒業後の話だ。俺たちのパーティーが、その先どうするか」


 彼の口調は、念のための確認というトーンだった。議題としては、これまで誰も正面からは口に出してこなかったので、唐突な印象もある内容。日和も話そうと思っていたそれを、ちょうど東郷が切り出してくれた形だった。


 内容を理解しようと考え込む、短い沈黙のあと、神崎が軽く補足を入れた。


「学校で組んだパーティーが卒業後もそのまま継続するケースが、多数派らしいね。卒業を機に解散して新しい組み合わせを探すケースは、むしろ稀だと」


「らしいな」


 その補足に、情報を持っていた東郷が頷く。


「ただ、多数派だから、で決める話でもないだろ。ちょっと気が早いかもしれないが、今のうちに確認しておく価値はあると思う」


「うん。だから、みんなの考えを確認して、共有しておこう」


 東郷が、視線をぐるりと一周させた。最初に口を開いたのは、伊吹だった。


「俺は、今のメンバーで続けたい」


 いつものストレートな物言い。


「今のやり方でうまく行ってるんだから、別れなくてもいいだろ。なんで今さら、別を探さないといけないんだって話だし」


 言い終わってから、ペットボトルを軽く呷る。本人にとっては、考えるまでもない結論だったらしい。


 次に、美月が穏やかに口を開いた。


「私も。これ以上ない仲間だと思う。資格を取得したあとも一緒に、このメンバーで組みたいかな」


 短い言葉だった。けれど、声の置き方が丁寧で、その分、確かに届いた。


「すずなは、どう?」


 美月から聞かれたすずなは、視線をほんの少しだけ伏せてから、はっきりと顔を上げた。


「……私も。続けたい、です。このメンバーで」


 控えめな声量だった。それでも、語尾に迷いはなかった。伊吹、美月と同じ意見であると答える。


 すずなの言葉のあとで、東郷が小さく頷いた。


「俺も同意見だ」


 そう言ってから、視線を、ゆっくりと日和へ向ける。残り一人、どう考えているのか確認したいと。


「異論はないか」


 問いかけられた日和の胸の中で、答えは、もうずいぶん前から決まっていた。こうやって皆で意見を確認し合う前から、すでに。


「私も、卒業した後も、みんなと一緒に活動していきたい」


 日和も自分の考えをみんなに伝えた。正直な気持ちで。


「みんなと、これからも」


 全員が、ほぼ同時に頷いた。ここにいる全員が同じ意見であることを確認し合った。


「決まりだな」


 東郷が短く言って、ペットボトルに手を伸ばす。


「決まりだね」


 美月が頷く。


「確認するまでもなかったな」


 伊吹が片頬で笑い、神崎が「でも一応、聞いておかないとな」と肩をすくめた。


 日和が学校に入ったときには、こうなるとは、想像もできなかった。一年生のころの自分は、探索士は稼げる仕事だと聞いて始めた。学校に通ってから、これほど絆を築き合えるような仲間と出会えるなんて、思っていなかった。自分は幸運だと感じていた。


 そんな会話が一段落すると、次は師匠に関することが話題に上がった。この前、学校に指導しに来てもらってから、これまで何度か話題に出ていた。


 活動室の空気は、すっかり雑談の温度になっていた。


「……資格を取ったら、いつか透さんとも組んでみたいよなあ」


 伊吹がぽつりと零す。あれだけの実力を見せつけられ、実践のダンジョン攻略であれば、どれほどの成果を叩き出せるのか。興味津々だった。


「最近は、ものすごい活躍をしているとか」


 東郷が頷く。最近の目覚ましい活躍。そして少し前の、彼の海外での活躍も知っていた。協会の探索士だけでなく、まだ学校に通っている彼らの耳にも届くほど業界での影響力が増している。


「そうらしいね」


 美月も小さく相槌を打った。


「……まあ、やってみたい気持ちはあるよな。一回でも組んでみたら、たぶん、見えている景色が全然違うんだと知るだろう。何が足りていないのか、何が違うのか」


 神崎の言い方は分析寄りだったが、伊吹と同じように興味津々である。


「一度でいい。パーティーを組んで、ダンジョンに潜ってみたいな」


 男子三人――伊吹、神崎、東郷。三人とも、同じ願望を持っていたらしい。


 日和は、ペットボトルの蓋を、指先でゆっくり回しながら師匠の言葉を思い出す。


 ――正式な探索士になったら、二人でダンジョンに挑もう。


 その言葉を日和は覚えている。今でも、はっきりと覚えている。


 実は私は、もう、約束をもらっているんだよね。


 探索士の資格を取得したら、透さんと二人でダンジョンに挑む。


 それは、仲間には言っていない師匠との約束。透と自分のあいだだけにある、大切な一つの約束。もうしばらく、仲間には内緒にしておこう。最初は、私だから。


 日和は、その思いを内側で、そっと噛みしめた。


 ちょっとした独占欲みたい。


 穏やかなままで、仲間たちの話を聞きながら、適度なところで小さく相槌を打ち、美月と視線が合えば、いつもと同じ微笑みを返した。


 正式な探索士になって、透さんの隣でダンジョンに挑む。


 守られる側ではなく、隣に並んで二人で一緒に潜る。たぶん、今まで経験した時間とは違う種類の攻略になりそう。


 それが私の卒業後の、最初の目標。


 とにかく、楽しみ。


 それから卒業までの日々は、特別なことが何もない、という形で過ぎていった。


 三年生の日和パーティーは、地元の中低層ダンジョンを、淡々と回り続けていた。


 月の終わりに記録をまとめると、攻略件数も、回収素材の量も、報告書の数も、地道に実績を積み上がっていた。本人たちの実感は、いつもと同じ「ちゃんと潜って、ちゃんと帰ってきた」だけだった。


 教師が月例の報告で軽く目を見開く、というささやかな光景が、季節を追うごとに、当たり前になっていった。


 教師から気を抜かないようにと言う忠告を、日和たちは真面目に守っていた。


 ダンジョンの情報の確認を毎回欠かさずにやり、装備の確認を面倒だと言いつつも一度も欠かさない。基礎的な確認作業を、変わらず日課にする。そういう地味な徹底の上に、毎月の数字が積まれていった。


 学校の勉強も手を抜かなかった。


 試験のたびに、日和のパーティーメンバーの順位は安定して上位に並んでいた。


 別空間にある訓練場には相変わらず、夕方になると日和がいた。そこに、透も来てくれる。


 透の指導は、以前と同じペースで続いていた。政府からの依頼や、地方への出張が増えても、その合間を縫って、二人の時間は欠けることなく刻まれていく。とても大事な時間を過ごせた。


 パーティーメンバーの方も、年を追うごとに、更に洗練されていった。


 夏服に衣替えしたころには、下級生たちが、何かと六人を頼りに来るようになっていた。


 訓練のコツを聞かれる。攻略計画の組み方を相談される。仮資格を取ったばかりの後輩が、夕方の活動室の入り口で、もじもじしながら立っている。そういう光景が、いつの間にか、よくある景色になっていた。


 季節は、流れていく。


 夏服の襟元が、いつの間にか、また厚手のブレザーに戻る。マフラーを巻いた朝、ダンジョン入口の周辺に、薄く雪が積もっていた日もあった。


 冬のあいだに、正式探索士資格の最終手続きについて、教師から具体的な日程が示された。日和は、書類を受け取って確認し、間違いがないように注意しながら手続きを進めていった。


 年が明けて、校庭の桜の枝に、また小さな蕾が並び始める頃。


 日和は訓練場で、いつも通りに剣を振っていた。


 休憩中、透がコップを差し出しながら、ふと、何気ない口調で言った。


「卒業、もうすぐだね」


 うん、と日和は短く返した。あっという間だった。


 日々を、ひとつずつ、丁寧に積んだ分だけ。


 本人にとっては、目の前のことに意識を向けて、淡々と積み重ねてきた三年間だった。


 派手な事件があったわけではない。ちょっとだけあったかな。でも、世間を騒がせるような偉業を、ことさら掲げたわけでもない。これまでの実績も、日々の鍛錬も、後輩への指導も、すべて、その日その日に当たり前のように果たされていただけだった。


 外から眺める者の目には、それは違って映った。


 日和たちの三年間は、探索士学校の歴史の一頁に、静かに、けれど確かに、刻まれることになる。


 朝倉日和という名は後年、『あの代の中心にいた類まれなる実力者』として、長く語り継がれていく。


 本人がそれを知るのは、もう少しだけ先の話である。

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